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映画『来る』とは、後半がやや違う。映画では、ぼぎわんというバケモノは、国家を挙げて倒すほどのバケモノになっているけれど、原作ではあくまで、K市に存在するバケモノなのである。けれど、社会的事情、経済的事情、家庭の事情、個人の事情、経済的困窮により育てられなくなった子供の遺棄、親の虐待、子殺し、いろんな理由で捨てられた子供、殺された子供の恨みや怨念がバケモノとなって、人を襲う。それは、日本のどこにでもあったことで、それを第一章の主人公秀樹の祖父母の故郷である地方の小都市K市にスポットを当てて描き出す原作と、全国レベルのバケモノとして描き出す映画との違いである。それがどちらであっても、今現在の社会の子育ての問題や、少子化、人口減少と、現代の社会問題にテーマを絞り、それが、過去にも繋がっていく展開が、ホラーでは終わらない深い物語として、みごとだなと思う。現在、ニュースで取り上げられる虐待による殺人が、必ずしも現代に起きたものだけでなく、過去から連綿と続く問題であること、それがこれからの少子化、人口減少を問題とする現代にあっては、ただ万全と個人の問題として、取り上げられて終わってしまってはいけない問題なのだと、再認識させてくれる。核家庭だけではこなしきれない子育て、家庭だけでは負担しきれない肥大化された現代の教育費、社会の維持のために、社会が負担し、問題視し、助けて、救い上げていかなければならない子育てと、教育を、社会がもっと真剣に向き合わなければいけない問題なのだと、物語が語る。人口減少でやばいのに、虐待なんてしてる場合じゃないだろうと思うのです。バケモノは怖いけれど、そのバケモノを生み出しているのは結局は、人だ。第一章では、主人公秀樹が意識した瞬間に、ぼぎわんが出現する。第二章では、夫秀樹を呪う妻香奈の恨みの心が、ぼぎわんを呼び寄せる。第三章では、子供を作れない、子供を持てない者の心の痛みが、子供をもつ他者を呪う心がぼぎわんを呼び出す。そして、夫に子供を殺された母の呪いがぼぎわんを、生み出す。呪いと恨みが化け物を生み出し、成長させる。そんなぼぎわんに連れ去られ、飲み込まれたはずの知沙が、ぼぎわんに吸収されなかったのはなぜか。ぼぎわんに飲み込まれるのは、愛されず、邪魔にされ、捨てられる子供。けれど、知沙は、秀樹にも、香奈にも、真琴にも、愛されている子供。それは、ぼぎわんの中では異質のもの。呪いがぼぎわんを生んで、愛がぼぎわんを否定する。苦しいけれど、子供を愛する心は、いつの時代にだってあったはず。これからの世界にだってもちろんあるはず。ぼぎわんが、来る (角川ホラー文庫) [ 澤村伊智 ]楽天で購入
2019年02月22日
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