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2009.02.26
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カテゴリ: 団塊通信
多島海
清水 明


 島嶼の散在する海域が多島海と呼ばれる。

 壮年期の侵食地形が海水準の相対的上昇によって作り出されたもの。

 共通する地勢を持つとともに、海に隔てられ、独自の植生・動物相を持つことになる。

 独自の動植物群は、その生育環境が余りに狭隘であると、やがて、その遺伝子の多様性を失う。


 都市周辺は、大規模土工が可能になるとともに、沖積地は嵩上げされ、丘陵・山地は開削された。土地利用が、自然の規制ではなく、人間の意志、開発の意欲により決定されることとなった。
 都市の夜景を見ると、中央は恒星の集団のように光輝き、その周辺には、天空に散在する銀河のような光の集団があった。それは美しくも、また、人間どもの活動の証であった。


 都市の発展は、そこに集まる人間の居住さえ許さないほどに大規模であり、無秩序であった。周辺に住居が求められ、タイムラグを持ちながら都市としての基盤が造られ、さらに、縁辺部にまでも集落が形成された。住宅団地と呼ばれた。
 都市圏は、依然として残る農地、工業地・商用地の海に住宅地が散在する多島海となった。


 住宅地は、その開発時期によるタイムラグを持ちながら、螺旋を描くように、若夫婦が子育てをし、老いてゆく、そのサイクルを繰り返していた。

 子供は、保育園・幼稚園・小学校・中学校・高等学校を必要とした。一定の年齢幅はあるものの、同年齢の子供たちは中学校に進む頃には保育園をほとんど必要とせず、また、高等学校に進む頃には幼稚園をほとんど必要としなかった。

 保育園は幼稚園への転用が利かず、また、幼稚園は小学校への転用が利かない。有るものは少数の者のために収支の均衡を失いながら、新しいものは少数の者のために先行投資を強要された。

 当初補助金を求めた教育法人は、規制を嫌い補助金を拒否したが、また、末期に補助金を求めた。

 無秩序・無計画な住宅地が都市計画の名の下に形成されていった。

 行政機関の組織の肥大化は、行政人のポストの増加であり歓迎されたが、行政人の税の自己消化への道でしかなかった。しかし、一個人の就業期間はことの終始を見るほどには長くなく、多くの者たちは、盛んになるなかで永らえながら、惜しみながら失職していった。


 多くの子供たちは、高等学校の年齢から住宅団地、集落を出るようになり、その親たちはそれを追うように都市部での職を終え、老人となってゆく。
 優良な納税者は、税の消費者となり、行政サービスはその収支の均衡を失った。


 知人を送るごとに虫食い状態となる住宅団地、集落にあって、老人たちは、マーケットを失い、トラックの移動マーケットで買い物を済ませ、ひたすら孫たちの来訪を待った。
 しかし、都市部に通じる道路の舗装は破損が放置され、住宅団地、集落を訪れる者は夏冬の休暇期間でも多くはなかった。

 住民でもある老医師が、亡くなった時、ほこりにくすんだ集会場に多くの住人が集まった。

 涙を流す者、阿呆のように遺影を見る者。


 やがて、送る者さえいなくなる住宅団地、集落。





2001年12月ご都合通信上旬号掲載の小話を再録する。


(ご都合通信社)





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Last updated  2009.02.26 09:15:22
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