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2025年11月15日
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テーマ: 読書感想文(739)
カテゴリ: 読書感想


地元の図書館で本の取り寄せをお願いした。手間はかかるけれど、やっぱり京都市の図書館は蔵書のレベルが段違いに高い。今回は、門前典之『屍の命題』と法月綸太郎『法月綸太郎の新冒険』を申し込んだ。(なぜか『法月綸太郎の冒険』だけは申し込めなかった。)

『法月綸太郎の新冒険』というタイトルは、きっと『エラリー・クイーンの新冒険』へのオマージュだろう。法月綸太郎シリーズはエラリーがモデルになっている部分が多いので、多少手間をかけてでも読みたかった。




ちなみにエジプト十字架とはいわゆるアンクというやつだ。遊戯王の死者蘇生のカードを想像してもらえれば分かりやすい。​
遊戯王 死者蘇生 15AX-JPM38 シークレット 【中古】


物語は、クリスマスの早朝。ウェストヴァージニアの村の丁字路で、T字の道標にはりつけられた首なし死体が発見されるという衝撃的な幕開けだ。その後さらに3人が同じように殺され、全米を震撼させる大事件へと発展する。しかも「T」の意匠をまとった連続殺人。これに挑むのが若きエラリー・クイーンである。(あらすじはAmazonより要約)


初めて読んだ時、私は本当に震えた。はりつけの首なし死体が次々と出てきて、謎の宗教団体やエラリーの恩師まで絡んでくる。小学生の頃は分からなかったが、アメリカをまたにかけるスケールの大きな事件だ。追跡劇の最後には飛行機まで使われ、クイーン家の財政が破綻しそうになったという描写には今読むと少し笑ってしまう。


ところが、この大事件の核心を突くのは「ヨードチンキの瓶」という小さな証拠である。もちろんヒントはほかにもあるが、真相に至る鍵はこの小瓶だ。恐ろしい事件と、つい見落としそうになる“ささいな物”の組み合わせ。このギャップがたまらず、私は一気にロジック重視のミステリに魅了された。


真相が明かされた時、恐怖はすっと消え、論理が美しくつながる快感だけが残った。以来、「首なし死体」と聞くとトリックの方が気になってワクワクしてしまう人間になってしまった。(もちろんフィクション限定で)


このトリック自体は、現代ならDNA鑑定で簡単に暴かれてしまうだろう。でも、“論理を積み上げていく面白さ”は時代が変わっても美しいままだ。だからこそ、有栖川有栖や法月綸太郎のように、エラリーを下敷きにした作品が生まれ続けているのだろう。

一本の論理の糸がぴたりと繋がる、その瞬間の気持ちよさには、古典も現代も関係ないのかもしれない。








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最終更新日  2025年11月15日 16時52分25秒
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