浜松中納言物語 0
[紫式部日記] カテゴリの記事
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徒然草/三十一段の二/三十二段の一 一言も書かないようなひねくれ者
「夜明けまで月を見て歩いた」「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「徒然草の1から100」の研鑽を公開してます。三十一段の二その雪に感じる興趣のない返事に対して、この雪をどのように見るのか、一言も書かないようなひねくれ者の言う事を聞き入れても良いものか。かえすがえすも残念な気持ちですと言っているのが面白かった。今は亡き人のエピソードであるから、こんな事でも忘れることができない。三十二段の一九月二十日の頃、ある人に誘われて夜明けまで月を見て歩いた。ある人が思い出した場所があるということで、私に案内させて、その家の中に入っていった。荒れた庭の生い茂る植物には露が降りており、周囲にはわざとではない焚き物の香りが漂っていた。忍びながら話している気配が非常にしみじみとした情趣を醸している。適当な時間にある人はおいとまされたのだが、まだこの家に住んでいる女性の姿が優美に感じられて、物陰からしばらく見ていた。
2023.04.19
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紫式部日記(完) 今日で最終を迎え明日より徒然草を始めます
「明日より徒然草の研鑽」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。紫式部日記は絵と詞書がそれぞれ50～60段、全10巻程の大作だった。現在、残っているのは絵24段、詞書24段の4巻分だけで、紫式部日記の25％程残っているだけだが考え方を変えれば、25％も守られてきた。蜂須賀家本、藤田家本、旧森川家本、旧久松家本が伝来していて、いずれも国の重要文化財や国宝に指定されている。(シッポが下がるのは換毛期でメンタルが不安定なのか？)制作者が誰なのかは明らかになってないが、鎌倉幕府4代将軍の藤原頼経の父、九条道家の依頼で作られたと考えられている。2024年の大河ドラマが「光る君へ」源氏物語を書いた紫式部に決定した。紫式部や清少納言などのヒロインも決まりだしているが楽しみである。明日より徒然草の研鑽を予定。徒然草は兼好法師が書き綴った随筆。吉田兼好(けんこう)は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての官人、歌人・随筆家。全243段からなる随筆で、内容は、人生論や友情論、思わず笑ってしまう失敗談や、辛口の人間批評や政治批評もある。
2023.03.09
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紫式部日記 200年後の鎌倉時代初期に紫式部日記絵巻が作成
「平安時代中期の女性作家」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。紫式部日記が書かれてより200年後の鎌倉時代初期に本書をもとにして紫式部日記絵巻が作成された。紫式部は平安時代中期の女性作家で歌人。998年、紫式部は藤原宣孝(のぶたか)に嫁ぎ、一女を出産した。式部は結婚後、僅か3年で宣孝が病気で亡くなり、辛い現実から逃れるために源氏物語を書き始めたと伝わっている。平安時代の1008年秋から1010年の正月までのおよそ1年半の間、紫式部が宮中での様子を中心に書いた日記を紫式部日記とよんでいる。紫式部が仕えた中宮彰子の皇子出産や、その祝賀の様子、貴族や宮中の人々の人間関係などを活き活きと描いているのが特徴である。人物評を除くほぼ全文を然るべく分割して絵画化し、説明文である詞書が添えられている。
2023.03.08
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紫式部日記 頭の弁が琵琶琴で左の宰相の中将が笙の笛
「右大臣は和琴が実に見事」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。 殿上では、四条の大納言が拍子をとり、頭の弁が琵琶、琴、左の宰相の中将が笙(しょう)の笛という事である。双調の調子で、安名尊(あなとうと/催馬楽)、次に席田(むしろだ/催馬楽/鷲宮神社に於いて年6回行われ)此殿などを謡う。(動物病院では、もものシッポが曲がらない原因は不明だった)楽曲は、鳥の曲の破と急を演奏する。戸外の地下の座でも調子の笛などを吹く。歌に拍子を打ち間違えて咎められたりする。つぎに伊勢の海(催馬楽)を謡う。右大臣は、和琴が実に見事などと、聞きながらお褒めになる。戯れておられたようだが、そのあげくにひどい失態をなさった気の毒さは、見ていた私たちも体がひやりとしたほどだった。殿からの帝への献上物は、横笛の葉二(はふたつ)で、箱に納めて差し上げられたと拝見した。 笛は道長が、去る十一日に花山院御匣殿(みくしげどの)から賜った名笛である。
