真夜中、おもむろに外へ出ていった猫は何を考えているのだろうか。縄亜張りの中でひとり孤独を愛でながら、彷徨の愉悦に酔いしれているのだろうか。
たまにその縄張りに、介入してくる者がいると激しい拒否反応を示し、けたたましい声で威嚇する。相手も負けじと甲高い、絶叫に近い鳴き声を上げて応戦する。闇を引き裂いて響き渡り、寝静まった夜の底に異様な緊張が走る。
どちらが縄張りの主なのか。
オス猫の”孤独の砦”を死守する執念はすさまい。取っ組み合いするまでお互い譲らず、時々怪我をして帰って来たりする。
この夜毎の行動の反動なのか、家の中ではゆゆしき声を張り上げている同じ猫とは思えない態度ですり寄って来る。
やたら甘えるので撫でてやれば、咽を鳴らし、グーパーグーパーと手指を使って喜んでいる。
寂しがり屋の孤独癖、独立心と自己顕示。
雄という生きものは、どうしようもなく悲しい性 (さが) を持っている。
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