ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2007年03月27日
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カテゴリ: 社会系エッセイ


というような内容の文章を読んで驚いたものだ。
これは渡辺淳一の小説『化身』にでてきたもので、すでに二十年位前のヒット作で、映画にもなり、主演は黒木瞳だった。この時の黒木瞳はまだぺーぺーの新人女優だった。
私は本を買ったわけじゃなくて、会社にある日経新聞に連載されていたその小説をどういうわけか第一回から読み始めてしまって、毎日会社で読み続けていたのですよ。新聞の連載小説を読んだのはその時が初めてで、どういうわけか面白くなってずーっと読んでいたら、世の中でも話題になって、テレビドラマになるわ、映画になるわ。
ま、それはどうでもいいのだが、主人公は五十代くらいのおじさんで、それなりに社会的地位の高い独身。黒木瞳の前にもう一人恋人がいて(これは映画ではなんと阿木陽子が演じてました。ヌードもあったのよ~)、別れちゃいますが。

その時私はまだ二十代という人生まっさかりの元気な時で、若い頃というものはとにかく眠くて眠くていっくらでも寝られるし、世の中が一番楽なのは寝ることだと思っていてたので、かなり意外だった。そんなものなのか?とその時思ったのだけれど。

実際自分が年を重ねてくると、たしかに若い頃のように一気に十時間くらい軽く寝続けるということもなくなって、昔はぜったいありえなかった朝の六時とか五時に目が覚めるようになってきてしまった。もう今じゃ十時間もなんて寝続けられない。

そうか。寝るのにも体力がいるものなのか。というのが最近実感します。

お年寄りが早起きなのも、そのせいで昼間うつらうつら昼寝してるのもだからなんだろうな。まとめて寝るほど体力がなくなっていくんだ。

私の父は病気がちの人で昔からいつも山のように薬を持っていて、そして、毎日薬ばかり飲んでいた。でもってしょっちゅう入院ばかりしていた。
「看護婦さんていうのはすごいよ。あんな仕事はなかなかできない。」
と、よく言っていた。

そんな父でも、晩年はもう入院すること自体がいやでしかたなかったようだ。体力がないので、すぐ高熱をだし、入院するのだが、熱がひくともういやだいやだといって退院してしまっていた。病院側はきちんと検査して、きっちり直ってからと思うのだが、すでに高齢になってくると、もうそんなことすら我慢したくないし、出来ないのだ。我慢や忍耐にも体力がいるんだろう。母がよく電話で私にそのことを言ってきていた。もうそこまで行くと無理に長生きすること自体も無意味だし、そのためにいやなことを我慢すること自体も意味がない。「いやなら、病院なんて出ちゃえばいいんじゃない」とわたしも答えていたものだけれど。

父は、子供の頃は病弱で、若い頃は内臓が悪くて下痢しやすいために脂の入ったものや肉類は一切食べられず(当然揚げ物なんかもだめです)、そのあと、胆石になり、さらにそのあともいろいろな理由で何度も入院した。そして晩年になると、頭の中に血がたまってしまって、穴を開けて血を抜いてもらったりしていた。血を抜くということは実際には、その中に脳の細胞も入っていただろうと思う。そこから急速にぼけ始めて母をうんざりさせていたけれど。

晩年は生きていること自体がつらくて、自殺しようと考えたりしていたらしい。と、母に聞いた。私は父がどうして死にたかったのかわからないのだけれど、やっぱり体の不調に耐え続けること自体がもうつらくてつらくてしょうがなかったのだろう。

でもさすがに出来なくて、最後は何度かの入院の末に、すーっと息が絶えて、亡くなった。こういうのはたぶん一応天寿を全うしたというのだろうけれど。さいわい苦しむこともなく、心臓が止まって一瞬で逝ってしまったらしい。

長男夫婦と同居していて、金銭的には心配もなく、さびしいこともつらいこともなかったはずだけれど、高齢による体の不調のつらさだけはどうしようもなかったのだろう。

私もときどきものすごい頭痛の時なんか本当に「死んじゃうとこういう痛いのを我慢しなくてすむんだろうにな」とか考えます。

こんなに体の悪い人なのに、身長は185くらいあってすごく体格のいい人だったのですが。

父は酒もタバコやらず、賭け事も女遊びも不摂生もなかったけれど、そのぶん一生病魔からは逃れられなかったようだ。

人間どんなに節約しても何かの形でお金を取られていくものなのか。父は晩年は自分のお金で無駄遣いばかりしていた。人間はその人生の中で決められた枠を使い切ると死ぬものなのか。父は自分のために人生に用意されたぶんのお金を使い切らないと死ねなかったのじゃないかとか思う。

その他にも人生に用意されたぶんの時間だけあぞひきったりすると終わりなのかなーとか。人生に用意されたぶん働いちゃうと終わりなのかなーととか、まあ、いろいろと考えてみたり。

人生に用意されたぶん勉強しきっちゃっても終わりかなー。

この記事のために「渡辺淳一」を楽天で検索してみたら、やっぱり「愛ルケ」がトップでした。楽しみすぎても死んじゃうのかなあ。


ホウカンボク








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最終更新日  2007年03月27日 10時11分35秒
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