将軍家へ対面を申し込むの
だ
由紀姫「上様、京においでになるのですよ。 御対面するお気持ちはありませぬか
」
新吾 「
今さら何を言う
」
由紀姫「いいえ、実の親子がご対面もなさらずにおいでになることのほうが、 よほ
どおかしいのです
」


由紀姫「新吾様は、ご自分の気持ちを偽っておいでです。剣のため、剣の道を歩むため、そんなことで親子の絆は断ちきれません、 もし断ち切れたとしても
、 それは人間ではありません
」
由紀姫の言葉は、新吾には痛烈に感じました。

今まで激しい感情で話して来た由紀姫は
由紀姫「御対面なさるなら、 私がお取りなし致しましょう
」
新吾 「 あなたが
」
由紀姫「はい」
由紀姫がきっぱり新吾に答えたとき、そこに駆けこんで来た甲賀新八郎の促しに走り寄ると「どうでした」と聞くと、新八郎が「 大変なことになりました
」と言ったのです。
新八郎「新吾様が御所の塀を修築なさったことがわかり、 幕府で大問題になっているのです
。朝廷への寄進は御公儀のご法度、西丸派の方々はここぞとばかり上様に迫り、金子を御用意なされた お鯉の方様は責めをとって御蟄居なされた由
、それに 御前様も閉門の憂き目に
」
由紀姫「 父上も
」
新吾 「 ほんとうか
」
新八郎が「はい」と返事をします。





由紀姫が新吾に、「この分では、新吾様に お咎めがくるわ
、 必定です
」


一瞬新吾は考え
て、
新吾「咎めが来る前に 私が赴こう
」
その言葉に、 由紀姫も新八郎も驚きます
。
新吾「私が 父上に会って話をする
」


新八郎が止めると、
新吾「かまわぬ、禁裏御所の荒れ果てた塀を見るにしのびず、寄進をしたことについて、 母上は蟄居させられる
、 讃岐殿は閉門になる
、馬鹿馬鹿しいかぎりだ。私は父上に会って、こんな馬鹿げた法度はやめていただく」
由紀姫と新八郎は、六平太が井伊様の使者とご一緒を待ってからと、 引き止めますが
、
新吾は「ほっといてくれ」と、そして、
新吾「お前達は、 私を対面させようと努力したのではないか
。
今度は自分から行き、いや、 将軍家へ対面を申し込むのだ
」





止めるのも聞かず 振り切って屋敷を出て行こうとした新吾の足が止まります
。
捕吏が屋敷の中にどっと入って来たのです。

続きます
。
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