そんな中で、少しずつ作り方やスタイルを変えながらも定番となって不動のメニューになっているものがいくつかあります。そんな料理を紹介していこうかと思います。

これは、魚のテリーヌ。テリーヌというのは、、、

こういう器の名前なんです。この中に何かを入れて焼いたり蒸したり、あるいはゼラチンで固めたり、重石をして固めたりしたものをたいていは冷製の前菜として切り分けて出すものです。
ハムにしてもテリーヌにしても仕込みの手間はかかりますが、オーダーが入ったらサラダと一緒に盛り付ければすぐに出せるので、私のような一人仕事の料理人としては重宝する存在です。しかも、近頃はこういうものを手作りする人が少ないですから、ありふれたメニューながら美味しいものを出せば、確実に実力を示せるわけです。
「今更テリーヌいなんて古いだろう。たいして美味くないし、、、。」なんて言っている料理人が多いのでしょうが、私が相手にするのは同業者でもフレンチの専門家でも特別な食通でもありません。普通のお客様がほとんどです。そういう意味では、こういうオーソドックスなメニューをきちんと美味しく出すことがとても大切だと思っています。常連さんの中には、いつ来ても必ず魚のテリーヌと言う人もいるくらいですから、手は抜けません。
さて、魚のテリーヌは魚のムースが基本となります。このテリーヌ型は、1キロ用なので魚は450gくらいです。基本白身魚です。鯛、スズキ、ヒラメ辺りがベスト。金目鯛や黒ムツなんかもいけますし、サーモンやマスも良いです。甘みを出すために帆立貝を入れるのも良いです。それから海老類も良いですね。その魚をフードプロセッサーですり身にして、塩8グラム、ナツメグと白コショウ少々と卵白2個分を加え、さらに回します。鮮度いいとすごく腰が出ます。というか鮮度良くないのじゃ使えないですけどね、、、。そこに生クリームを少しずつ全部で500ccくらい加えます。私の場合は脂肪分35%の軽いクリームですが、47%とかの重いクリームを使えばより重厚な味わいになります。いずれにしても魚とクリームがほぼ同量というのが基本です。
これはだいたい70年代辺りからの作り方です。もう少し昔だと、パナードと言って、小麦粉とバターを加熱して捏ねたシュー生地のようなものをつなぎに入れたりしてました。今ほど流通がよくない頃でしたから、鮮度が落ちた魚だと少し粉系を入れないと生地がつながらなかったのかもしれませんね。私はパナードを使ったことはありませんが、、、。
まあ、そのようにしてできた生地にガルニチュール(具材)として帆立やサーモンあるいはキノコなどを混ぜ込んだりして、バターを塗ったテリーヌ型に入れて、湯煎にかけ、170度から180度くらいのオーブンで蒸し焼きにします。約1時間かかりますが、途中で湯煎の温度が上がりすぎないように氷を入れたりします。
火が通ったら荒熱を取って冷蔵庫で一晩くらい落ち着かせれば出来上がり。あとは型から出し、カットして盛り付ければいいわけです。
20年くらい前に初めて作りましたかね。たしか、、、。その頃は、和食用の入船というブランドのすり身を使ってやらされました。粘りがないので、ボールを氷水に当てて1時間くらい練らないとコシがでなくて苦労した思い出があります。でも、今思うとパサパサして多分分離した感じだったんでしょうね。今は、ちゃんとした鮮魚を使ってますから、かなり美味しいと思います。うちのマダムが好きなので、いつも一切れ目の端っこは彼女が味見担当です。
魚のテリーヌは、フレンチの歴史の中では新顔のほうなんです。テリーヌと言えば、本来は肉系だったり、フォアグラだったりが主流でした。70年代後半ごろからか、いわゆるヌーベルキュイジーヌ(新フランス料理)のころからのヘルシー志向の流れなんです。だから私の魚のテリーヌはだいたい40年くらい前の作り方が基本です。でも、半分生クリームでどこがヘルシーなんだか?という感じですけどね(笑)

久しぶりのうちの猫たちです。手前が雌3歳の「ノアール」黒トラ猫。上が「レノン」通称レノ坊、2歳の和猫黒と純血ソマリのミックスです。

黒トラのノアールさんです。煮干しが大好き。夜私が帰ってくると、「煮干しちょうだい」と、冷蔵庫の前でドアに手をかけて待ってます。

レノ坊は、遊び好き。この体制で猫じゃらしか何かで遊んで欲しくて待ってます。

ちょっと山猫風な柄が魅力です。

PR
Keyword Search
Calendar
Comments