俳句 3



       見上げれば爛柯の如く天の川      

       メビウスの帯を迷走蟻一匹

       母語る蛍の軌跡防空壕

       岩越える水の連弾山開き

       真清水やわが掌中に不二の山

       夏至空に謎の通信ナスカの絵

       美しき母は聴き役夏休み

       望郷の思いを曳いて祭舟  

       しがらみを払ひ理性の文の月 

       涼風や證城寺が臍の太鼓腹

       道祖神インターバルウワオーキングに秋の風  

       紫陽花や人は二人で生きるもの   

       これの隠し言葉は「仁」です。

       巧言令色鮮矣仁 


       2006年5月14日

       蒲公英や不折碌山野辺の仲

       雪形や手握り合ふ道祖神

       農ありてこその安曇野田水張る

       筍や空突く一気皮ごとに

       五月晴れ天空食堂山近し


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       3月25日

       春の波御眼は優し阿修羅像

       山茶花の咲き零れたる琵琶の湖

       我が恋はまだ捨てざりき航の春

       三井寺や鐘撞く人に落ち椿

       巡礼や幾重に霞む竹生島

3月11日

      鍋持って豆腐買ひけり宵の春

   春の宵酔ひて正直者になる

春の雷浄瑠璃の首美しく

遠き恋疎林をめぐる早春賦

      啓蟄や老母の脈をとる主治医 

      3月2日

     友癒えて愉しきものや福寿草

     春遠し詩の中へと酔ひにけり

     凝り削ぐや三寒四温の昨日今日

     春泥や老人ホームの幼き書

     隠れ里パッチーワークの炬燵掛け

      2月12日

     春一番常念岳走る雲速し
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      2月10日

     甲斐の山眠れる中を終列車  

     北窓を開けば常念岳我を抱く   

     春一番白き稜線くっきりと     
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     2月8日

     縄文の土器や家伝の初煮染

     実南天時空に蒼しすばる星

     烏城四方に数多のどんどの火

     安曇野や冬日の宿る大欅

     冬の旅曾良にもなれぬ我身かな

     冬枯れのまつただ中や無人駅

     神渡りや遥かに黒し樅の森

     寒茜西の彼方に斗雲
     (斗雲についた記号は楽天では登録できませんでした ちゃれ)

     冬けやき日をたつぷりと老夫婦

     恵那山やここより北は雪の村

     三寒が四温となるや雨に土

     日脚伸ぶ銀輪の影くっきりと

     石垣に謎めく落首鬼やらひ

     ドレミファソ音色眩しき大氷柱

     継ぎ接ぎの我が人生や春の雪
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2006 1月 2日

      朗々と唄ふわがやや早春賦

      母娘していそいそ上京初書展

      故郷の棋士に錦や初日の出

      富士山やそのふところに冬の鷹

      城山登りて妻と初常念岳

      あい変らず駄句の山なり三が日 


2005 12月 27日

      大晦日第九を前にチェロの人

      湯煙やオーラを放つ林檎風呂

      長江や座を天上に寒昴

      襟巻きの女(ひと)描く筆やモンマルトル

      辻占や枯葉どうしの追ひかけっこ

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      12月10日   

      枯れ野菊どこまで清き入日影

      横顔の猛犬過ぎて白き息

      除夜の鐘酌は女房に限るもの

      歳の市地域通貨の握手かな

      巍々の日や落ちて林檎の蜜となり 

      還暦や米研ぐ男の冬はじめ

      「モッテケ」と啖呵売りけり酉の市

      天窓はシャルトルの青冬はじめ

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      2005年11月19日

      夜半の鐘座を天上に寒昴

      初恋は尊きものよ冬たんぽぽ

      遠山や釣瓶落としの白毫寺

      訪ぬればふと会へぬかと萩の露

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      2005年10月25日

      風立つや義民の里に豊の秋

      天高し連呼の主は婚約者

      明日投票秋の地球儀まわりをり

      連山の岩肌澄むや初冠雪

      初霜や生きとし生ける野辺の草 

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      群青に明ける安曇野天の秋 

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      2005年 8月28日

  ノーサイド男同士の心太

      あぢさゐやあの雲の下野麦峠かと

      梅雨明けや甍の波にシャツの白

      梅雨明けや月見る嬰の金太郎

      夏草や石の洞より海の碧 

      朝露や一粒ごとに漢拏山(ハンラサン)

      風切って女来たりぬ炎熱忌

      風切って女去りけり花氷

      背を伸ばす婆の住処や黍畑

      汗拭ひ最後の水場離れけり

      残暑去り経年劣化の登山靴

      露けしや水面にしばし槍ケ岳

      汗引くや誰ともなしに山の歌

      歩くたび揺れるザックの青林檎

      開山祭亡友のカラビナ腰に付け

      回れ右順風ばかり風の秋

      点描の中の少女や花の秋

      月見草夜行列車の眠る車庫

      夏終わる小便小僧の放物線

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 8月9日

      駒草のいのちを結ぶ水の玉

      蛍や亡き師に借りし哲学書

      光得て朝露に入る漢拏山(ハンラサン)

      終止符の列果てしなし原爆忌

      花氷女校長の妻帰宅

      帰省子と長々続く腕相撲


         2005年7月12日

      こまくさや黄泉へとつづく白根山   八戒

      今日は年休をいただいて、戻梅雨のなかを鳥居峠を
      越えて群馬県に入りました。
      土石流に埋もれた神社(五十段で息切れた親子の
      骨の写真を見ました)

