*アメとムチャ**

Jun 17, 2006
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タカをくくってたわけじゃないのです。
まさかあたしが、なんて安心していたわけでもない。

だって、人より心配性だし、気にしぃだし。
そういうふぅに育てられた。

あのときだって、そう。

気をつけてたの。

でも、
何で事故が起こるかっていうと、
やっぱり、他者がいるからで。
(他者じゃないにしろ、対象物ってあるしね)

一方が気をつけてるだけで防げるかって言うと、
100パーセントじゃないでしょ。

99パーセントふせげても、
1パーセントは、きっと、
予測もしない些細なことや、予想もしない他者の行動で起こる。

***

だから、おこった事故。
それを、身をもって知った。

愛する家族の前で、
轢かれたあたしの身体。
一部だったけど、そこは悲鳴を上げた。

いたかった。
こわかった。

耳に聞こえる悲鳴は、
隣を歩いていた、姉からのもので、
それを聞いたママも、手の届かないところから、悲鳴を上げた。
それを聞きつけたパパも、
すごい形相で飛んできた。

車は、
とまっているのに、

どうしてあたしの身体の上に、
まだ乗ってるんだろう。
どうしてこの人は、
あたしを踏みつけにしたままなんだろう。
どうして早く、
どいてくれないんだろう。

そぅ思った。


姉が、運転手に攫みかかって、まくし立てているのが見えた。
叫んでいた。

予想できてたこと。
あぁ、きっと家族は、つかみかかっていくんだろう。
誰かが止めなければ、
きっと、めちゃくちゃだ。
あぁ、愛されてるからね、あたし。

ぼぅっと、そんなことをかんがえていた。

ママも、パパも、
駆けつけて、
力いっぱい、なじっていた。

もう、
いたくなかった。
こわくなかった。

それ以上に、
胸が押しつぶされるほど、
苦しかった。

身体的より、精神的の方が、
イタィときだって、あるから。
きっと、家族の心は、壊れそうに震えていたんだろう。


きっと、
あたしが悲鳴を上げずにいられたのは、

大の男の胸倉をつかんで、我を忘れて叫んで、
あたしの肩を抱いて、しゃくりあげている姉がいるから。

きっと、
あたしが平静で要られたのは、
気がふれたように震えて、大泣きしているママがいるから。

きっと、
あたしが恐怖をぬぐえたのは、
パパが、我を忘れて怒声をあげていたから。

家族が、
いてくれたから。
あたしのかわりに、
怖がって痛がって胸をつぶしたから。

痛いことは、
そんなことを考えたら、
平気だった。

ともかく、
3人を運転手から引き剥がした。

***

奇跡的なこと。
は、
たくさんあった。

いつもミュールをはいているあたしが、
その日はテニスシューズをはいていたこと。
スカートをやめて、厚手のジーパンをはいたこと。
傘をさしていなかったこと。
前輪後輪で踏みつけられて、まったく骨折はなかったこと。

そして
あたしも姉も、擦過傷というものが、
まったくなかったこと。

***

痛くなかったというのは、
嘘。
怖くなかったというのは、
嘘。

全部強がり。

気がふれそうだった。

ほんとは。
ほんとは。

いえなかったけど。

***

事故直後だからではなく

車が怖い。
日常のささいなものが、怖い。

車に乗ることも
道を歩くことも、
とがったものや、凶器になりえるもののそばにいることが。

怖い。
こわい。
コワイ。

車を見るのも、今はとても
怖い。
痛い。

きっと、
ずっと、こわぃ。

大切な人に対しても、
思う。
心配で心配で、しかたなぃ。
怖い。
恐怖は、
ぬぐえない。

どうしてそんなに
みんな
注意散漫なんだろう。

"彼"は、
あたしたち姉妹を、"見えていた"といった。

それでも、警察や両親には、
"見えていなかった"といった。

そんなモノのために、
何人の人が犠牲になったんだろう。

***

ひとつおもうのは、
家族のだれでもなく、あたしでよかったのかもしれないと思った。
金輪際一切絶対御免被りたい。
遠慮しときたい。
自分にも、もちろん、家族にも、大好きな人にも。

でもね、
あたしだったからこそ、これだけですんだのかもしれない。
もしあたしじゃなかったら、
あたしだって、気がふれていただろう。
そして、
誰もそれをとめるひとはいなかっただろうな。

家族の前で、
医者や当事者、警察と話しをするときは、
笑っている。
あたしは。

心配させたくないから。
大丈夫と、安心させたいから。

でも、
それでも君に言っちゃったのは、
上に述べた心境だからであって。

べつに、君に心配かけたかったわけじゃなくて、
ただね、誰にもいえなかったから。

ほんとに、
恐怖だった。
ほんとに、気が狂いそうだった。





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Last updated  Jun 23, 2006 09:59:32 PM
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