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2022-0110ルビーとピエロ

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2026.02.15
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裕子を送ったあとすぐには部屋に戻らずデッキに出ていった聡美だった。壁にもたれかかっていると近づいてきた男性がいた。タムタムだ。
「裕子さん」
 と言って近づいてきた。
「えっ 聡美さんか!? 何だか似て来たね」
「そう? 裕子さんを送ってからちょっと空気を吸いたくなって」
 タムタムは聡美の隣りに座ったが聡美がタムタムを見つめるとその向こうに女性が見えた。早足で二人に近づく。28番のスタッフ。
「あら スタッフさん」
「今はスタッフではありません」
「あっ そうなのね」
「彼女のお母さまも認知症で僕の女房もう認知症だから話が合うんだ」
「家族の認知症の辛さがわかるんです」
「でもいいわね」
と聡美が笑顔を見せた。
「聡美さん いいわねってなんですか?」
「私は家族がいないから羨ましいと思っただけ」
「なんにもわからないくせに」
「おいおい」
とタムタムが二人の間に入ったのでスタッフとタムタムが離れて行った。しばらくして聡美も何だかバカらしくなって立ち上がって部屋に戻ることにした。部屋にはこんなにたくさんの人がいるのに歩いている人はまったくいなくて時計を見たら午前一時を過ぎていた。しばらく廊下を歩くと
「聡美さん」
と呼ぶ声がした。タムタムの声に似ていたが振り向いても誰もいなかった。
「そうよね いるわけない」
「聡美さん」
また振り向いた。
「こっちこっち」
 ずっと前から聞こえた。聡美は早足になった。二人がぐっと近づいた。
「どうしたの?」
と聡美。
「探したんだよ」
「実はそれが私の部屋」
と指さした。
「ずいぶん広そうだね」
「主人もいることになってるから」
「ああ」
「よかったらどうぞ」
タムタムの右手を両手で包んだ。
「でも彼女に怒られちゃうわね」
「彼女は仕事だ」
「だって夜中よ」
「船では何が起きるかわからないから何人かが起きてる」
「看護師さんみたいね」
「聡美さんにあやまってくださいと言われたよ 私はどんなときでもいつもスタッフですって」






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最終更新日  2026.02.15 06:59:30
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