2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
1月
2月
3月
4月
5月
6月
全3件 (3件中 1-3件目)
1

「おい! コレなんだよ!」 僕は部活中……ちょっとだけ、体育館の端で仰向けになっていた。 試合は来年の春にならないと、もうない。 だけど、体力落とすわけにはいかないから、走り込みと筋トレと…… いろいろやってたら、少しやりすぎてしまったみたいで、 べったりと、僕は倒れ込んでいた。 じんわり熱がこもっていく身体に、冷たい体育館の床は心地いい…… ……このまま眠ってたい。。。 そう思ってるときに限って、遠慮もなく、声かける奴がいるんだよな~。 ……聡史だ。 コイツは……たぶん天国にはいけない。 同じ、バスケの星だけど……女の子に──……以下自粛。 僕にとっては、悪い奴ではないけれど…… 女の子にとっては……。 はっきりいって、女好きの聡史と、そういう話題に縁遠い僕は、 バスケ以外共通点はあまりなく…… ……なんでコイツ話しかけてきてるんだ?!「ん?」 僕はゆっくりと身体を起こし、目をこすると…… ……?! なんでコイツ俺の携帯持ってるんだよ!「岩木って、彼女いるんだな~。だから、真由のこともフッタわけ?」 岩木。イコール俺。 真由。イコール学校一のアイドル……らしい。(あんまりよくワカラン ……っていうか! 人の携帯勝手に見るなよ~!! そう言いたかったけれど……「彼女なんていないし、違うよ」 ……律儀に応えてしまう……俺。「だって、これ彼女だろ?!」 ……だから! 勝手にみんなよ!!!「いや……彼女ではない」「じゃあ、なんなんだ?」 ……お前に言う必要あるか! そう、言いたかったけれど……「……それは……」 まさか…… ──俺が書いてます!!!! ……言えないよな……。「ん? そう……僕の彼女」 ……嘘、言っちゃった……。「やっぱり? で、どこに住んでるんだよ! 紹介しろよ!」 ……なんで、オマエに紹介しなくちゃいけないんだよ! ……お前なんかに紹介したら…… ──……。 ──考えたくないな……。 「すごく、遠くに住んでるんだよ。だから無理」 僕はそう言うと、少しホッとした。 これで、コイツも……。「遠くって……じゃあ、なんで知り合ったんだ?」 ……シツコイ!「ん?! ネット」「プログかなんかか?」「そんなところだな」 ……このとき、なんとなく、そう、応えたけれど…… 僕はすぐ、このこと、後悔することになった……。「俺もそのプログ見たい! なぁ! アドレス教えてくれよ!!」 ──……。「アドレス……わるい。今、わかんない……」 ……っていうか! 一生そんなもん! わからん!「そうか……じゃあ、明日教えてくれよ! で、そのこの名前は?」 ……なんで! こんなことになるんだよ!「……花穂。花穂って言うんだ」 「花穂ちゃんね。了解!」 ……なにを了解してるんだ??? 聡史はそこまで、聞くと、やっと僕に携帯を返してくれた……。 その日から僕は、愛しい乙姫に僕自身が、成らざるおえなくなってしまった……。 ──乙姫ではなく、おとひこに。。。 第四話に続く……もし、『実 験 小 説 お と ひ こ 。 』お気に召されましたら、下の図を、クリックお願い致します
Oct 17, 2005
さらさらと、溶けだすようになびく、長い髪──…… 白い魔法の粉が、かけられたような薄くて光る肌 まつげと唇だけが、ふんわりと潤い、 瞳の色はとても薄く…… ──彼女のそばだけが、その世界の中で澄んでいて──…… その彼女が、ゆっくりと、僕に笑むと──…… ──発車の合図 僕は何の迷いも無く、電車を降りた──…… 降りて、向かいの、彼女が佇んでいたホームに向かって 走り出す──…… 何でそんなことをしたのか。 彼女になんと、声をかけるのか……。 そんなこと一つも頭に無くて。 ただ、その澄んだ空気に 僕は、ほんの少し触れてみたかった。 ──階段を駆け上がり、連絡橋を渡り、彼女のホームへ──…… でも──…… 僕は、発車した電車を ただ、見送ることしか出来なかった。 その日以来、僕はいつもより早く、家を出て、この駅で一度降り──…… ひとめしか逢ったことのない、彼女を探し続けている。 始発でここまで来ると、ギリギリまで彼女を待つ。 彼女への唯一の手がかりは、この駅だけ。 もう逢えないかもしれない……。でも、逢えるかもしれない……。 いつも同じことを考える。 ……彼女が来たら、なんと声をかけよう。 グルグル考える。 ……久しぶり……てのも、おかしいし。 