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       2005年6月22日

      麦の穂のはねるを見るや老教師

      地球儀の裏に来てゐる冬至かな

      どこまでもみどりなす野に立ち尽くす

      あと一里ゆけば峠の生ビール

      墨跡の土や灰もて茹で蕨 

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       2005 6月5日

       麦秋や天地まほろば浅黄色

       水満ち来いよよ安曇野緑満つ
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     5月26日

      咲いたりな千手のごとく黄水仙

      子に武器を持てと言ふのか武者人形

      母の日の母の寝顔にありがとう

      あの黒は雪形爺の種袋

      四月尽渡らぬ白鳥(クグイ)十九羽

      GW明けおはよう溢れる学び舎に

      隠れ里にほんたんぽぽばかりなり

      初夏の風模擬面接の背広かな

      正座して芍薬の白挿しにけり

      若葉雨辿り着きけり阿弥陀堂

      峠道祭太鼓に押され越す

      あと一里行けば峠の生ビール

      塩の道辛夷青空ほしいまま

      薫風や間違ひだらけの教師好き

      いぬふぐり一途にいのち咲かせをり

      「また明日」蛙鳴く道帰りけり

      バラ咲いて薔薇という字を覚えけり

      つっぱった我を鎮めよ若葉雨

      子燕の喉の洞まで光得て

      寄ってけや一番星入る田の蛙 

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        5月1日

      里山ににほんたんぽぽ咲いてをり

      田水入る天に常念岳地に常念岳

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        4月30日

      花粉症パリのハンカチくしやくしやに  

      恐ろしや全身耳の新入生

      五月三日前事忘れず後事の師

      四月尽渡らぬ鵠(くぐひ)十九羽

      武器持たぬ死者こそとはの武者人形

      あの黒は雪形爺の種袋

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 3月29日

      花粉症絹のハンカチ五六枚 

      春の午後疎林の小鳥に逢ひにゆけ 

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           2005年 3月14日

      雪垂(シダレ)小枝へ小枝へと満ちゆく気

      啓蟄や雪形はまだ大三角

      山三月雪へ樹影の紫紺濃し

      春暁や眠るがごとし白き嶺

      銀輪や両手放しで抱く春風

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     春はすぐそこ・・・安曇野も


      蕗味噌にすぐしあはせになる我家

      春暁や銀嶺眠る西の空

      道化師や三寒四温に日々の過ぎ

      春一番机上に眩しアスピリン

      つばくらめ口の洞まで光得て

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        2005年2月27日

        春浅し暮れゆく街はもどかしく

        川筋に沿ふむらさきや雲の春

        民権のアジトや今は雛の家

        春愁やおもひきり吹くトランペット

        赤電の窓に走るや朧月

        山三月雪へ樹影の紫紺濃し

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        2005年2月5日

       ちょとはずすだいいいちボタン鬼は外 八戒

       日差しは伸びて来ましたが、自転車で走るには
       ちょっと寒い。春は名のみの・・・・です。

       春の凪港見下ろす洋食屋

       なぜか一銭洋食を食べたレストランを思い出しています。

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       2005年 2月 4日

       包みたる雪の凹凸地震(なゐ)の郷

       凍蜂やしゃにむに戦後六十年

       寒蜆母を流れる隅田川

       寒明けをよよと泳ぐや屋根の酒旗

       春浅し誰の紅差す道祖神


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       2005年 1月11日

       新春のゐすまい淑とピアノ弾く 

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          12月30日

       窓拭くや友逝く年の十二月

       よく生きた今年の〆は鰤大根

       おちこちの災鎮まれや除夜の鐘

       戦禍なほ年越す蕎麦は湯気の中

       平和悲願一陽来復小世界




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        はっかいさんの俳句メール
           12月26日

         のったりと廻す石臼櫨紅葉
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        はっかいさんの 俳句メール
           2004年12月22日

         鰤大根八戒十五句

       ことことと蓋を揺らすや鰤大根
       厨より白磁古鉢に鰤大根
       母の背に揺られし昔鰤大根
       母あればこそのこの味鰤大根
       鰤大根明日は峠の塩の道
       縄暖簾くぐればうれし鰤大根
       よく生きた今年の〆は鰤大根
       片隅の一人の酒に鰤大根
       星降るや行商宿の鰤大根
       わびしさも鰤大根の味のうち
       重ねたる齢の果ての鰤大根
       久々に食べたきものや鰤大根
       鰤大根貧しき戦後父母と
       玉箒母のにほひの鰤大根
       何なくも酒におまえの鰤大根

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 はっかいさんの 俳句メール
              2004年 12月15日

   夜はいくらか冷え込んで、星降る空になりました。


          息白し天に昴の首飾り 

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        はっかいさんの 俳句メール
              11月30日

        感謝感謝何度も言へり豊の秋
        のったりと廻る石臼櫨紅葉
        送りたる林檎の礼状林檎の絵
        通夜の酒さずかる一会小六月
        今日の陽よ林檎に宿れ蜜となれ
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       はっかいさんの俳句メール
            11月24日

        束の間を浮かぶが如し夕紅葉

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        はっかいさんの 俳句メール
              11月22日

        無垢の身に戻されてゆく夕紅葉


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