2023.03.07
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紫式部日記 膳の調度や飾りつけは言い様がなく立派である
「大納言の君や小少将の君」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。御帳台の東側の隙がわずかにあいてる所に、大納言の君や小少将の君が座っていらっしゃり、そこにわたしは訪ねていって祝宴を拝見する。 帝は、平敷のご座所につかれ、御食膳が差し上げられ並べられた。(今もものシッポが曲がらなく垂れ下がる--精神的疲労か？)お膳の調度や、飾りつけの様子は、言いようがないほど立派である。縁側には、北向きに西の方を上座にして、公卿たちは、左・右・内の大臣たち、東宮の傅(ふ)、中宮の大夫、四条の大納言と並び、それより下座は見ることができなかった。 管弦の遊びが催される。殿上人は、こちらの東の対の東南にあたる廊に伺候している。地下(じげ)の席は決まっている。景斉(かげまさ)の朝臣(あそん/藤原景斉)、惟風(これかぜ)の朝臣(藤原景斉)、行義(ゆきよし/平行義)、遠理(とおまさ/藤原行義)などが人がいた。
2023.03.06
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紫式部日記 紅の袿一重の上に紅梅の袿の濃いのや薄いのを
「衣装の優劣は身分上の制約」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。小大輔(こだいふ)は、紅の袿一重の上に紅梅の袿の濃いのや薄いのを五枚重ねていた。唐衣は、桜襲。源式部（げんしきぶ）は濃い紅の袿に、さらに紅梅襲の綾の表着を着ていたようだ。唐衣が織物でなかったのをよくないとでもいうのだろうか。でもそれは禁色だから無理というもの。公の晴れの場でこそ、過失がはた目にちらりと見えた場合なら、批判されてもよいだろうが、衣装の優劣は身分上の制約もあることだから言うべきではない。弟宮にお餅を献上なさる儀式なども終わり、御食膳なども下げて、廂の間の御簾を巻き上げる、そのそばに帝付きの女房たちは、御帳台の西側の昼の御座の向こうに、重なるようにして並んでいた。橘(たちばな)の三位の君をはじめとして、典(ないしの)侍(すけ)たちも大勢参上していて、中宮付きの女房たちは、若い人々は廂の長押の下手に、東の廂と母屋の間の南側の襖を取り外して御簾をかけてある所に、上臈(じょうろう)の女房たちは座っていた。
2023.03.05
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紫式部日記 よく整っていてすらりとはしていない容姿
「葡萄染めの織物の小袿」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。あちらはとても目立つので、私はこちらの奥にこっそり入りじっとしていた。 中務の乳母が、弟宮を抱かれて、御帳台の間から南面の方に連れて行かれる。よく整っていてすらりとはしていない容姿で、ただゆったりと、重々しい様子で、乳母として人を教育するのにふさわしい。才気の感じられる雰囲気があり、葡萄染めの織物の小袿と、紋様のない青色の表着の上に、桜襲の唐衣を着ていた。その日の女房たちの衣装は、だれもかれもが華麗を尽くしていたが、袖口の色の配色のよくない人でも、御前の物を受け取る時に、大勢の公卿たちや、殿上人たちに、袖口をまじまじと見られてしまった。あとになって宰相の君なども、悔しがっていらっしゃったようだ。とはいっても、それほど悪いというほどでもなかった。ただ色の取り合わせが引き立たなかっただけだ。
2023.03.04
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紫式部日記 朝日が射し光り輝き眩いばかり立派な情景
「中宮さまはいつもの紅の袿」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。帝付きの女房たち十七人が、中宮さまのところへ参上した。弟宮の陪膳役は橘の三位(内裏女房/橘仲遠の娘徳子)取次役は、端の方に小大輔(中宮女房)、源式部(中宮女房)、内には小少将の君が奉仕する。帝と、中宮さまとが、御帳台の中にお二人で一緒にいらっしゃる。朝日がさして光り輝いて、まばゆいばかり立派な御前の情景である。帝は、御引直衣(おひきのうし)に小口袴(こぐちばかま)をお召しになった。中宮さまはいつもの紅の袿に、紅梅、萌黄、柳、山吹の袿を重ねられ、上には葡萄染めの織物の表着をお召しになり、柳襲の上白の御小袿の、紋様も色合いも珍しく当世風なのを着ていらっしゃる。
2023.03.03
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紫式部日記 二人の部屋を一つに合わせてそこに住んでいる
「几帳だけで仕切りにして」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。いつものように同じ部屋にいた。二人の部屋を一つに合わせて、一方が実家に帰っているときもそこに住んでいる。一緒にいる時は、几帳だけで仕切りにして暮らしている。殿はお笑いになり、お互いに知らない男でも誘ったら、どうするつもりだと、聞きづらいことをおっしゃる。でも、ふたりとも、そんなによそよそしくはないから、安心である。 日が高くなってから中宮さまの御前に参上する。あの小少将の君は、桜の綾織の袿に、赤色の唐衣を着て、いつもの摺裳をつけておられた。わたしは紅梅の重袿(かさねうちき)に萌黄(もえぎ)の表着、柳襲の唐衣で、裳の摺り模様なども現代風で派手で、取り換えた方が良さそうなほど若々しい。
2023.03.02
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紫式部日記 渡り廊下の上の空をわずかに眺めながら
「幾重にも建ち並んだ殿舎」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。中務の乳母---つぎの日の、夕方、早くも霞んでいる空を、幾重にも建ち並んだ殿舎の軒が隙間もないので、ただ渡り廊下の上の空をわずかに眺めながらだが、中務の乳母(中宮女房/源隆子)と、昨夜の殿が口ずさまれたこと(野辺に小松のなかりせば)をほめあう。（ももの抜け換わる冬毛が半端なく掃除機2回掛ける）この命婦は、ものの道理をわきまえた、よく気がきくお人だと思う。敦良親王の乳母である中務の命婦にとっても、道長が口ずさんだ「野辺に小松のなかりせば」このことは当然嬉しいことだった。二の宮の御五十日―正月十五日---ほんのちょっと里に帰って、二の宮(敦良親王)の御五十日のお祝いは、正月十五日なので、その明け方に参上したが、小少将の君(源時通の娘)は、すっかり夜が明けた間が悪いほどのころに参上なさった。
2023.03.01
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紫式部日記 引き抜いた小松の根の長さで長寿を占う
「二皇子を得た道長の喜び」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。 子の日する 野辺に小松の なかりせば 千代のためしに なにを引かまし若宮たちがいなかったら わが世の千年の繁栄の証を何に求めよう［拾遺集］春、壬生忠岑二皇子を得た道長の喜びに紫式部も共感している。(ももの毛がまとまって抜ける)子の日の遊びに、小松がないのなら、千代長寿の祈りに何を引こうというのか。 正月(立春)初めの子(ね)にあたる日。 野辺に出て小松をひき抜いて長寿を願う。または引き抜いた小松の根の長さで長寿を占う遊び事で、京都では根引き松といって、根が付いた松が門松として飾られていた。
2023.02.28
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紫式部日記 中宮が寂しそうな様子でいたのを見ていた
「若宮たちを拝見するのは嬉しい」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。気分を害したため、その罪が許されるほどの和歌を一首詠めといわれ。父親のかわりに詠め。今日は初子（はつね）の日だ。詠めと責められる。すぐに歌を詠んだら、みっともないことだろうとおもう。(ももは換毛期に入り掃除機掛けが大変)ひどく酔っておられるので、ますます顔色が美しく、灯火に照らされた姿は輝き映えて素晴らしく、ここ数年来、中宮が寂しそうな様子でいたのを、侘しく見ていたが、このようにうるさいほどに、左右に若宮たちを拝見するのは嬉しいことよとおっしゃる。お休みになられる若宮たちを、帳台の垂絹を何度も開かれては見ておられる。そして、野辺に小松のなかりせばと口ずさまれる。新しく歌を詠まれるより、こういうときにぴったりの歌を出してこられる。そんな殿の様子が、わたしには立派に思われた。
2023.02.27
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紫式部日記 殿が若宮を抱かれて挨拶を若宮に言わせたり
「酷くやきもちを焼かれて」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。殿が若宮を抱かれて出てこられて、いつもの挨拶を若宮に言わせたりして、可愛がられ、北の方に弟宮(敦良親王)を抱いてあげようと殿が話されたのを、兄宮(敦成親王)が酷くやきもちを焼かれて、いやと駄々をこねられていた。その姿を殿は可愛く思われて、あれこれなだめあやされるので、右大将などはおもしろがっていらっしゃる。それから公卿たちは清涼殿に参上して、帝も殿上の間に出てこられて、管弦の御遊があった。殿は、いつものように酔っていらっしゃる。わたしは避けたいと思って、隠れていたのに、どうして、おまえの父は、わたしが御前の御遊びに呼んでやったのに、伺候もしないで急いで帰ったのか、ひねくれてると気分を害していらっしゃる。
