あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

PR

Profile

粗忽のたかびー

粗忽のたかびー

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

2022.11.29
XML
テーマ: いい言葉(571)
カテゴリ: 緩和ケア

在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期/世界文化ブックス編集部【3000円以上送料無料】

今朝、自宅で旅立たれた90代の女性。

2ヶ月前より食事をする度に吐くようになり地域基幹病院の消化器内科を受診、膵臓がんによる十二指腸狭窄と診断された。

PICCが留置され高カロリー輸液を受けながらホスピスに5週間前に転院してきた。

本人は、「点滴も食事も要らない。ただ家に帰らせて貰って、おばあちゃん、死なないでー、という声を聞きながら死にたい。」と仰った。

そうなら話ははやい。転院した次の日から高カロリー輸液はやめ、ステロイドホルモン剤と胃薬だけを点滴した。すると不思議と嘔気はおさまり食欲が戻った。一週間でそこそこの量を食べられるようになり、本人はいたく喜んで退院した。

それから3週間、本人がリクエストするご馳走を買ってきたり、取り寄せたり、時には娘、馬子で作ったり。本人はちょっとしか食べないのて、家族は毎日、全国各地のご馳走を食べて過ごした。もちろん費用は全ておばあちゃんの財布から。

一週間前からほぼ食べられなくなり、嘔吐もするようになった。モルヒネと吐気止めの坐薬でまず対処し、この3日間はモルヒネの持続皮下注で苦痛なく過ごしてくれた。

そして今朝旅立った。
家族に聞いてみた。

そしたら娘さんが
「もう思い残すことはない、はよ参らせて欲しい、と昨日は言ってました。死なないで、と言ったら怒られたかも知れません」と、言って笑った。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2022.11.29 21:51:28
コメントを書く
[緩和ケア] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: