刹那と永遠 - Moment and eternity -

刹那と永遠 - Moment and eternity -

2007.06.04
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「時分の花」と「真の花」 で思い出したことがあります


以下、hakaの単なるひとりのサッカー選手に対する過去の思い出話です
すこし長くなりますが、自分の中でとても大切な思い出なので、この場を借りて書かせてください


+++++


1997年11月16日深夜

マレーシア・ジョホールバルの地で
日本代表がワールドカップ初出場を決めました

前半は1-0で日本が勝っていましたが
後半にイランに2点追加されて1-2となり、日本は逆転されました


背番号18番城彰二選手(当時:横浜マリノス)が
値千金の同点ゴールを決めました

中田選手からの後方からのパスを
ゴール前でふわっと飛んで
ジャストミートでヘディングゴール!!

しかもその直後、くるっと前宙返りまで決めてくれちゃった

この瞬間、彼はhakaのヒーローになりました

さらに城彰二はこの試合中に
ちょっとおもしろいことをやってくれたのです

その後も日本チームの決定機が続き
城は何度何度もシュートしますが

そのとき城は(思わず)ひとりふらふらゴールのそばに行って
「なんで入んないんだよ・・・」てな感じで
ゴールポストにおでこを「こつん」とぶつけていました


手書きハート


この仕草が 決定打 でした





彼を9年間応援してきて
いちばん高揚したのは

1998年11月3日のレッズ戦での大逆転劇と
(試合後のインタビューで彼は泣いていました)

2000年の冬でした

2000年1月
成田で記者会見をしてスペインリーグへ渡ったときと

2000年2月
その欧州最強リーグで2得点を決めたとき

「スペインに行きたい」という彼の長年の夢が叶い
そしてそのリーグで見事に得点し実力が認められた時です

フランスで日本中から叩かれて
(本人はもちろん自分も)ほんとうに悔しい思いをしたので
このスペインの時はほんとうにうれしかった・・・

1998年の屈辱を乗り越えてよくがんばった!!
2002年のエースはJO以外にはいない!とまで言われて
毎日が夢のようでした

そんな幸せな夢はあっという間に覚めました

その後悪夢の2000年3月15日
神戸ウイングスタジアム
代表の親善試合中の怪我により彼はその栄光の道を閉ざされました

それでもまた諦めきれず

2002年6月9日
日韓W杯・横浜国際競技場の観客席にhakaはいました

ここで1998年フランスのリベンジを果たすであろう
城彰二選手を見届けるために
努力と運でチケットを手に入れたのです

しかし横浜国際競技場のピッチの上には、肝心の城彰二選手はいませんでした



+++++



その後、城彰二選手は
代表に選ばれることもなく
所属チームの神戸から戦力外通告されて

昔のつてでJ2・横浜FCに「拾って」もらいました

九死に一生を得た城は
少しでもチームに恩がえしがしたいと思っていました

横浜FCに入団したとき、彼はこう言っていました

「このチームをJ1に昇格させる」「それが僕の使命」

あ~あ、また大きいこといっちゃって~と
本気にしていなかったhakaでした

それでも心のどこかでは、信じていました
毎年、初詣の際には「今年こそ横浜FCがJ1に昇格しますように」と祈っていました

そして数年後、彼はほんとうに
横浜FCのキャプテンとして万年最下位の弱小チームを牽引し
2006年、晴れてチームは見事J1に昇格しました

才能があるがゆえに、いままでいろんなチームを渡り歩き
「スペインに行きたい」「代表に選ばれたい」
「俺がいるのはここじゃない」と
なかなか自分の居場所を見つけられなかった城選手でしたが

横浜FCという恵まれない環境の中でサッカーを真摯に向きあい
結婚し子供も生まれて家族ができて
彼のサッカーに対する考え方が変わってきました
サッカーの楽しさにようやく気づいたのです

