出羽の国、エミシの国 ブログ

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2016年05月03日
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東条塾 で学んだ儒学をもとに浪士たちの先頭となり、天下国家を救う「国士としての無双」(国内に他に並ぶ者がいないほど優秀な人物のこと)となることを志にした。八郎が幕末維新の魁となった理由の1つは、鉄石から知った「 情報 」である。それにより、いち早く行動し「西の吉田松陰、東の清河八郎」と言われる先駆者となった。

 八郎の主な目的の1つに「攘夷」があり、単純で強烈に押し進められた。同時に、幕府が攘夷を実行するのがむずかしい(日本を守れない)と考え、「 回天(革命) 」を押し進めた。

 攘夷を急がなければならなかったのには理由がある。
日本が欧米列強、帝国主義の植民地にならないようにすることだった。たとえば、 清国 アヘン戦争 で半植民地化され、アジアで植民地にならなかったのは、 タイ王国
 今では想像は難しいが、日本はほぼ鎖国の時代で外国人とのコミニュケーションには言葉の壁があり、文化の壁もあった。日本国内でさえ、言葉の違いがあった時代だ。アヘン戦争などの情報は聞いたものに恐怖を与える。お互いの国や民族が疑心暗鬼になり、武力を示し国を守る必要があると考えたのだろう。亡くなる数日前には、手紙で“遠からず戦争になる”と書いているので、外国との戦争も視野に入れていたのかも知れない。

 八郎の攘夷実行(横浜焼打ち/予定日(1863/6/1(文3/4/15))は、八郎が幕府により暗殺されたために挫折した。その実行予定日は、 孝明天皇 により 徳川家茂 (将軍)が約束させられた攘夷実行の 約束日(1863/6/25(文久3/5/10)) より約1か月早い。幕府(将軍)の攘夷実行は口約束だけだったので、その約束日を過ぎ(あるいは待って) 下関事件や薩英戦争などの攘夷行動が起こるがそれよりも早い。
八郎の横浜焼打ち(攘夷計画)は孝明天皇の攘夷要請に呼応して幕府(将軍)や薩長より魁けて行おうとしていたものだったと考えられる。

 (最近では、幕府の外国との交渉や努力が再評価されている。しかし、幕府以外の人々には不十分に見えたか、うまく伝わらなかったことも多かったのだろう。幕府内での対立の問題や、一部の幕臣が幕府に距離を置くような行動(幕府内での争い)もみられた。(歴史的には尊王攘夷が倒幕と結びつく。攘夷は途中で挫折し開国へと進む。攘夷の挫折から学んだことがその後の近代化への成長を早めた。)

 ところで、八郎が目指したものとは、どのような国だったのか、そして実現するためにどのような「ストーリー」をもっていたのか。
八郎は早く亡くなってしまったので、そのストーリーを探すのは簡単ではないが、八郎の行動と暗殺された後の八郎の回りの人々の行動・出来事から推測してみた。八郎の行動には、ブレが少ない。それは具体的なゴールをイメージしていたからにちがいない、そう考えて印象深い言葉やよく使われる言葉から推測した。

 八郎が残した書に用いられている文字に“ 回天 ”という言葉がある。
赤心 (=うそ偽りの無いこころ) 報国回天倡始 」(嘘偽りのない気持ちで国に報い、回天を唱え始める)。
八郎の書いた書の1つにある。回天とは「時勢を一変させること」、「衰えた勢いを盛り返す」という意味なのだそうだ。ほぼ、革命という意味と置き換えてもいいだろう。

 回天(革命)で何をやろうとしたのか(回天をするものは何か)・・・歴史上の出来事から当てはめれば、「 王政復古の大号令 」に行きつく。


「魁てまたさきがけんの死出の山 迷いはせまじ皇(すめらぎ)の道」という歌がある。この「皇(すめらぎ)の道」が、幕府中心から天皇中心への政治(の国)、つまり王政復古の大号令ということになるだろう。おそらくこれが八郎のめざした国の形、ゴール(目的)ではなかったか。

 八郎の気持ちを代弁するかのように八郎の父が「 王政復古の大号令 」(1868年)に歌った歌が残っていた。
「思いつつ今日になりけり菊の花」
長い努力の末の達成感が伝わってくる。八郎の歌った歌ではないのだけれど、亡くなった八郎の気持ちを代弁しているかのようだ。(受止めるそれぞれの人が感じる下の句がありそうにも思えた。) 

 八郎の行動からは、具体的に同士(虎尾の会、浪士組など)を集い攘夷を実行し、その後天皇中心の政治へと変える・・・という流れが見て取れる。
もちろん、政治は王政復古してからがスタートなので、その後の具体的な政治体系も八郎は考えていたかもしれない、なぞはつきない。


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最終更新日  2022年09月24日 13時43分20秒
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