表具師 坂上加麗堂
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14~15日 山王祭り(春の高山祭り)が挙行されました。自粛か実行かで 賛否両論ありましたが、日枝神社からのコメントは要約すると 「山王祭りは400年前から続く神事であり、五穀豊穣と天下泰平を祈念するもの。全ての神事を粛々と挙行することによって、犠牲者の鎮魂と被災地の復興を祈念する」といったもので、これには私も全くの同感です。私は 祭りには、飛騨高山にのみ今も受け継がれている“飾り物”を展示しています。今回は このような事情なので、“祈念 東日本大震災復興”をテーマにしたのですが表現方法としては邪道です。もちろん 正式な飾り物をしたいのは山々ですが、今回は 難解な飾り物より、誰の目にも分かりやすくインパクトのあるものにしたく葛藤はあったのですが、最初にひらめいたものにしました。祭り当日・・・祭りでは 朝から晩まで出ずっぱりの私ですが、僅かな空き時間に玄関先にいると、初老の男性が 飾り物をしばらく見て 手を合わせ(合掌)て、去って行かれました。今回の飾り物は 自分でも迷いがあったのですが、少なくとも この方は感動してくださったご様子。ほっとしたような感覚でした。数分後、先ほどの方が 戻ってこられ、「すみません。写真を撮らせてもらってもいいですか?」「どうぞ、どうぞ。」「私、福島から来ました。」「えっ、大丈夫でしたか?」「いやぁ、それが家はめちゃくちゃです。ただ、この祭りには前から来る予定にしていましたし、向こうにいても仕方ないから、思い切って来ました。こんな遠い所でも、私達のことを思ってくださっている人がいるという事を帰ったら、まわりの人たちに写真を見せて伝えたいと思います。」私は、飾り物の説明を簡単にしただけで、こみ上げるものがあり、声がつまって頑張ってくださいの 一言も言えませんでした。それが心残りですが、あの瞬間は 確かに あの方と心は通じたので、稚拙な言葉はなくても大丈夫だったかなと思います。私は、現地に行ってボランティアをする訳でもなく、募金活動をする訳でもなく、やったことといえば、僅かな募金だけ。でも、たかが飾り物ですが、少なくとも一人には 被災者に直接 気持ちを届けられたことに、感動しています。逆にパワーをもらった感じです。よく、歌手が 「私は歌うことしか出来ないから被災者のために歌う。」とかスポーツ選手が「プレーで元気を与える」とかって言うのが、それって 自分の仕事じゃん。普段となにも変わらない。と、多少の違和感があったのですが、今回のことで、やはり、どんな小さなことでも、出来ることをやるのが重要。たとえ何もできなくても、被災者のことを思う気持ちを持つことだけでも大事なんだと、改めて思いました。
2011年04月16日
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