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Feb 27, 2010
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本日、わたしの住むH市の市民文芸授賞式があり、そこへいそいそと参加してまいりました。
市民文芸。
おそらくみなさんの住む町にもあると思いますが、
これは受賞したからといって、作家になれるわけではありません。
その町にもよると思いますが、少なくともH市では賞金もありません。
その市民文芸に、去年、一作応募させていただきました。

理由は二つあって、
まず、
わたしの小説のどこがわるいんじゃい、と誰かに聞いてみたかったこと。

亡き父が、高校時代に書いた小説が、出身高校の文芸冊子にのっていたこと。
父がなくなってから読んだのですが、
(内容はともあれ)こういう風に、活字で何かを残すってすごいなあと思ったからです。
ワードに保存するのとも違う、ネットで公開するのとも違う。
こういう形で冊子に掲載されると、半永久的に保存してもらえる。
そして何十年か後に、子供が読む機会を与えられる。
わたしが何をしたかったか、
何をしようとしていたのか、形に残せるっていいな、と思ったのです。

で、入賞しまして、授賞式へ参加したわけです。
率直な感想をいうなら、
行って良かった。書いてよかった。本当にそう思いました。

市民文芸かあ……、と思うかたもいらっしゃるでしょう。
しかし、自分の小説を読んで、それを評論してくださるかたと対面する、
なんてことは、文学賞を受賞したとき以外にはありえないのです。
もちろん、わたしもその日がいつかくることを信じてはいますが。
いますが。いますが。


なんと主要登場人物の名に、旦那の名前を付けていたのです。
これは……ちょっと……わすれていたとはいえ……。

小説部門を担当してくださったのは、某国立大学の名誉教授でいらっしゃるA先生でした。
そのA先生のコメントを読みながら、
不覚にも涙が浮かび上がる。
ああああああああ。感激。お褒めいただくと同時に、欠点もご指摘いただきました。
それすら、嬉しい。

審査員のかたがたの挨拶がすんだあと、賞状をもらいました。
いったい何年ぶりだろう。賞状なんてもらうのは。

授賞式がすんだ後、A先生にご挨拶をしなければ、と思い声をかけさせていただきました。
周りが騒々しくお声が聞こえにくかったのですが、A先生は、
「いさり火にも応募されましたね」
と言いました。

いさり火文学賞です。道南の地方文学賞です。
は、はい。確かに……。
A先生はいさり火文学賞の審査員もなさっていたはず。
お、覚えてくださっている!
ど、どうしよう。

ご挨拶が済み、わたしはいそいそと帰路につきました。
その道中、わたしはですね、高揚感と同時に、どうしようもない恥ずかしさを感じました。
わたしは、どこか大事なものを忘れていたのです。
普通、文学賞に応募すると、落選続きのわたしのようなものには、一切連絡がありません。
誰が読んでいるのか、
どう思って読んでいるのか、
まったく知らないのです。
審査員の作品は読んだことがあっても、あったことなどないわけで。
そもそも最終に残らなければ、審査員のコメントももらえるはずもなく。
誰にむけて書いているのか、
自分の作品がどう読まれているのかもわかりません。

けれど、審査員ってのは、人間で必ず、存在する。
わたしは、小説を感情のままに書いていたような気がするんです。
小説を感情の捌け口として、日常を穏やかに過ごしていた。
小説は、人に読ませるために存在するのであって、
プロを目指すのであれば、読み手のことを考えなければならない。
決して一人よがりではだめなんです。

よく、文学賞の最終の評論を読んで、「読み手のための小説を」と訴える
審査員の方はたくさんいます。
あたりまえだろ、小説なんだから。と思ってました。
けれどはじめて今回心底そう思ったのです。

わたしの(へぼい)を真剣に読んで、覚えてくださっているかたが一人でもいる。
だったら、せめてそれに報いるために、
せめて真剣に書かなければならない。
地方文学賞だから、とか、これに受賞してもプロになれるわけじゃないから、
とか、記念応募だから、とか、どうせ通過できないけれど、とか、そんなのは言い訳に過ぎないんだな、と。
小説を応募するっていうのは、読むほうも、書くほうも、真剣じゃないと意味がないんだな、と。
中途半端な作品を量産して応募するというやりかたではだめなんだなと
心底気付きました。
たぶん、プロを目指すってそういうことなんだなと。

市民文芸と、A先生に心から感謝します。
市民文芸に応募していなければ、
こんな当たり前のことにも気付けないHでした。





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Last updated  Feb 27, 2010 08:33:59 PM


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