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Nov 1, 2008
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カテゴリ: わたしの読書

すべての経済はバブルに通じる

☆ 著者は証券化の本質を「商品化」であると指摘するが,「商品化」とはどういうことか。

> 金融市場に対してもっとも大きな影響を与えた現象としての証券化の本質とは,資産が証券化されると同時に「商品化」され,価格が付くということなのだ。価格が付くとは,単に鑑定評価額などの理論的な価値が決まるのではなく,「市場価格」が付くという意味だ。そして,これが本質的な変化をもたらすのである。

☆ 注目すべきは「市場価格」が理論的な価値から遊離したものになることを示唆しているところである。バブルという現象の本質は "あるものの価値がその実態価値から遊離し過大に評価される過程ならびにそのようにして「作られた」価値 " のことであるとすれば,1980年代末にこともあろうに「トービンのq」をバブル化した「qレシオ」なる妖怪が登場したのと同じ過程が「証券化」という一見合理的なプロセスの中に紛れ込んでいたと指摘しているように思う。

☆ このような「商品化」がもたらした影響について著者の指摘は明快である。

> では商品とは何であろうか。一般的には,商品とは,店などで売られているモノであり,そのモノは,広く潜在的な買い手を想定して作られていたり,ディスプレイされていたりする。証券化商品も同じである。様々な投資家が買う状況を想定して作られ,売り出され,宣伝されているのが,証券化された投資商品なのだ。

> 投資商品は,たとえば,ハイリスクハイリターンとかミドルリスクミドルリターンという大まかな分類で,投資家に提示される。つまり,リスクとリターンの2つの軸で標準化されているのだ。どんなに複雑な証券化商品も,結局は,リスクとリターンの2つの軸で,投資家に対して提示される。そして,その組み合わせに対して,投資家は自己のリスク許容度,リターン追求度など,自己の嗜好に合わせて投資商品を選ぶことになるのである。

☆ 投資におけるリスクとリターンは,投資する金額(元本)に対する「期待収益率とその振れ幅」という形で整理される。ところで著者の記述にもあるように,投資信託の説明書を典型とした投資商品においては,一般的なリスク・マネジメントで使われる「リスク・マップ」が用いられることが多い。これは,発生しうるリスクについてその影響の大きさを縦軸,発生頻度を横軸として表わすものだ。

☆ 本来的「投資リスク・マネジメント」で,リスク・マップは標準偏差で使われる「釣鐘状の分布グラフ」で表されるべきであろう。T字を逆さまにして,真ん中をゼロとして,左側が損失,右側が収益となるあの図である。

☆ 同じ「リスク・マップ」でも両者の意味するところは全く異なる。後者のリスク・マップは損失の発生機会を意識させるが,前者にはそれはない。一般的な用語,企業などで使われるリスク・マネジメント同様,発生の頻度と影響の大きさは理解されるが,その「影響」が損失に繋がるという印象は与えない。



=続く=







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Last updated  Nov 1, 2008 07:19:44 PM
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