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2013.06.21
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テーマ: コラム紹介(119)
カテゴリ: コラム紹介
20130621b

【毎日新聞 余禄】
「紳士は互いの信書を盗み見ない」。こう言って米国務省に他国の通信の暗号解読をやめさせたのは1929年当時の長官スティムソンだった。彼はすぐ考えを翻し、第二次大戦で陸軍長官を務めた。

もっとも国務長官当時の決定は、それにより職を失った暗号解読の専門家ヤードレーの強烈な復讐(ふくしゅう)にあう。彼は暗号解読局を表す「ブラックチェンバー」をタイトルにした著書を刊行、国務省による外交通信の傍受や暗号解読の実態を全世界に暴露してしまったのだ。

仰天(ぎょうてん)したのは日本の外務省や軍だった。そこには先年のワシントン軍縮会議で日本代表団の外交暗号が解読され、手の内が米側に筒抜けだったことが明かされていた。日本でも同著はベストセラーになったが、大戦ではまた暗号戦で完敗した(「暗号事典」研究社)。

こんな外交の世界だから今さら驚くに当たらないのだろうが、やはり釈然とせぬものも残る。2009年のロンドンG20首脳会議でホスト国の英国情報機関が各国代表団の通信を傍受していたとの英紙ガーディアンの報道である。紳士の国はまた007の国であった。

おりからG8首脳会議のホスト国を務めた英国には何ともきまりの悪いことになったが、こればかりは自業自得(じごうじとく)である。情報源は米政府の極秘のネット情報収集を内部告発したスノーデン氏から入手した資料とのことで、背景には英米の緊密な情報協力がうかがえる。

日本もその英国との首脳会談で、安全保障やテロの秘密情報交換にむけた協定締結に合意した。さてこれは互いに紳士と認め合っての協定か、それとも紳士にあらざる仲間と認められたのか?
(6月19日付)

~~~~~~~~

G8は無事終了した。

「情報」に関する話題が、合衆国の個人情報収集事件から活況を呈しているのだが、どうやら所説あるようだ。
上記の毎日新聞はさしずめ「性善説」か(笑)

話はそれるが防衛大学の村井友秀教授は、先日の論文で「孫子の兵法」をひき、中国の琉球発言を「心理戦」と明解する。
『兵力が敵の十倍あれば敵を囲むだけで敵は屈服する。兵力が敵の五倍あれば躊躇なく攻めよ。兵力が敵の二倍なら敵を分裂させよ。兵力が敵よりも少なければ戦いを避けよ。』
(諜攻篇 ※村井教授解説)
村井教授の眼目はこうだ。
『孫子の兵法には戦いの真髄は騙し合いである(兵詭道也)と書いてある。あらゆる手段を講じて敵の弱点を突くのは兵法の常道である。』
戦わずして勝つ 」が底流にあることは明らかである。
ご参考まで、同じく防衛大学の水野実教授は著書「孫子の兵法」で『詭道とは手の内を明かさない戦法のことである。』と解説している。
もうひとつご参考まで、「孫子の兵法」は紀元前の中国春秋時代に書かれた兵書である。それが世界各国で今の時代まで読み継がれ、数多ある兵書の中で筆頭に挙げられるのだ。

さて情報にもどる。
事件(というか漏洩か?)が表ざたになったのでアレコレ取りざたされているのだが、本当のところ「あながち有り得るよね」「まあ、そんなもんでしょ」というのが実感ではないだろうか?


これをして青天の霹靂に思う人は、そういないのではないであろうか?
現実を見て世の中を判断した場合、そういう世界は容易に考えられると思うのだが・・・
現実を直視するには苦痛や悲しみを伴う。だから現実を逃避している主張(ゆがんだ理想か)には、苦痛や悲しみから逃れているように思えてしまうのだ。

先に「性善説」と書いたが、性善説は理想主義とも言い換えられる。理想は必要だ。それを否定しているのではない。
ただ、どうも違和感を覚えてしまうのは、私がすれっからしだからか(汗)

そして新聞やテレビの主張の元となる性善説や理想主義は、どうも正義や人道を「売り(商品)」にしていると感じるのは、我がすれっからしの極みであろうか(笑)

ときに「孫子の兵法」では 戦う前の心得 を挙げ、 最重要課題 に位置づけている。
『彼を知り己を知れば、百戦危うからず。彼を知らず、己を知れば、一勝一敗す。己を知らざれば、戦うごとに危し』

水野実教授の訳はこうだ。

『敵の戦力を知り、味方の戦力を知っていれば、百戦しても危険がない。敵の戦力を知らずに、味方の戦力だけ知っていれば、勝ったり負けたりである。敵の戦力も味方の戦力も知らなければ、戦いのたびに危険が伴う。』

20130124aisatsu





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最終更新日  2013.06.21 08:42:50
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