2023.02.26
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紫式部日記 源宰相(源頼定)たちが向かい合って座った
「東面の間をとり払い例年通り」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。中宮の臨時客・子(ね)の日の遊び---二日、中宮様の宴は取り止めになって、臨時客が、東面の間をとり払って、例年のとおり行われた。列席の公卿たちは、傅(ふ)の大納言(藤原道綱)、右大将(藤原実資)、中宮の大夫(藤原斉信)、四条の大納言(藤原公任)、権中納言(藤原隆家)、侍従の中納言(藤原行成)、左衛門の督(かみ/藤原頼通)、有国の宰相(藤原有国)大蔵卿(おおくらきょう/藤原正光)、左兵衛(さひょうえ)の督(藤原実成)、源(げん)宰相(源頼定)たちが、向かい合ってお座りになっていた。源中納言(源俊賢/としかた)、右衛門の督(藤原懐平)、左(源経房)右(藤原兼隆)の宰相の中将は、長押(なげし)の下手の、殿上人の上座にお着きになった。
2023.02.25
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紫式部日記 胸中を察すると私はたまらなく切ない気持ちに
「御膳を取りつぐ女蔵人」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。御膳を取りつぐ女蔵人は、内匠（たくみ）と兵庫（ひょうご）が奉仕する。髪上げした容貌は、陪膳役の方が立派に見えるけれど、そのおつとめの胸中を察すると、わたしはたまらなくせつない気持ちになる。御薬の儀の女官の、文屋（ふや）の博士（内裏女房、文屋時子）は、利口ぶって才がありそうにふるまっていた。献上された膏薬（唐薬）が配られたが、それは例年行われることである。膏薬（皇薬）を忌んで唐薬という。正月三日に典薬寮から膏薬献上の儀があり、天皇はこれを右の薬指で額と耳の裏に塗る。式後人々にも配った。
2023.02.24
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紫式部日記 身分の高い女房たちも毎日清涼殿に上がる
「帝が頭上に餅をのせる」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。若宮たちの御戴餅(いただきもちい)―寛弘七年正月今年は正月三日まで、若宮たちの敦成(あつひら)親王、敦良(あつなが)親王の御戴餅(いただきもちい/幼児の前途を祝福し寿詞を唱え幼児の頭に餅を戴かせる)その儀式の為に毎日清涼殿に上がり、そのお供に身分の高い女房たちも参上する。左衛門の督(かみ)(藤原頼通十九歳)が抱かれて、殿が、お餅を取りついで、帝(一条天皇)に差し上げられる。二間の東の戸に向かって、帝が若宮たちの頭上にお餅をおのせなさる。若宮たちが抱かれて帝の前に参上したり退下したりする儀式は、見物であるが、母宮さまはおのぼりにならなかった。今年の元日は、御薬の儀の陪膳役は宰相の君で、例の衣装の色合など格別で、実に素晴らしい。
2023.02.23
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紫式部日記 渡り廊下にある部屋に寝た夜部屋の戸を叩く人
「熱心に戸をたたかれた」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。戸をたたく人---渡り廊下にある部屋に寝た夜、部屋の戸を叩く人がいると聞いたが、恐ろしいので、返事もしないで夜を明かした翌朝のこと。殿から、 夜もすがら 水鶏よりけに なくなくぞ まきの戸ぐちに たたきわびつる 昨夜は水鶏(くいな)以上に泣く泣く槙(まき)の戸口で、夜通し、叩き疲れて、まいってしまった それに対しての返歌、 ただならじ とばかりたたく 水鶏ゆゑ あけてはいか に くやしからまし 熱心に戸をたたかれたあなただから、戸を開けたらどんなに後悔したことでしょう藤原道長は紫式部にとって尊敬できる人間味にあふれた殿であったが、このように夜更けに戸を叩いて、紫式部が仕えていた中宮彰子は、このとき出産のため土御門殿に退出していたので強引に肉体関係を持とうとする老醜の男でもあった。
2023.02.22
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紫式部日記 梅の実の下に敷かれている紙にお書きになる
