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トイモイ

全て | カテゴリ未分類 | 海外 | 国内旅行 | アジア | 欧米

2006.03.16

　１９８６年２月に１８歳大学１年だった私は、インド、コルカタ（カルカッタ）のダムダム空港にいた。

エアインディア、香港、バンコク経由カルカッタインデリーアウトのチケットは１６万円であった。勿論、最安値の格安チケットであり、そのため香港、バンコクで１時間のトランジット。

　今もあるのだろうか、DSTツアーというのがあって、主催は「地球の歩き方」であり、それはこの飛行機のチケットにカルカッタとデリーでそれぞれ１泊ついている（空港送迎つき）のツアーで、実は、このエアインディアには１００人以上の学生がこれを利用しており、まさに貧乏学生飛行機といったおどろどろろしい若気の漲ったフライトであった。

　カルカッタに着いたのは夜中であり、建物に掲げられたヒンドゥ語のオレンジ色っぽい電光文字が暗闇の中におぼろげに浮かんでいる。そのツアーの正体を知らなかった私は、「うわー１００人以上が空港で寝る訳なの？」などと考えたのであるが、１００人は、バスに順次乗っていき、先ほどのどよめきが一気に消えた。

今宵を空港でごろ寝。数人を残し、国際空港とは思えぬ閑散さ。

　長く、震える夜を過ごした。北インドが結構この季節冷えるとは情報を仕入れていなかったなあ、思った瞬間、ほとんど何の情報も仕入れていなかったことに気がついた。ただの田舎出身無防備野郎だったのだ。

サリーを来た女性が歩いて行った。
「おおお、空港の中までサリーなんてサービス満点」などと思っていたのであった。ヒンドゥ教の女性は上流階級から土木作業員までほとんどがサリーだったのだ。汚れきったサリーを着て、頭にレンガを乗せるののであった。インドに来るまで、女性のほとんどが民族衣装を着ているとは知らなかった。

　朝靄。ちょっとインドを垣間見てやろうと、空港と扉をエッチな気分で少し開けてみた。痩せこけた牛が一匹止っている。牛は視線を感じたのか、一応こちらを見たが、焦点が定まっていなかった。

空港で残され、寝袋を敷いてごろ寝をした我々学生は、東大生、東北大学生、早稲田大学大学生、一ツ橋大学生、そして私に、大阪芸術大学生であった。
我々は、朝を迎え、タクシーに乗り込み、市内に向かうのであった。
しかし、タクシー料金の交渉になったとたん、英語を話せるのが、大阪芸術大学生だけだということが判明し、誰も英語が話せなかった。もはや、我々は、この芸大生の金魚の糞状態である。

　タクシーの中からカルカッタ郊外をビデオでも見るようにお上りさん感覚で眺めている。牛乳缶を自転車で運ぶ人。川沿いにいつまでも続く貧民街。路上生活者にムシロ。路上のポンプで体を洗う子供達。褐色の痩せて棒のような手足。光った体。はっきりしている。視覚的に。よく見える。理解など、できないが、日本よりは隠されていない。エネルギッシュだ。

　タクシードライバーとも目的地に着けば、交渉決裂。店のおやじや通行人や乞食も集まり、何やら大声でわめき散らす。どうやら、我々乗客の味方は我々だけらしい。救世主か、チャイ屋のおやじがチャイを両手に持ち現れた。
「さあ、疲れたろう、これでも飲んで交渉ゆっくりしたまえ」
我々は、芸大生に交渉を任せるのであった。

そんなことがあって、国立の東京藝術大学もあるので、大阪芸大に入るのは、芸術的才能が必要で、それは東大や東北大学、一ツ橋より入るのが困難である、とその後５年間は思っていたのであった。

東北大学

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最終更新日 2006.03.16 00:05:20
コメント(10) | コメントを書く

■コメント

Re:インドの第一歩はタラップから両足で踏んだ(03/16)

放浪の達人さん

僕も初めてのインドはカルカッタでした。
空港内の両替屋で1時間並んで
市内までのタクシーの交渉にウンザリし、
「ガイドするから金くれ」「降りろ」
「降りるから金くれ」「・・・」
彼は僕の左足に押されてドアから転がって落ちた。

翌日は野宿しました。

(2006.03.16 00:47:10)

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Re[1]:インドの第一歩はタラップから両足で踏んだ(03/16)

トイモイさん

放浪の達人さん
だいたいからにして、イミグレのおっさんが、スタンプ押す前に「スベニアー」とか「ボールペン」だとか五月蝿くて、しばいたろかと思いました。１時間は並んだよなあ。
私も３回目のカルカッタでは、タクシー乗車中、値段の吊り上げに入られ、空港に引き返させました。

そういえば、昔、シク教のオートリキシャで運転中に値段でけんかになり、ターバンを引っ張りまわしたら、彼の目が引っ張られて吊りあがって余計にいかつい顔になりました。ははは。 (2006.03.16 02:31:04)

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Re:インドの第一歩はタラップから両足で踏んだ(03/16)

kelly: さん

エアチケットは昔のほうが高いのね・・・航空会社は苦しいはずだわ。

偏差値ヒエラルキーなんて脆いもんだわさ！ (2006.03.16 07:18:26)

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Re:インドの第一歩はタラップから両足で踏んだ(03/16)

風任さん

自分の場合インド初上陸がデリーだったのは幸いでした。
空港で順調に客引きを追い払い、リムジンバスに乗って平和にデリー市内に着きました。

カルカッタは鉄道で入って出国の時飛行機に乗ったけど、
一緒に行った夫が順調にイミグレでコインとボールペンをねだられていました。
「俺は銀行員だしボールペンはこの一本しかもってないからダメ」
という言い訳で係官を諦めさせてました。英語の出来る夫は実に有難いです。
(2006.03.16 09:05:47)

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Re[1]:インドの第一歩はタラップから両足で踏んだ(03/16)

といもいさん

kelly:さん
そうそうこのときの予算が飛行機代１６万円。１ヶ月の残り生活費すべてが３万円でしたから。 (2006.03.16 13:44:45)

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Re[1]:インドの第一歩はタラップから両足で踏んだ(03/16)

といもいさん

風任さん
デリーとは幸いでございました。
そういえば、カルカッタ空港出国の際に、えらい困りましたわ。ガンもっとるんちゃうかっていちゃもんつけられて。「ガンでなくてティーだ」というのがせいぜいでした (2006.03.16 13:46:28)

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Re:インドの第一歩はタラップから両足で踏んだ(03/16)

ひょいひょい。さん

両足で飛び降りたといもいくんをおもうに。
かわいいです。 (2006.03.16 14:19:39)