極上生徒街- declinare-

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矩継 琴葉

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2007.09.29
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カテゴリ: 小説

※前に投稿用の小説を書いているといいましたが、 それを書いている途中に思いついてしまった作品
 また、ものの数分でスルスルと最後までの展開が出来上がってしまったので、気が付いたらこっちを書いてましたw 設定が浅いとか、文章が荒いのは趣味の域での作品なのでご理解ください。誤字脱字もご愛嬌w
 投稿する気も無く、割と短めな作品なので、 短期集中連載 にしたいと思います。
 しばらく休止にするといったのですけどねw
コメントしたい場合は、最終話までお待ちください 。全部読んでからの方が良いでしょうからw
 というわけで、 先行で1,2話連続公開です!


※一部過激な内容が含まれますのでご自身の判断でお読みください※




 先にあるのはベランダだ。
 追ってくる何か、黒い影、あるいは人のようなものから逃げるため、ベランダへとでる事を決める。そこで、声を上げれば誰か助けてくれるはずだ。最悪でも隣人に届いてくれれば!
 女性は震える手で、鍵を開けると外へでた。

「助け――」


(ま、待ってくれ!止めろ!殺すなぁぁぁ――)


 女性が叫ぼうとした瞬間、背後に迫った黒いものに突き飛ばされ、そのままマンションの高層階から地面へと落下、全身を激しく叩きつけられた。頭が割れ、血と脳髄が混じったものが弾けとんだ。即死だ。


「ウワァァァァァァァァァ!!」


 私はベッドから飛び起きた。……また夢だった。
 何日目だろうか? 最近、人が殺される同じ夢ばかり見てしまう。まったく気が滅入る。
 寝起きに、油を飲まされたかのような不快感が胃を襲う。正直、吐いてしまいそうだ。いや、これでも初めはもどしてしまった。夢の中とは言え、あまりに現実味を帯びすぎていた。
 目覚ましに目をやる。時計はまだ5時前だった。あんな夢を見てから、二度寝などできるわけもない。このままでは、この時間に起きるのが習慣になってしまう。困ったものだ。
 結局私は、5時過ぎにベッドから出て、いつものように7時半に家を出た。






「よっ!おはよ。どうした須藤?また寝不足か?」


 私の名前は、須藤信彦。25歳の会社員だ。
 いつものように、会社の1階でエレベーターを待っていると、同僚の伊藤が肩をポンと叩いてきた。


「伊藤か……」


「どうしたんだよ? 最近ずっとだよな?」


「悪夢だよ、最近、悪い夢ばかり見るんだ」


 私は、ため息を一つ吐き、肩を落とす。


「悪夢か。俺もよく見るよ。で、どんな夢なんだ?」


 夢が夢だけに、私は一瞬躊躇ったものの、話してしまえば少しは楽になると思い伊藤に夢の内容を打ち明けた。


「なるほどな。そりゃ、寝不足になるわ。まぁ、夢を見る原因は、ストレスだろ。今日のみに行くか?」


 予想以上に軽い返事が返ってきた。
 所詮は夢だということか。そうだ。ただの夢だ。
 続いているのは、ストレスのせいだ。重く受け止めすぎるから見てしまうのかもしれない。夢のことは、忘れよう。


「飲みに行くのはいいが、酒を飲めないの知ってるだろ……」


 伊藤は、あっ、と声を出して、悪い悪いと平謝りした。
 そうしている間に、エレベーターが到着した。









「ったく。何件目だよ」


 刑事の北山武は、タバコを吹かしながらぼやいた。
 髪はボサボサ、スーツはヨレヨレ、足取りも重い。相当疲れが溜まっているのが伺える。この姿で、マンションのエレベーターを待っているのだが、逆に変質者に見えてしまう。


「4件目です」


「まじめな答えは期待してねぇよ」


 真面目に返してきた部下の林陽介(はやし ようすけ)に北山はツッコミを入れた。
 某有名大学卒で、生真面目過ぎる林を未だ好きになれない。若者らしくない落ち着き方、まだ1年半というキャリアのくせに、ベテランのような風格を漂わせている。オマケに、鉄骨でも入れているかというくらい、背筋がピンと張っていて、気持ち悪い。どうにもイマイチ好きになれずにいた。
 エレベーターが到着すると、北山は逃げるように乗り込み、階のボタンを押すのを林に任せ、無気力に壁に背を預けた。
 2人の間に、特に会話も無く、事件とは別の重い空気のまま、エレベーターは上がり、11階で止まった。
 北山は携帯灰皿に1本目の吸殻を捨て、2本目に火をつけると、真新しい通路を歩き現場の1103号室へ向かった。その後ろを、ピタリと張り付くように林が追いかけた。



「ご苦労様です!」と敬礼する警官に、軽く挨拶をし、2人はコーションテープの下を潜り、現場へと足を踏み入れた。


「おい!北山!現場でタバコを吸うなと言ってるだろうが!」


 ベテラン鑑識官の田原新蔵(たはら しんぞう)が眉間にシワを寄せ迫ってきた。まるで、昔近所に一人はいた、怖いじいちゃんのようだ。


「はいはい。分かりましたよ」


 怒られた不良のように、不貞腐れた態度で、火をつけたばかりのタバコを灰皿に埋めた。


「田原さん、ここが本当に現場ですか?」


 北山の変わりに、林が田原に聞いた。
 玄関にいるのだが、扉には傷一つなく、こじ開けられた様子も無い。
 ハイヒール、芳香剤に、花瓶と生花。綺麗に整理されており、何かが起きたとは思えない。


「おいおい、今度は現場もしらねぇのかよ」


 声に怒気が含まれている。目線をはずし、舌打ちまでされてしまった。完全に怒らせてしまったようだ。
 田原は仕方ないといった様子で「付いて来な」と言うと、二人を部屋の中へ上がらせた。
 部屋の中は、サッパリとしていて、少し生活感に乏しい気もするが、これはこれで、やはり綺麗に纏まっている。
 唯一、気になるといえば、テーブルの上が散らかっていることだろうか。周りが整頓されているだけあって、異様である。


「ここだ。下を見てみろ」


 案内されたのはベランダだった。
 だが死体が見当たらない。


「どこだよ爺」


「あぁ? 何か言ったか?」


(北山さん!)


「そこだよ。下を見てみな。マンションの入り口とは逆だったからな。目に入らなくても当然だけどな」


 田原が指を刺したのは、ベランダの下だった。
 高さがあるので、2人は恐る恐る見下ろすと、駐車場の中に青いビールで囲まれた一角があった。鑑識と、別の刑事が動いているそこに、女性の死体を見つけた。


 ため息を一つ「同じだな」と北山がつぶやいた。
 続けるように、林も「同じです」と合わせた。


「自殺じゃ……ねぇよな」


 北山の顔が引き締まり、目つきも鋭くなる。
 先ほどまでの様子とまったく違う。完全に別人だ。


「他の3件と似すぎてます」


「お前に聞いてねぇよ! 黙ってろ! どうなんだ爺」


 林に怒鳴り散らし、北山は田原の方へ振り返った。


「あぁ……間違いない」田原が静かに頷いた。

<第2話へ続く>






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最終更新日  2007.09.29 16:42:49


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