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カテゴリ: 生き方を学ぶ:本
【送料無料】「死体」を読む [ 上野正彦 ]

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この本は小説と実際の事件の真相に迫るものですが、著者は「小説を法医学的におかしいと思うものをほめることはできない。だからと言って法医学的にあそこが違う、ここがおかしいなどと指摘するのは小説をぶち壊してしまうことになる。・・・小説と法医学の差異について書いたり、一致点を述べたりするのであれば、読者にとっても法医学の知識がわかりやすく理解できて、小説そのものも、より面白く読めるようになるのではないか。・・・」と述べています。

はじめは生々しく感じたので、本を手に取るのをためらいましたが、勇気を出して中をのぞいてみると、事件の真相を知りたいという欲求が強くなりました。

首吊りで亡くなった方の体がどうなっているのか、毒物の場合は・・、溺死の場合は・・、生体反応があるとはどういうことか等々、また、女性の犯行がメッタ切り、メッタ刺しになることが多い理由等も素人にもわかるように解説してくださっています。


死体を解剖してみると「私は病死ではない。青酸カリを飲まされて、殺されたのだ」と死体が言いだすことがある。もちろん本当に死体が声を出すわけではないが、死体は雄弁である。
と著者が書いているとおり、死体から事件を解決することが大いに期待できるのであるから、ますますこの仕事が重要になるのだろうと思います。


1.横溝正史の『犬神家の一族』
毒物中毒者2名、絞殺2名、刺殺1名について、詳細に殺害方法や毒物の種類、用法あるいは凶器について考察しています。犯人はどういう人物と推定されるのか、小説の中の犯人はだれか。詳しく述べられているので、法医学の知識がない私でも ふむふむ と理解できました。
この中で、1996年にアメリカで発生したジョンベネちゃん殺害事件についても言及しています。犯人は両親に向けられていましたが、著者は〇〇のような人物であろうと推測しています。さらに大韓航空爆破事件、ナチスドイツのアウシュビッツガス室、酒鬼薔薇事件を例に挙げています。


『藪の中』では事件に関わった4人の証言者がいます。証言が全部食い違っていて、誰を信じたらよいのかわからないことから、事件が迷宮入りすることを、この小説から 藪(やぶ)の中 というようになったらしいです。しかし著者は明確に、誰が犯人か推測しています。

3.エドガー・アラン・ポー『マリー・ロジョエの怪事件』
実在の事件が小説になっているということで興味津々。
この中では つくば母子殺人事件 を例にあげて、溺死を詳しく解説しています。つくば母子殺人事件の犯人は医師であり殺したのは自分の妻と子供。死体に鉄アレイをつけて海底に沈めたのに、浮上したことで事件が発覚。殺して海に沈めた場合と、溺死の場合では大きく異なる。「死体は言葉を発しないけれども、死体は雄弁である。」と著者がのべているとおりです。

4.谷崎潤一郎『鍵』
性交死について言及しています。詳しい統計はないが、以外に多いらしいです。死因のトップは男性は心臓死、女性はくも膜下出血。

5.松本清張『日本の黒い霧』
毒殺について非常に詳しく解説しています。ここでは佐賀の鍋島藩の罅(ひび)青磁が江戸時代に作られたものであって、罅(ひび)が入ったくすんだ緑色の茶碗にお湯を入れ、しばらく放置すると毒は罅(ひび)の中に吸収され解毒されるということを信じて、藩主が特殊な製造法を独占しようと、秘窯(ひよう)の里を作って関所を設け、その施設を隠ぺいするためにおとりとして派手な有田の赤絵を前面に出して生産したのだといわれている、現在の有田焼、伊万里焼がそれである、と述べられています。
また、実際に起きた事件として、昭和23年におきた帝銀事件、平成10年和歌山毒物カレー事件についても非常に詳しく説明をされています。

6.昭和24年下山事件
当時の国鉄総裁が列車にはねられて亡くなった事件で、自殺か他殺かでもめた事件らしく、世論を二分したと説明されています。しかし、著者は自分なりに考察を加えて結論を出しています。


現代の法医学的知識から眺めてみると間違いもあるが、かなりよくできていると評価されています。特に火災による死体の特徴が書かれています。
火災の中で発見されたから焼死、水中で発見されたから溺死とは限らない、著者が何度も書かれていることです。
この中では オウム真理教の坂本弁護士事件についてちょっとだけ出ています。



さわりという程度ですが、トリカブト事件、久留米の看護師4人組による事件等も掲載があります。
現実の世界で私も仕事の上で関わった事件が掲載されているので、妙な気持ちになりました。




やっぱり気になった本はブログに書いておきたいと思いました。




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Last updated  September 2, 2012 09:22:08 PM
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