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カテゴリ: huomio
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『集義和書』書簡之四

  一 来書略。士は賢をこひねがうと承(うけたまわり)候間、
  いにしへの賢人の行跡(ぎょうせき)を似せ候へども及がたく候。
  たまたま少し学び得たる様にても、心根は凡夫にて候。
  外(ほか)君子にして内(うち)小人とや可 申候。
  いかが受用 仕(つかまつるべく)候や。

  返書略。予、近此(ちかごろ)、いにしへの賢人君子の心を察し、
  自己の備(そなわ)れるところを見て、学舎のかべに書付(かきつけ)をき、
  小人(しょうじん)をはなれ君子となるべき一助にいたし候を、
  即(すなわち)うつし致 進覧 (しんらんいたし)候。

     君子
  一 仁者の心、動(うごき)なきこと大山のごとし。
  無欲なるが故によく静(しずか)なり。
  一 仁者は太虚を心とす。天地・万物・山水・河海みな我有(わがゆう)なり。

  順逆は人生の陰陽なり。死は昼夜の道なり。何をか好み何をかにくまむ。
  義と共にしたがひて安し。
  一 知者の心、留滞なきこと流水のごとし。
  穴にみち、ひきゝにつきて終に四海に達す。
  意をおこし才覚をこのまず、万事不 己(やむをえず)して応ず。
  無事を行(おこなつ)て無為なり。
  一 知者は物を以て物を見る。己にひとしからん事を欲せず。
  故に周して比せず。
  小人は我を以て物をみる。己にひとしからんことを欲す。
  故に比して周せず。
  一 君子の意思は内に向う。己ひとり知(しる)ところを慎て、
  人にしられんことをもとめず。天地神明とまじはる。
  其人がら光風霽月のごとし。
  一 心地(しんじ)虚中なれば有することなし。
  故に問(とう)ことを好めり。まされるを愛しおとれるをめぐむ。
  富貴をうらやまず、貧賎をあなどらず。
  富貴は人の役(えき)なり、上に居(おる)のみ。
  貧賎は易簡(いかん)なり、下に居のみ。
  富貴にして役せざれば乱れ、貧賎にして易簡ならざればやぶる。
  貴富なるときは貴富を行ひ、貧賎なる時は貧賎を行ひ、
  すべて天命をたのしみて吾あづからず。
  一 志を持するには伯夷(はくい)を師とすべし。
  衣を千仞(せんじん)の岡にふるひ、足を万里の流にあらふがごとくなるべし。
  衆をいることは柳下恵(りゅうかけい)を学ぶべし。
  天空(むなしう)して鳥の飛(とぶ)にまかせ、
  海ひろくて魚のをどるにしたがふがごとくなるべし。
  一 人見てよしとすれども、神のみることよからざる事をばせず。
  人見てあしゝとすれども、天のみることよき事をばこれをなずべし。
  一僕の罪かろきを殺して天下を得(うる)ことをもせず。

     小人
  一 利害に落入(おちいり)て暗昧(あんまい)なり。
  世事に出入りして何となくいそがはし。
  一 心思、外に向(むかい)て人前を慎(つつしむ)のみ。
  或は頑空(がんくう)、或は妄慮(もうりょ)。
  一 順を好み逆をいとひ、生を愛し死をにくみて、願(ねがい)のみ多し。
     順は富貴悦楽の類なり、逆は貧賎患難の類なり。
  一 愛しては生(いき)なんことを欲し、悪むでは死せんことを欲す。
  すべて命を不 知(しらず)。
  一 名聞深ければ誠すくなし。利欲厚ければ義を不 知。
  一 己より富貴なるをうらやみ、或はそねみ、
  己より貧賎なるをあなどり、或はしのぎ、
  才知芸能の己にまされる者ありても、益をとる事なく、
  己にしたがう者を親しむ。
  人に問(とう)ことを恥て一生無知なり。
  一 物ごとに、実義には叶はざれども、当世の人ほむる事なれば、
  これをなし、実義に叶(かない)ぬる事も、人そしれば、これをやむ。
  眼前の名を求(もとむ)る者は利也。名利の人これを小人といふ。
  形の欲にしたがひて道をしらざればなり。
  一 人の己のほむるを聞(きき)ては、実に過たる事にても悦びほこり、
  己をそしるを聞ては、有ことなればおどろき、なきことなればいかる。
  あやまちをかざり非をとげて、改むることを不 知(しらず)。
  人みな其人がらを知(しり)、其心根(そのこころね)を知てとなふれども、
  己ひとりよくかくしてしられずと思へり。
  欲する所を必として諌(いさめ)をふせぎていれず。
  一 人の非をみるを以てをのれ知ありとおもへり。人々自満せざる者なし。
  一 道にたがひてほまれを求め、義にそむきて利を求め、
  士は媚びと手だてを以て禄をえんことを思ひ、
  庶民は人の目をくらまして利を得(うる)也。
  これを不義にして富かつ貴きは浮かべる雲のごとしといへり。
  終に子孫を亡すにいたれども不 察(さっせず)。
  一 小人は己あることを知て人あることを不 知。
  をのれに利あれば、人をそこなふ事をもかへりみず。
  近きは身を亡し、遠きは家を亡す。
  自満にして才覚なりと思へる所のものこれなり。
  愚これより甚しきはなし。







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Last updated  2013年03月04日 06時40分00秒
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