PR
Category
Comments
一流のダンサーだったのに、子供ができたことで、そのダンサー人生をあきらめた母は、自分の子供に自分がかなえられなかった夢への情熱を傾け、バレエ漬けの日々を選ばせるような育て方をし、溺愛する。そして、子供もバレーが好きになっていったが、いつの間にかバレエで成功すること=イコール自分となっていく。
夢をかなえられずに少し気が狂い気味の母。そして、ギブスのようにカチカチにその子供をはめ込み縛りつけていることに気が付かない。
そんな環境で育ったナタリーポートマンを演じているニナは一流バレエ団のバレリーナ。だが、技術は一流だが、表現する力がなく、いつも主役になれない。その理由は、ニナの自分を閉じ込め、怒りも悲しみも苦しみも心の中に秘める激しい感情を表現できないからだ。
ある日、白鳥の湖の主役を演じるチャンスを得る。繊細、華麗、技術もあるニナは、純真で無垢な《ホワイト・スワン》にはぴったりで申し分ないのだが、官能的で邪悪な《ブラック・スワン》を演じるには、妖艶さが足りない。その理由は、完璧を求めるが故、型を破れず、技術に偏ってしまうのだ。
だが、どうしても主役を演じたいニナは、一流と呼ばれ、演技には厳しい監督に「どうしてもやりたい」と訴えて、ある行動をすることで抜擢される。トマス監督の厳しい指導の中で、ますます技術力をあげていくニナ。
とある少女が魔法にかけられ白鳥に姿を変えられ、王子と恋に落ちる。だが、ブラックスワンによって王子は誘惑され恋におち、それを知ったホワイトスワンは命を絶つのという白鳥の湖のストーリー。
だが、誘惑するほどの妖艶さがないのは、身をやつすほどの恋も知らず、震えるほどの官能の世界もしらないからと指摘される。完璧な演技をすることを演じることに求めるニナは、トマスに尊敬と敬意をもっていくうちに恋をし、魅力的な同僚に近づくことで、練習することでは磨けない、技術ではない、感情や妖艶さを身につけようとする。
・・・だが、ブラックスワンを完璧に演じようと思えば思うほど、自分の性格と真逆の性格に染まって行こうとすることで、ニナは少しずつ、知らないうちに自分を壊していく。・・・そして、舞台当日、その結末は?
とある、有名女性スケーターが、あるお笑いの人に、先日、「他の同年代のスケーターに勝てないのは、エッチしていないからだ」という衝撃的な内容をブログに載せて、問題になった。だが、他のスケーターのあの妖艶さと確かに比較すると、演技は練習でパーフェクトに近づけても、心の動きに合わせた表現は、感情をなぞるからできていないと思う。嫉妬、怒り、悲しみ、そして艶やかさ。
ニナには罪はないけれど、一流のダンサーの育てようとした母が、いつの間にか、すべてにレール引いてしまい、面白みがないダンサーへと育ててしまったのかもしれない。
ブラックスワンを演じるために、急激な心と体を大人にしなければならなかったニナは、身体が大人になっても心がついていけず、壊れたんだな・・・と思う。「ノルウェイの森」に似たような、いつかは通る大人への階段をうまく登れず、踏み外した人は心を壊し、成長についていけないんだと思う。
それを乗り越えるための強さは、きっと、育ってくる環境やタイミングってあるんだと思う。スリラーとしても、心理ミステリーとしてもすごく怖い、そして面白いものだったと思う。ミステリーが好きな人はおすすめです。ぞくっとします![]()
・・・それにしても、レオンのマチルダ役から、ここまで大きくなったんだな~。
Keyword Search