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2013.03.08
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カテゴリ: 教え
【菊池寛 男気なり!】
20130308

閉門即是深山
読書随処浄土


菊池寛

三月六日は菊池寛の六十五回目の命日でした。
東奥日報のコラム「天地人」で知りました。

まずはそれをご一読ください。


直木三十五が死んだ時は東大病院で号泣したという。
よほど無念だったのだろう。
二人の名前にちなんで芥川賞と直木賞を創設した。
「(二つとも)あの涙から生まれたような気がする」と、小説家の川口松太郎が書いている。

小説家の織田作之助が発病して宿屋で寝ているのを菊池が見舞った時は、織田の方がおいおい泣いたという話もある。
いま「競争だ」「合理化だ」と世間の風は世知辛い。
そんな人間味のない風に当てられているせいか、菊池にまつわる話は心にしみる。

旧制一高(東大教養学部の前身)時代、菊池は窃盗事件で友人の罪をかぶり退学した。
「文教関係に勤める父が職にいられなくなる」。
友人がそう言って泣くので、菊池は罪を認めさせようという気になれなかったのだ。
新渡戸稲造校長が後で真相を知り、寛大に計らおうとした。が、菊池は「前言を翻すのは卑怯」と、最後まで罪をかぶる。
そんな男気もあった。とはいえ、金もなく行く当てもない。
そこを金持ちの同級生に救われるのだから、世の中は面白い。同級生の親が経済的な面倒を見てくれたため、菊池は京大に進むことができた。

文藝春秋の社長でいた頃、食えない作家がやってくると、ポケットから五円札、十円札を取り出し、無造作に与えたという。
少年時代に受けた恩を忘れず、世間に返し続けていたのだ。
まるで人情物語のような人生だ。
菊池は65年前のきょう59歳で亡くなった。


補足を致しますと、上記の窃盗事件とは文壇では有名な「マント事件」です。
菊池寛が知人の部屋からマントを盗みそれを質入したというのです。
真相はというと、犯人は佐野某。
彼は質屋から得た金で倉田百三の妹とデートしていたといいますから落語話のようです(^^)

余談で恐縮ですが、五代目古今亭志ん生師には、高座をつとめるために師匠から借りた羽織を質入して飲んでしまった、という武勇伝があります。


それにしても新渡戸稲造の尽力に
「前言を翻すのは卑怯」
と通したのはサスガは菊池寛、男気の人だと思います。
苦し紛れの末に「方便」とこたえひんしゅくと軽蔑を買った御仁に、氏の爪の垢でも煎じて飲ませてあげたいものです。

ときに菊池寛は読書によって青春の蹉跌を抜けました。
上野図書館や麹町の大橋図書館、日比谷図書館を馴染みにしたそうです。
彼のあくなき知的欲求を図書館での読書が満たしてくれたというわけです。

閉門即是深山 読書随処浄土

なるほど、含蓄に深いものを感じますねぇ
活字離れや本の電子化で、図書館の存在そのものが危ぶまれる昨今、ここは菊池寛を偲び、週末には図書館に出かけてみたいと思います。

それはそうと、東奥日報のコラムは秀逸です!
現状批判ばかりが多いコラムの中で、新聞のコラムの役割をちゃんと心得ていらっしゃると思います。
東奥日報 天地人に感謝(^人^)

20130124aisatsu





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最終更新日  2013.03.08 06:33:50
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