皮膚科医独身の ”こだわり” ブログ

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2006.10.16
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カテゴリ: 医療問題について
医療ネタになると閲覧数が伸びますね。いかに国民の関心が高いかがわかります。
私は現役の医師です。『医療供給側からの意見だ!』とおしかりを受けることも多いですが、今や医師はマイノリティ。発言する機会さえ失われています。議員は医師批判をすれば票になる、マスコミは医療不祥事を書けばよく売れる。正しい批判は大歓迎ですが、最近の風潮は度を越していないでしょうか?
その気持ちが今の活動の根源です。よろしくお願いします。

自民党参議院比例代表区の森元恒雄先生のメルマガに興味ある意見が掲載されていましたので紹介したいと思います。

 参議院議員 森元恒雄の国会だより  2006/10/11---No.234
                http://www.t-morimoto.com/
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● 医師不足
 離島やへき地など条件に恵まれない地域における医師不足は相変わらず深刻ですが、最近医師不足を巡ってちょっとした状況の変化が起こっています。離島やへき地の医師不足はますます深刻化しているだけでなく、都市部においても公立病院を中心に医師の確保に困窮するところが続出しているのです。
 なぜ急にこのようなことになってしまったのでしょうか。
 原因の一つは、平成15年に北海道内の大学に在籍する一部の医師が、勤務実態がないのに名義だけを医療機関に貸し、その対価として報酬を受け取っていたことが発覚したことです。これがきっかけになって全国的に名義貸しを取り止める措置が講じられたため、大学は文字どおり実力相応の医師数しか派遣できなくなり、医師不足の実態が顕在化することになりました。
 そして第二の原因は、これまで医師免許取得後の2年間の臨床研修は任意であったものが平成16年4月から必修となったため、大学病院に比べ処遇の良い都市部の民間病院に研修医が流れる機会が増え、また、内科、外科、救急部門、小児科、産婦人科、精神科、地域保健・医療の7科目を全て研修しなければならない制度になったため、対応に追われる大学医学部や大学病院の医師派遣余力が小さくなったことです。
 さらに、最近の特徴は、とりわけ小児科、産婦人科、麻酔科などの、医療事故が起こりやすくリスクが大きい割りに、診療報酬が低く実入りが少ない特定の診療科目を希望する医師が少ないことです。
 そこで、このような事態を打開するため、政府は本年8月31日「新医師確保総合対策」をまとめ、(1)小児科・産科をはじめ急性期の医療をチームで担う拠点病院づくり、(2)都道府県における地域医療対策協議会の活性化、(3)大学に代わる医師派遣・キャリア形成システムの再構築、(4)医学部における地域枠の拡充、(5)医師不足県における医師養成数の暫定的な上乗せ、などの措置を講じることにしています。
 ところで、離島やへき地など、条件に恵まれない地域における慢性的な医師不足を解消するには、二つの方法しかないと思われます。
 一つは、医師が条件不利地域に魅力を感じるほどの高い診療報酬を、例えば地域調整手当てにより設定し、経済的にインセンティブが働くようにするか、あるいは税金を投入して地域勤務手当てを支給する方法です。なお、いずれの方法によるのが適当かは、その費用を誰が負担するのがより望ましいと考えるかによって異なります。
 二つは、地域ごとに保険医の定数枠を設定し、それをオーバーすると保険医の資格が賦与されず、自由診療しかできないようにする方法です。
 確かに憲法で保障された職業選択の自由との関係を考えると、医師が開業若しくは勤務する場所を制限することはできないことかも知れません。しかし、保険医としての資格を賦与するか否かは保険者たる国が自由に決定できることであると考えれば、その数を地域ごとに設定することは法的に十分可能なことではないかと思われます。ただし、このような方式を採るには、まず医師の理解と賛同が必要なことは言うまでもありません。    
参議院議員 森元恒雄
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私も非常に近い意見です。氏の述べられている、経済的なインセンティブは必要だと思います。
2006.10.12の記事 で取り上げた市立尾鷲総合病院の産婦人科医の件も、この医師を公立病院に勤める”公務員”と考えるからややこやしくなるんです。元開業医が医院を閉めてまで請われて来た訳ですから、3千万超の報酬を周りがあれこれ言うのはいかがなもんでしょう。
『1年にお休み2日。夜間は役所に詰めています』という尾鷲市職員をみてみたいものです。

氏の述べられている”04年度に始まった臨床研修医制度 (『医師不足の真相』その1参照 )”及び”名義貸しを取り止め”により医局で派遣医師のこま不足がおこった。これもありますね。地方大学医学部卒業生も研修先を自由に選択できるようになったが、若手医師を管理する医局制度が崩れ出し、指導医が充実する首都圏の病院に人材が流れている。

そもそも『医局制度』の崩壊も根底にあります。権力者”教授”の命令は絶対で、たとえ赴任地が僻地であったとしても命にそむくわけにはいかなかったのです。もちろん”3年後には大学のに戻す”とかなどのアメは用意されていたわけですが(笑)。
医療の世界はかなり封建的な社会です。それが必ずしもいいとは思いませんが、自由な社会になればなるほど『一般社会と同じ現象』(都市集中、ないしは地方は高コストを要する)になるのは当たり前なんです。





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最終更新日  2006.10.16 17:05:40
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がんは感謝すべき細胞です。  
始めまして。

貴重なご意見を拝読させていただき、誠にありがとうございました。 (2006.10.16 23:37:46)

Re:がんは感謝すべき細胞です。(10/16)  
健康かむかむさん
>始めまして。

>貴重なご意見を拝読させていただき、誠にありがとうございました。
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健康かむかむさん コメントありがとうございました。国会議員は「選挙運動屋」など、斬新な視点を以前から注目していました。また、健康について中医学の”気血””五行説”ともちがう独特の健康理論楽しく拝見させていただいていました。これからもよろしくお願いします。 (2006.10.16 23:44:57)

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