サッカーへの想いは昔より強くなったのに
悲しいかな
体はすでに昔のように機敏には動きません

カズや山口らベテランと内田、菅野ら若手のパイプ役となって
チームをJ1に導いた後
自分は現役を引退しました

娘に「夢叶」(ゆめか)と名付けるくらい
いつでも夢を見て、それを叶えようとしてきた城選手

叶った夢もありました
叶わなかった夢もありました

そして自分のことは棚に上げて
いつも彼には無茶な夢ばかり託してきたhakaですが

城彰二にたくした「最後の夢」は
J1でプレイする城選手の姿を磐田スタジアムでみることと
日本代表の青いユニフォームを着た城選手をふたたび見ることでした

代表ユニはともかく
J1はほんとうに叶ったのに…
それを目前にして潔く身を引くところも
かっこつけしいの城彰二らしいなあ、と思ってしまいました

2006年12月2日
城彰二選手、現役最後の試合を三ツ沢球戯場まで見に行きました

三ツ沢の丘では
それはそれは幸せな時間が流れていました

この日の城彰二選手は
サッカーならびにチームやサポーター、そして家族への愛と
志を果たして大きな仕事をやり遂げた自信に溢れ
ほんとにうに素敵でした

最後の最後に輝いて、惜しまれて
こんな風に現役生活を終えられる選手はあまりいないと思います

試合終了後、優勝&引退セレモニーがありました
満員の三ツ沢球戯場(横浜FC創立以来初)で観客に祝福されながら
J2リーグ優勝プレートを掲げる城キャプテンの晴れやかな姿が
小さく小さく見えました

スペインじゃなくたって
代表じゃなくたって・・・いいんです

空色に染まる満員の三ツ沢球戯場、「いま、ここ」が
彼が望み、ようやく見つけた自分の居場所なのだから


ジョホールバルでの軽やかなヘディングゴールからはじまった「恋」


前歯を折ってゴールを決めた横浜国際競技場
へらへら笑ってたフランスW杯のピッチ
成田空港での水かけ事件
フランス帰国後の怒涛のゴール数、修羅と化した姿
国立での奇跡の大逆転劇
因縁の成田空港からスペインへの旅立ち
スペインでの栄光、挫折、帰国
その後の不振、横浜FCでの復活…


いままでの苦労や悔しさや涙はすべてこの日のための


この時のこの笑顔、この最後の奇跡のような瞬間のために
わたしは城彰二を9年間見てきたのだと思いました

この日、三ツ沢ではJ2優勝記念と日ごろの感謝のしるしとして
サポーターたちに「白い薔薇」が配られました
私も家に持って帰りましたが、その後、薔薇は1ヶ月以上咲き続けていました

白い薔薇とともに
あの日の三ツ沢の丘に咲いた「真の花」は
いまでも枯れることなく色鮮やかに

わたしの胸に咲き続けています











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最終更新日  2007.06.05 11:41:55
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同感です!  
旅の途中の青い花 さん
haka様                    城選手への思い出をいつも以上に感慨深く読ませていただきました・・・長年、城選手を追いかけてきた者達の思いをよくぞ!代弁してくれたの気持ちです。波乱の人生を一緒に歩んできた今、皆気が抜けた?状態が続いているのかも・・・でも何という味のある男に惚れ込んだのでしょうね。まだまだ何かをやってくれそうで城選手との長い旅は続くような気がします。haka様!節目節目の城選手の思い、これからも楽しみにしています!    (2007.06.05 23:52:12)

Re:同感です!(06/04)  

■旅の途中の青い花さんへ

城選手への思い出をいつも以上に感慨深く読ませていただきました・・・長年、城選手を追いかけてきた者達の思いをよくぞ!代弁してくれたの気持ちです。波乱の人生を一緒に歩んできた今、皆気が抜けた?状態が続いているのかも・・・でも何という味のある男に惚れ込んだのでしょうね。まだまだ何かをやってくれそうで城選手との長い旅は続くような気がします。haka様!節目節目の城選手の思い、これからも楽しみにしています!   


嬉しいコメント、ありがとうございます。
城さんのことを書いてもあまりコメントがないので、誰も読んでくださっていないのかと思っていました。でもこんな嬉しいコメントをいただけるなんて・・・書いてよかった~!!

ホント、光と影の濃い、味のある男ですよね。
応援していても辛いことばかりでしたよ。
でもその辛さを帳消しにするような輝きを何度も見せてくれました。

特に印象に残っているのは1998年レッズ戦の逆転劇。国立のゴール裏で観戦していましたが、あれほど興奮したことはいままでの人生でもないかもしれません。

そして最後の最後にも・・・やってくれましたね。
あの時は「この人を信じて応援してきてよかった~!ありがとう!」と心の底から思いました。
サッカーの神様はいると思いました。
報われたと思いました。

指導者としてふたたびJ1ならびに代表を目指そうとしている城さん。これからも目が離せません。

「サッカーアース」など、現役時代より露出も増えたのは嬉しいのですが、心のどこかで真剣勝負に挑んでいるゴール前での気迫溢れる城彰二をふたたび見たいという思いもあります。

hakaもまだまだ旅の途中です。一緒に見守っていきましょうね!

(2007.06.06 10:26:51)

特別な日  
あっちゃん さん
スポーツ選手が引退するときのファンの気持ちというのは、本当に特別のものがあると思います。だから、この日記を読んですぐにはコメントを入れられなくて。

どんな選手にも来る引退の日ですが、その最後の日に立ち会えるということはファンにとって特別の思い出になりますよね。今までのあれこれの出来事がよみがえり、そして、その選手生活が、苦しいものであればあるほど、哀切の思いはつのります。

思い出すのは2005年の全日本、本田武史選手の最後の演技です。今思えば、ジャンプの失敗もあり、決して最高の演技ではなかったけれど、10年もの間たった一人で日本の男子フィギュアスケートを支え続けてきた彼を見てきたファンにとっては、目に焼き付けておきたい特別の演技でした。心から感動しました。

会場が一体になって、思い出をフラッシュバックしながら彼に感謝をし、彼の健闘をたたえた時間だったと思います。わたしはあの日、あの場所にいられたことが本当に幸せだと思ったものでした。

城選手の、あふれる才能がありながら、世界の舞台では苦しんだ選手生活と、少し重なるものもあるように思います。スポーツ選手は才能や努力がそのまま結果につながらないところが、本人はもちろんですが、ファンにとっても歯がゆく、悔しいところです。すべての選手に幸あれというわけには行かないところが、厳しいところでもあり、だからこそ応援せずにはいられないところなのでしょうね。 (2007.06.06 10:45:08)

Re:特別な日(06/04)  
■あっちゃんへ

真摯なコメントをありがとうございます。
引退のニュースを知った時の感想。
ついに「Xデー」に来たり、でした。
いつかはその日がくるとは覚悟していたけれど、実際に来てみるとその衝撃は予想以上に大きかったです。

応援し続けてきた贔屓のアスリートが現役を引退するということ・・・二度とそのプレイを見られないということが、これほどつらいものとは知りませんでした。

F1のA・セナが突然事故で亡くなったのも衝撃でしたが、本人が自らの意思で引退を決断したという事実を突きつけられるのも辛いものです。受け入れがたいのです。

城選手はゴールに対する嗅覚も鋭く身体能力も高かったし、ヘディングが抜群に上手でした。彼の滞空時間の長いヘディングには独特の軽さがあって好きでした。

ただ、才能があるばかりに「気持ち」がついていけてない感がありました。それが見ていてはがゆかった。その点、引退前の一年間は技術では全盛期に劣りながらも、サッカーや周りの人への気持ちの充実が見てとれました。最後に幸せな引退ができたのも、この気持ちによるところが大きかったのだと思います。


※続きます。
(2007.06.06 17:03:00)

Re[1]:特別な日(06/04)  

※続きです。

■あっちゃんへ

本田選手も怪我をおしてたったひとりで世界を相手に闘ってきましたよね。城選手と被りますね。
フランスの善戦(だとhakaは思います)があったからこそ2002年の日本の初勝利があったように、
本田選手のたったひとりの戦いがあったら・・・いまの日本男子の活躍があるのでしょうね。先人の苦労と努力に感謝です。

勝負の世界はほんとうに厳しい。そこで身を削って闘うアスリートの姿には心から感動します。

城選手を見ていたときのように熱いテンションで、ふたたび誰かを応援することがあるとは思っていませんでした。織田君に感謝です。(ただ気が多いだけなんていわないで~(^^;)

織田君にもいつかXデーが訪れる日が来るんですよね。まだまだ想像したくないけれど・・・そのときは笑顔でお別れできるように、悔いの無い現役生活を過ごして欲しいものですね。






(2007.06.06 17:04:04)

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