Feb 27, 2006
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テーマ: たわごと(27620)
カテゴリ: 生きるということ


医者は言った。確かに最近は疼くことがない。相変わらず二重ではあるけれど。

以前行った皮膚科で、この病気はストレスに拠るものだと診断され、以後、情緒不安定になる度に、とてつもなく悩まされていた。

専門は皮膚科ではないのに、この医者は私の瞼も気にかけてくれていた。


「少しずつ…。安定してます」
私の言葉に医者はニッコリ笑った。


「ねえ、スナイダーズさん。シャボン玉をしませんか?」
突拍子もない医者の発言に、私は眼を見開いた。

「知ってます?ガムシロップを入れると強度が増すんですよ~。あ、でも、ココには残念ながら無いので…。あ、君。砂糖ありますか?」




「綺麗ですね~」
開け放した窓からフワフワ、シャボン玉が飛んでゆく。

「でも直ぐに消えちゃいます。儚いものですね~」


私はボンヤリ、シャボン玉を見送りながら言った。

「センセイ。この世の全てのものを平等に見ることなんて不可能なんでしょうか?」

センセイは、ふぅっとシャボン玉を吹いた。

「コレもアレも…。なんてのは愚かなことなのでしょうか?」

ボソボソ話す私に医者は言った。

「人間は愚かなイキモノなのですよ。でも…」

「どんなに愚かで儚くても良いじゃないですか。自分を信じられれば。そして自分が信じるもの全てを信じられれば」


この医者はいつも曖昧に答える。でも、既に結論を自分で出している私の心を読んでいるようにも見える。



医者が指差したシャボン玉は、パチンと消えた。

「まるで元々存在しなかったかのようです。そんな儚いものでも、それでも私たちの中には、シャボン玉の美しさが残ってます。それで十分じゃないですか」



私は無力で儚き愚かな人間だ。

それでも。

愛おしいもの、1つ1つを信じる。決してあきらめない。







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Last updated  Mar 2, 2006 12:08:22 AM
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