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2021年10月17日
テーマ： 一枚の絵(256)
カテゴリ： 詩
『ベクシンスキーの絵のように…（４）』
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立ち並ぶ巨人兵の如き修道僧
その岸壁に挟まれて
独り男が心細げな松明を片手に
潜り抜けようとしている…
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この畏怖漂わせる聖者の参道を進むは勇者
幾億幾千年の時を超えて繋ぐもの
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暗く陰鬱とした領域に
足を踏み入れた若者は
引き戻せないことを知っている
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そしてこの世界の印象とは裏腹に
不安を感じてはいない
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恐れることそのものが
敗北であることを
理解しているからだ
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行く手を拒むその道にこそ
求めるものの鍵が
隠されていることに
気づいている
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巨僧をひとり
またひとりと過ぎさるたびに
彼には真実を解き明かす
条件というものが整ってくる
.
この時いぶかしむ巨僧をひとりの頭が
溜まらずにして傾げ
この若者を眺め下す
.
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「越えおった…」
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小さきながら、低く轟いたその声は
風となり、彼を追いかけ、松明をかすかに揺らす
.
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もう一人の巨僧は餌をぶら下げている
若者は見向きもせず、気にも留めない
.
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一際威圧感を発する巨僧の前
その威張り腐った佇まいが
この世界を作り、凍り付かせている
.
彼らは死の世界から遣わされ
防いでいる
.
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その先の世界に、彼ら自身は
入ることを許されいるわけではない
.
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ここでもう一人の巨僧が静かに祈りを始める
自然と胸の前に出た手は
若者が進むことを拒絶せず
むしろ見守っている
.
下界から偉人が現れたのだ
.
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この巨僧たちの一族から
死神が地上に遣わされていることに気付くと
山門は近いのだと知る
.
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Eili...
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