近所の一軒家。庭の一角がオープンになっていて一本のしだれ桜が植えられている。
そこの独り身のおうなは、この時期、そのぬぎ捨ててゆく枯れ葉を静々と掃き集めるのが毎朝の日課となっている。
人の行き交う場所で絢爛の春を楽しませてくれる枝垂れ桜。
すべての虚飾を打ち棄てるように一糸まとわぬ姿となって、来年のその日まで眠りにつく準備をしているところです。
来る日も来る日もその女あるじの黙々とした清掃作業はつづく。その静かな作業は満ち足りた気分に裏打ちされて、楽しんでさえいるように見える。
いつくしみの心が木に伝わって、それに応えるように来年もまたあの美しい花を咲かせてくれることでしょう。
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