グルグル……。 ……はじめまして……でも、ないよな。 いつも、でも結果は同じ……。 ……キミにアイタカッタ……。 その気持ちだけが、ぎゅっと心をつかんで…… 僕は弾かれるように、そのホームから走り去り、 電車に飛び乗り──…… 日常へと戻る……。 ……そのうち、なくなるんだろうか……こんな気持ち。 雨が容易に、雪に変わる季節になっても、彼女を待つこと 止められなかった……。 すぐにぬるくなる缶コーヒー……。 一本をポケットに突っ込むと、僕は、もう指定席となった、 少しペンキのはげたベンチに、深く腰掛け、 彼女を待ち続けていた。 ──こんなこと、止めればいいのにな……。 こんだけ待ったのに、逢えないんだから…… どうせ一生、もう逢えやしない。 逢えないに決まってる!! でも……。 いつもそう思っても、考えてしまう……もしかしたら、彼女が……。 今、その階段を降りてくるところかもしれない。 今、駆けつけてるところかもしれない。 今──…… ハラハラと舞う雪。 ホームにも少しずつ、雪は吹き込んでくる……。 なんのけなしに僕は、携帯をポケットから取り出していた。 ちっぽけな雪空を見つめると、僕はメールを打ち出す。 僕に宛ててのメール──……──────────────────────────────────────────────────────────────── きみは いつになったら ここにやってくるの もう こないの? それとも これないの? なにか理由があって これないの? その理由はきみを 苦しめているの? もし苦しめてるのなら 哀しませてるのなら・・・ 僕はとても心が 痛いです。。。 きみの力になにひとつ なれないことが・・・ ただひたすら 痛いです。。。 きみが幸せなら いくら待たされても 僕はかまわない。。。 きみが幸せかどうか・・・ それだけを、僕はいま知りたい。。。──────────────────────────────────────────────────────────────── メールを打って、僕のPCに送信。 ……なにやってんだよ。俺……。 そう思いながらも、彼女に宛てたメールを 自分のPCへ僕は送り続けること やめられなかった……。 ここで待つ、永遠にも感じるほどの時間を、 ありったけの想い……彼女に送るはずの言葉──…… ひとり打ち続ける……。 そのうち、そこで、打ち続けるだけでなく、 自宅でも、彼女になったつもりで、僕は、 自分自身を癒すように……僕に向けてメールを 打つようになっていた──…… ──毎朝駅で見る、僕が僕に宛てたメール……。 でも、不思議と僕は、自分自身で書いたメールのはずなのに 彼女が僕に、送って来てくれてるような気がして……──────────────────────────────────────────────────────────────── 学校の方は どうですか? 勉強との両立…… 大変かもしれませんが あなたなら 頑張れるって わたし 信じてるからね^^ 遠くから 応援することしか 出来なくて ごめんなさい……。 わたしとあなたって きっと…… 織り姫と彦星なんだと思う。 お互い あるって信じることしか いまは出来ないけれど きっと いつか逢えると思う。。。 わたしはあなたと また逢えるって、信じてるから。。。 逢える日。楽しみに待ってようね^^──────────────────────────────────────────────────────────────── 周りから見たら、僕はおかしいのかもしれない。 でも──…… 僕はそんなメールをやめること……出来なかった。 そんな日々を止めること……出来なかった……。 ……そしてついに、その日が来てしまった。
Oct 17, 2005
ひとめぼれって言うものを、その日まで、 ──僕は信じてなかった──…… だって! 第一! 絶対! ひとめなんて、ありえねえし~! 気になって、二度三度、チラチラ確認して、 ──おぉ!! スゲーいい女! こころんなかで、小さく! ガッツポーズ~!!! そんな風に、ひとめだと思っても、 結局、度々、何度かは見てるものなんだよ! 瞬間的に認識して、瞬間的に惚れるって そんなこと、もしあるなら…… 俺はテレビなんて、怖くて、これから一つも見たくはないね! ──ひとめ惚れなんて、在り得ないって……僕は思ってた。 でも、僕はふためでも、みめでもなく…… ──ひとめで、君を好きになったんだ。。。 名前も、どんな声かも、わからない…… ──たったひとめだけの、君を──…… その日は、雨が降っていた。 早朝の電車内は【雨に濡れて駆け込む客】のことだけを思ってか、 暖房が無駄に効き過ぎている。。。 ……気持ち、ワリィ……。 ……もっと、ずっと乗ってる客のことも、考えろよ~ とも、思ったけど……伝えるべき奴は、どこにもいない……。 僕は仕方なく、その温かさを、少しでも紛らわすように 薄く曇った窓ガラスに手を置く。 ……サイコー! 気持ちイィ~!! カラダ全体、べったりと、窓ガラスに引っ付けたら どんなに気持ちがいいんだろう……。 そんなことも思ったけど…… 辺りを見渡すと、客がいる。 ……寝た振りしてろよ!!! そう思っても、しっかりと……目覚めきってる ……オヤジ。 目が合う……。 ──……。 合いすぎるほど、目が合う……。 ──……。 ……これ以上、見てると、ある方向に……勘違いされそうだな……。 ──……。 ……今すぐ目力、ほしいな俺……。 ──……。 ……俺! マケンナ! ──……。 ……俺! ガンバレ! ──……。 ……そう都合よく、人生、行くわけもなく、 ……オヤジは目線を、逸らす気配もない……。 仕方なく、手だけを窓ガラスに、僕は沿わせていく……。 ……あと、何駅目だっけ……。 中学時代の活躍が認められた僕は、他県の高校に特待で入学した。 バスケットボール。インターハイにも出場している。 バスケがやりたかったから、入学した時、嬉しかったけれど…… でも、この、どうにも退屈な通学時間には、いつになっても慣れない。 最初は一人暮らしで……。 ……なんて話も確かにあったけど。「男の子の一人暮らしは、なにかと危険ですから」 ……って! おい! それ言うなら女の子だろ?! でも……確かに、この年頃の男の一人暮らし、危険だと僕も思う。 ……違う意味での身の危険。 甲子園の星。インターハイの星……確かにモテル。 僕の仲間もハッキリ言って、爽やかそうな顔しながら…… ヤルことは、ヤッテル。 ……ヤリ過ぎるほど ヤッテル……。 泣いてる女の子、数え切れないくらい、いるんだろうな…… 話聞くと、そう思う。 かわいそうに……。 付き合って、一度だけして、フッタとか。 一週間交代で女の子、替え続けてるとか……。 たぶん、そういうのの絡みとか、気にして【男の子は危険】発言に、 繋がったんだろうなって思うけど……。 あ……!! 確かに僕も星だけど、そんなことは、してないよ! 時間がないし……、あ……! あったとしてもしないって! これ本当! ……したくても、出来ないんじゃないの? って? ん……。 モテナイわけでは、ないんだ。 自分で言うのもなんだけど、成績だって学年トップクラスだし、 タッパだってあるし、身体だって均整取れてるし、それに顔も…… 何度か事務所に、声かけられてる……。 ……念のため言っておくけど、事務所といっても、芸能の方だからね。 とにかく……ん?! 今時の少女漫画の設定だって、そんなの無いって? わるかったな! とにかく! 設定外でも僕はそんな奴なの! 友人達にも言われたよ【オマエはオカシイ】って。 僕だって、女の子に興味が無いわけではない。 こっそり、わざわざ遠くのコンビニまで行って、エロ本とか 少年漫画とかに挟んで買うし。 ……こんなこと、言わなくても、いいことだったな……。 とにかく俺は女好きだ ……なんか、これもヘンだよな。 とにかく、僕も、普通の男で……。 恋とかそういう、ヤルとかヤラレルとか……そういうの興味ない…… そんなわけでは、ないんだけど……ただ……。 恋とかそういう感情を向ける相手が、まったく現れなかったんだ。『とりあえず彼女作れ! ヤレ! 彼女はいいぞ~!!』 なんて、言われるけれど……。 とりあえず、ヤッテみたいってのはあるけれど…… でも……それより……。 ──電車はゆっくりと、駅の構内に入ってゆく……。 僕は、どこの駅なのかを確かめるべく、 おでこをべったりと窓に引っ付けて、外を覗き見渡す……。 ……冷てぃ~!! 思わず、火照った両頬もべっとり。 歪むほどくっつけて、駅名のプレートを探す……。 ──ん?! 次の瞬間──……僕の視線が、ある一点に釘つけになる──…… すべては重く……淀んだ雲は、空だけでは足らず、 地表にまで……溶け込み続けている──…… そんな世界になかで、駅の構内にだって、 淀みは次々に、流れ込んでいるはずなのに──…… とても、澄んでいるものを、 ──僕は見たんだ──……
Oct 17, 2005
全3件 (3件中 1-3件目)
1

![]()
![]()