吟遊映人 【創作室 Y】
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【新解釈・三國志】新型コロナの影響もあり、今年のお正月は在宅の方が多いのではないでしょうか?初詣ぐらいはと思う方々もおられると思いますが、一般的な風邪のようなものでさえ、たいていは大混雑で密になった状況下で感染するものなので、ここは一つ自重が必要なのです。デパートでの初売りも毎年楽しみにしておられる方々にとっては、今年は思案のしどころだったでしょうね。福袋は私も大好きですから、こんなときこそネット通販を利用するのも英断なのではと。(もちろん、福袋以外の買い物についても)まだまだアナログの私は「買い物たるは実際に手に取って目で見て確認してから」と言う考えに固執して来ました。ところが人間なんて愚かな生きものですよ。amazonで気軽に注文して自宅まで配送してもらえる行程を知ってからというもの、この合理的な手段で買い物を済ませることが圧倒的に増えたのです。(お急ぎ便なら遅くても翌日到着ですよ!)そこには人との触れ合いや会話のキャッチボールもない代わりに、未知の病原菌から遠いところにいられるのです。万事あれもこれもと言うわけにはいきません。一方を追求するとき、他方を削ぎ落としていくーーそれが合理性と言うものなのかもしれません。昨年末、私は久しぶりにシネコンに足を運びました。私にとって人生を懸けた愛読書である『三国志』が公開されたからです。と言ってもこの作品は完全なるオリジナルで、そのタイトルも『新解釈・三國志』とな。一体どんな内容なのかとワクワク感を隠しようもなく、一番乗りで席に着きました。トイレに立つのがおっくうなので、飲み物は購入せずポップコーンのみ。(こんなときにも合理的な私です)空腹を満たすには充分のボリュームでした。上映時間が近付くにつれ、場内はワサワサと人が増えて活気に包まれました。みんな〝笑い〟とか〝楽しさ〟を求めて来ているのでしょうね。閉塞感を打ち破りたい同朋が私の周囲を埋め尽くしていきました。『新解釈・三國志』についてはいまだ公開中のため、ネタバレを避けるためにも詳細は割愛します。カテゴリは【歴史】に分類してみたものの、イマイチしっくりときません。ジョン・ウー監督の『レッド・クリフ』と同列に並べるべきものではないし、かと言ってコメディとも違い、今回ばかりはカテゴリ分けに悩みました。注目すべきはそのキャラクターの濃さ(?)でしょうか。義理人情の篤いはずの劉備は、こちらの作品においてはすっかり腰抜けの臆病者に成り下がっているし、一騎当千の豪傑であるはずの趙雲がイケメンであるがゆえのナルシストになっているし、何より、大天才軍師・諸葛孔明など女房の尻に敷かれたダメ亭主という残念なキャラクター設定。「えーっ!それはないでしょう〜⁈」と突っ込みどころ満載でした。始終、上映中はクスクスと笑い声の絶えなかった作品は今回が初めてではないでしょうか?私も驚愕のあまり思わず椅子からズリ落ちそうになってしまったシーンがあるのですが、それは三国志において、絶世の美女と謳われた貂蝉の登場シーン。一体どちらの女優さんが抜擢されたのだろうかと心をときめかせていたところ、「えーっ⁈」と会場からどよめきが!な、なんと、ぽっちゃりキャラの渡辺直美が貂蝉役とな?!まぁ、確かに1800年もの昔はふくよかな女性が美人とされていたには違いないとは思いますが・・・世の中、合理性ばかりが追求されて本当に大切なものがかすんでしまうような状況です。バカバカしいことでもふざけた内容でも大切なのはひと時の娯楽です。史実から逸脱し、一ミリの感動も提供されず、合理的であることなんかムシして、心の底から笑いたくなる、そんな作品でした。本年も吟遊映人を何とぞよろしくお願い致します。2020年12月公開【監督】福田雄一【出演】大泉洋、ムロツヨシ、小栗旬、渡辺直美
2021.01.03
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