楽天の買い物レビューで書いたことの再録(仮)

楽天の買い物レビューで書いたことの再録(仮)

PR

Profile

執事

執事

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Oct 21, 2008
XML
カテゴリ: わたしの読書




☆ そこに描かれた個人の物語は,前回も指摘したように正は正,邪は邪と描けば主人公だけに光の当たる「サラリーマン物」になっただろうところを,そのような単純な善悪二元論を慎重に避け,正邪の入り乱れた複雑な姿を描いている。邪(よこしま)を多く描き,それがゆえに物語の最後に身を滅ぼす男ですら,その生い立ちとボート・ピープルとして生き抜いた壮絶なエピソードを描くことで,なぜこの男がここまで力(汚職に支えられた金の力)を頼りに生き抜こうとしているかをキチンと描いてみせる。だから物語に奥行きができ,その対比としての主人公の正しさが時に脆さに変わることを示唆しているのである。

☆ しかし『アジアの隼』から10年経って,これらの国々にインドを含んだ東~南アジア諸国の興隆は目を見張るものがある。小説に描かれた時代には知ることもなかったこれらの国の市場に専ら投資信託という形で本邦からも個人投資家の資金がかなりの量投入されていることは興味深い。また,その反面,リスク(この場合は専ら「流動性リスク」を蔑ろにした「営業姿勢」が一部の投信会社に見られることは眉をひそめるべき事だろう。具体的な銘柄や投信会社は名指ししないが,募集時には「慎重な投資」を約束していた某国市場に結局なし崩し的に資金を投入し,世界金融恐慌の混乱でその市場が閉鎖に近い状況になると「解約受付を停止した」と「日経ヴェリタス」に報道されていた某投信などはその悪しき見本といって良いだろう。結局,米国流の投資銀行モデルの猿真似で手数料欲しさのビジネスをやっているから投資家の資金を傷つけるのではないかと思わざるを得ない。というのも,この投資信託の説明会なるものに顔を出した時,説明者である投信会社の幹部の説明に疑問を持ち「ベンチマーク」について具体的な質問をしたが,満足な回答を得られなかったという実体験があるからだ。

☆ このように「投資銀行モデル」の脆弱さは個別の商品レベルでは如実に出てくるのだが,それを意識的に突き進んでいくことにおいて,ペレグリンの「墜落」と今回の金融恐慌との相似形は示唆深いものがあると思う。そして小説ではサイドストーリーとして描かれたパキスタンという国の国情を思い,さらにかの「投信」の行く末をも考える時,なかなか複雑な思いを抱いてしまうのである。

=了=








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Oct 21, 2008 08:57:12 PM
[わたしの読書] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

コメントに書き込みはありません。

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: