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源氏物語〔2帖帚木 ははきぎ6〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語2帖帚木の研鑽」を公開してます。宮仕えをして思いがけない幸福のもとを作ったりする例も多いと、左馬頭(さまのかみ)が言うと、それでは何でも金持ちでなければならないと源氏は笑っていた。あなたらしくない事を口にするものではありませんよと、中将は軽く注意を促すように言った。左馬頭はなお話し続けた。家柄も現在の境遇も一致している高貴な家のお嬢さんが平凡な人であった場合、どうしてこんな人ができたのかと情けないことだろうと思うと話す。そうではなくて地位に相応しくすぐれたお嬢さんであったら、それはたいして驚きませんね。当然ですもの。私らにはよくわからない社会の事ですから上品は省く事にしましょう。こんなこともあります。世間からはそんな家のある事なども無視されているような寂しい家に、思いがけない娘が育てられていたとしたら、発見者は非常にうれしいでしょう。意外であったという事は十分に男の心を引くカになる。父親がかなり年寄りで、醜く肥った男で、見掛けの姿のよくない兄を見ても、娘は知れたものだと軽蔑している家庭に、思い上がった娘がいて、歌も上手であったりなどしたら、それは本格的なものではないにしても、ずいぶん興味が持てるだろう。完全な女の選択には入りにくいでしょうと言いながら、同意を促すように式部丞の方を見ると、自身の妹たちが若い男の中で相当な評判になっていると思った。
2024.06.06
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「〔4〕殿の子息三位の君」「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語の紫式部日記」の研鑽を公開してます。〔4〕殿の子息三位の君しっとりした夕暮れに、宰相の君(藤原道綱の娘豊子。式部と最も親しい女房)と二人で話をしていると、殿のご子息の三位の君(道長の長男頼通十七歳)がいらっしゃって、簾の端を引き上げて、お座りになる。年齢のわりにはずっと大人びて、奥ゆかしいご様子。女はやはり、気立ての良い人となると滅多にいないものだと、男女関係の話をしんみりとしていらっしゃる。その様子は、幼いと世間の人が侮っているのはよくないことだと、こちらが恥ずかしくなるほど立派に見える。あまり打ち解けた話にならない程度で、おほかる野辺にの歌を詠む。女郎花 おほかる野辺に 宿りせば あやなくあたの 名をや立ちなむ女という名を持つ女郎花の多い野原に泊まったら 別に多くの女と寝たというわけでもないのに 理不尽にも浮気者だという浮名が立つだろう古今集・小野美材和歌を口ずさんで退出なさった様子こそ、物語で褒めている男君そっくりのような気がした。 このくらいのちょっとしたことで、後々ふと思い出されることもあるし、その時はおもしろいと思ったことでも時が経つと忘れてしまうことがあるのは、いったいどういうわけなのだろう。朝の道長の戯れと夕の頼通の端正なふるまい。この父子の対照は、物語の光源氏と夕霧の対照になぞらえられる。
2023.12.18
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源氏物語〔2帖帚木 ははきぎ5〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語2帖帚木の研鑽」を公開してます。階級の別はどのようにつけるのですか。上中下を何で決めるのですか。よい家柄でもその娘の父は不遇で、恵まれない役人で貧しいのと、並みの身分から高官に成り上がっていて、それが得意で贅沢な生活をして、初めからの貴族に負けないような家の娘と、 どちらへ属させたらいいのだろうと、こんな質問をしている所へ、左馬頭(さまのかみ)と藤式部丞とが、源氏の謹慎日を共にしようとして出て来た。風流男という名が通っているような人だったので、中将は喜んで左馬頭を問題の中へ引き入れた。不謹慎な言葉も多く、いくら出世しても、もとの家柄がよいとは言えないから世間の思わくもやはり違う。もとはいい家でも逆境に落ちて、何も昔の面影もない姿になってみれば、貴族的な品のいいやり方で押し通せるものでもないし、見苦しいことも人から見られるわけだから、それはどちらも中流階級ですよ。受領といって地方の政治にばかり関係している連中の中にもまたいろいろ階級がありましてね、いわゆる中流として恥ずかしくないのがありますよ。また高官の部類へやっとくらいの家よりも、参議にならない四位の役人で、世間からも認められていて、もとの家柄もよく、富んでいてのんきな生活のできている所などはかえって朗らかなものですよ。不足のない暮らしができるのですから、倹約もせず、そんな空気の家に育った娘に軽蔑のできないものがたくさんあるでしょう。
2024.06.05
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源氏物語〔2帖帚木 ははきぎ1〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語2帖帚木の研鑽」を公開してます。源氏物語2帖帚木(ははきぎ)を研鑽。桐壺帝が命名した光源氏、すばらしい名で、青春を盛り上げてできたような人と想像できる。また自由奔放な好色生活が想像されるが、実際はそれよりずっと質素な心持ちの青年だった。その上恋愛という一つのことで後世へ自分が誤って伝えられるようになってはと、異性との交際を極力内輪にしていたのであるが、ここに書く話のような事が伝わっているのは世間のうわさからおもしろがって広まる。自重してまじめな風体の源氏は恋愛風流などには疎かった。好色小説の中の交野の少将(中納言なる人物が交野の鷹狩りが縁で大領の娘と契るが、以後訪れないため娘は投身自殺をはかるという物語)には笑われていたであろうと思われる。中将時代にはおもに宮中の宿直所に暮らしていた時、たまにしか舅の左大臣家へ行かないので、左大臣は光源氏が別に恋人を持っているかのような疑いを受けていた。舅の左大臣は世間にざらにあるような好色男の生活はきらいであった。まれには風変わりな恋をして、たやすい相手でない人に心を打ち込んだりする欠点はあった。梅雨のころ、帝の謹慎日が幾日かあって、帝の傍に仕える大臣は家へも帰らずに皆宿直する。こんな日が続いて、源氏の御所住まいが長くなった。大臣家ではこうして途絶えの多い婿君を恨めしくは思っていたが、やはり衣服その他贅沢を尽くした新調品を御所の桐壼へ運ぶのに飽きることはなかった。
2024.06.01
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源氏物語〔2帖帚木 ははきぎ3〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語2帖帚木の研鑽」を公開してます。初めからほんとうに秘密の大事な手紙などは、だれが盗んで行くか知れないので棚などに置くわけにもいかない、だがこれはそれほどの物でもないのだから、源氏は見てもよいと許した。中将は少しずつ読んでから、いろんなのがありますねと想像だけで、だれとかかれとか筆者を当てようとする。上手く言い当てるのもあるが、全然見当違いのことを言いながら、それであろうと深く追究したりする。そんな時に源氏はおかしく思いながらも、あまり相手にならぬようにして、上手く皆を中将から取り返した。あなたこそ女の手紙をたくさん持っているでしょう。少し見せてほしいものだ。そのあとなら棚のを全部見せてもいい。あなたの御覧になる価値のあるものはいないでしょうと、こんな事から頭中将は女についての感想を言い出した。これならば完全だ、欠点がないという女は居ないと私は今やっと気付いた。ただ上っつらな感情で達者に手紙を書いたり、こちらの言うことに理解を持っているような利巧な人もたくさんいるので、そこを長所として取ろうとすれば、きっと合格点に入るという者は中々いないと思う。自分が少し知っている事で得意になって、 ほかの人を軽蔑する事のできる厭味な女が多い。
2024.06.03
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源氏物語〔2帖帚木 ははきぎ4〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語2帖帚木の研鑽」を公開してます。親がついていて、大事にしてもらい、屋敷内の奥の邸宅の建物の部屋で育っているうちは、その人の一部分だけを知って男は自分の想像だけで十分補って恋をすることになるですね。顔がきれいで、娘らしくおおようで、そしてほかにすることがないのですから、そんな娘には一つくらいの芸の上達が望める。それができると、仲に立った人間がいいことだけを話して、欠点は隠して言わないようにしている。そんな時にそれは嘘だなどと、こちらもいい加減なことを言う事は可能ではなく、真実だろうと思って結婚したあとで、だんだんあらが出てこないわけはない。中将がこう言って嘆き溜息をついた時に、ありきたりの結婚失敗者ではない源氏も、何か心にうなずかれることがあるか微笑を浮べていた。今言った一つくらいの芸ができるというほどの取り柄もできない人も世の中には存在する。そんな所へは初めからだれもだまされに行きませんよ。何も取り柄のないのと、完全であるのとは同じほどに少ないもの。上流に生まれた人は大事にされて、欠点も目だたないで済みますから、その階級は別ですよ。中の階級の女によってはじめてわれわれはあざやかな、個性を見せてもらうことができるのだと思う。またそれから一段下の階級にはどんな女がいるのだか、まあ私にはあまり興味が持てないと言って、愛想を振りまく中将に、源氏はもう少しその観察を語らせたく思った。
2024.06.04
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「南京事件13」 「中国写真ライフ」では、江蘇省南京「南京大虐殺記念館」の写真を公開しています。上の写真は南京大虐殺を描写した油絵であるがリアルさを超えて実に奇妙な油絵である。旧日本皇軍の二人の将校が腕組みをして仁王立ちしている姿を描いたのは旧日本軍の兵士が如何に残忍だったと印象付けたいからだ。多くの中国人は、この油絵を見て日本人の残虐さを確信しただろうし、日本鬼子と呼ぶに相応しい絵に仕上げられているが、もし私がその場に居たのなら、直視は出来ないと思う。南京大虐殺は中国共産党により捏造された。中国国民党の調査で大虐殺前の南京の人口は20万人であったと報告されている。だが、南京大虐殺での犠牲者数は30万人とされまた同じく南京安全区国際委員会の事務局長の報告では旧日本軍の南京陥落の3ヶ月後の人口が25万人であったとされ、旧日本軍が南京へ入り物資を配る噂で人口が増えたとしている。万が一にも中国共産党の主張する南京大虐殺が本当に有ったとするならば、南京の人々は我先に逃げ出しているのではないだろうか?
2012.03.26
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「産湯の儀式の準備をさせていた」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。医師や陰陽師などで、それぞれの道で効験があった者に衣類・絹・布などの褒美をお与えになったり、内々では産湯の儀式の準備をさせていたようだ。皇子の誕生のとき、産湯(うぶゆ)をあびさせる行事。宮中では吉日を選び、朝夕二回、七日間繰り返し、読書、鳴弦(めいげん)なども行なわれる。女房の各部屋では、大きな衣装袋や包などを運び込む人たちが出入りし唐衣の刺繍や、裳のひき結びの螺鈿や刺繍の飾りを、多すぎるほどして人には見せないようにして、注文の扇はまだと言いながら化粧をし身づくろいをするいつものように、渡り廊下の部屋から眺めると、寝殿の両開きの戸の前に中宮の大夫(藤原斉信)や東宮の大夫(藤原懐平/ふじわらやすひら)などその他の上達部たちも、大勢傍に居て仕えていらっしゃる。
2022.09.24
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「庭に二列に立ち並んでいる」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。中国人によって書かれた漢文形態の書物を読む博士は、蔵人の弁の広業(ひろなり/藤原広業)で、高欄の下に立って、『史記』の第一巻を読む。悪魔を払う弦打(つるうち/穢れを退散させるまじないで弓の弦を鳴らす)は二十人、そのうち五位が十人、六位が十人で、庭に二列に立ち並んでいる。夕方の御湯殿の儀である産湯(うぶゆ)をあびさせる行事といっても形式的に繰り返して奉仕する。儀式は前と同じである。ただ読書の博士だけが変わったのだろうか。今度は伊勢守(いせのかみ)致時(むねとき/中原致時)は平安時代中期の貴族。読んだのは、孝経(こうきょう/中国の経書のひとつ)の天子章の一章だろう。
2022.10.01
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「平安時代の随筆 紫式部日記13」「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「平安時代の随筆 紫式部日記」の研鑽を公開してます。紫式部は枕草子の記述に見る清少納言とは異なり、むやみに自身の博識さを、披露しようとしない、遠慮がちで引っ込み思案な性格であったと言える。清少納言と紫式部の性格が分かる作風の違いは、2人が仕えていた主君やそれぞれが過ごす、後宮(こうきゅう)の雰囲気も大いに影響していた。後宮は、宮中において皇后や后などが住む奥向きの宮殿を指し、平安時代の後宮は上流貴族達の社交場として、女房達と共に文芸をたしなむ談話室のような役割を果たしていて、藤原定子と藤原彰子、それぞれの後宮の雰囲気は真逆で、枕草子と紫式部日記に記載があります。
2023.12.01
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源氏物語〔1帖桐壺27完〕「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「源氏物語1帖桐壺の研鑽」を公開してます。新夫婦付きの女房はことにすぐれた者をもってしたり、気に入りそうな遊びを催した り、一生懸命である。御所では母の更衣のもとの桐壼を源氏の宿直所にお与えになって、御休息所に侍していた女房をそのまま使わせておいでになった。更衣の家のほうは修理の役所、内匠寮へ帝が命じて、非常にりっぱなものに改築された。もとから築山のあるよい庭がついた家であったが、池なども以前よりずっと広くされた。二条の院がこれである。 源氏はこんな気に入った家に自分の理想どおりの妻と暮らすことができたらと思って始終嘆いて溜息をついていた。光の君という名は鴻臚館を訪れた高麗人が、源氏の美貌と天才を褒め名付けた言われている。光源氏の母の桐壺更衣が他界したのは光源氏が3歳の時である。私の母が他界したのは3歳半の時で入水し引き上げられ自宅へ送り届けられた実母の生前の姿は断片的にしか記憶がない。顔は全く記憶がなく私が36歳の時の33回忌で母の顔写真を始めて見た。この事からも桐壺更衣に似た帝の妃の藤壺に心惹かれる表現は小説の世界だからなのだろう。源氏物語1帖桐壺はこれで終り、明日よりは光源氏17歳からの源氏物語2帖帚木(ははきぎ)を研鑽し公開していきたいと思います。
2024.05.31
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