「浮気者と評判がたっている」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。人にまだ折られぬものを---『源氏物語』が中宮さまの所にあるのを、殿がごらんになって、いつもの冗談を言い出されたついでに、梅の実の下に敷かれている紙にお書きになる。すきものと 名にし立てれば 見る人の 折らで過ぐるは あらじとぞ思ふ 浮気者と評判がたっているので おまえを見た人で口説かないですます人はいないと思うという歌をくださったので、人にまだ 折られぬものを たれかこの すきものぞとは 口ならしけむ だれにもまだ口説かれたこともないのに、だれがわたしを浮気者などと言いふらしたのでしょう 心外なことと申し上げた。 藤原道長は、物語の世界で様々な恋愛を書く紫式部を実生活でも恋愛に精通したものとしてからかっているが、このからかいの中には紫式部を抱いてみたいという本音が混じっているのではないだろうかと思う。
2023.02.21
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紫式部日記 ひっそりと座っている後ろ姿がおかしく見える
「女房たちも秘かに笑う」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。さすがに若い人たちに一緒に歌うのも気がひけるようにもみえる。ひっそりと座っている後ろ姿がおかしく見えるので、御簾の中の女房たちも秘かに笑う。舟の中にや老をばかこつらむ(舟の中で老いを嘆いているよう。白氏文集(唐の白居易(772－846)による漢詩文集)巻三「海慢慢」の詩の一句の、童男丱女舟中老。徐福文成多誑誕によると私が言ったのを、お聞きになったのか、中宮の大夫(藤原斉信/ふじわらのただのぶ)が、徐福文成(じょふくぶんせい)誑誕(きょうたん)多し(徐福や文成は嘘が多い)と、朗唱なさる声も様子も、格別新鮮に感じられる。池の浮き草(今様歌/宮廷で流行した歌謡の一節)などと謡って、笛などを吹き合わせているが、その明け方の風の様子さえも、格別の風情がある。こんなちょっとしたことも、場所柄、時節柄で趣深く感じるものである。
2023.02.20
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紫式部日記 池に降りられるよう造ってある階段の欄干を押さえ
「中宮の大夫は座って」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。仏事が終わり、殿上人たちは舟に乗り、次々と漕ぎ連ね管弦の遊びをする。お堂の東の端の北向きに押し開けてある戸の前に、池に降りられるよう造ってある階段の欄干を押さえるように、中宮の大夫は座っておられる。殿がちょっと中宮さまの所へ行かれたときに、宰相の君が中宮の大夫の話し相手をして中宮さまの前でもあり、打ち解けないように気を、付けている様子など御簾の内も外も趣のある雰囲気である。 月がおぼろに出て、若々しい男たちが、今様歌(当時流行の俗謡)を歌うのも、彼らは皆上手く舟に乗ることができて、若々しく楽しく聞こえるが、大蔵卿(藤原正光五十三歳)が、その中に年甲斐もなく入って、さすがに若い人たちに一緒に歌うのも気がひけるようにもみえる。
2023.02.19
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紫式部日記 土御門邸の池のほとりの供養堂の御堂へお渡りに
「御堂詣でと舟遊び」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。御堂詣でと舟遊び---十一日の明け方に、中宮さまは土御門邸の池のほとりにある供養堂の御堂へお渡りになる。中宮さまのお車には殿の北の方(倫子)が同乗なさり、女房たちは舟に乗って池を渡った。私はそれには遅れて夜になってから参上した。祈願の仏事では、比叡山や三井寺(ともに天台宗の本山)の作法通りに大懺悔(滅罪の為の作法)をする。上達部は白い百万塔などを沢山絵に描いて、遊び興じていらっしゃる。その多くは退出なさり、少しだけ残っていらっしゃる。後夜の御導師の祈願は、説教の仕方が皆それぞれ異なっており、二十人の僧たちが皆中宮さまが身重でいらっしゃる旨を、一生懸命に祈って、言葉につまって、笑われることもたびたびあった。
2023.02.18
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紫式部日記 要らない手紙は全て破ったり 焼いたりして
「人目に立たないように」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。世間の耳も多いことです。このごろは要らなくなった手紙もみんな破ったり焼いたりして捨ててしまい、雛遊びの家を作るのに、この春使ってからは、人からの手紙もないですし、紙に書く事はないのも、人目に立たないようにするため。でもそれは悪い事情からではなく、意図してやったことです。この手紙を、見終わったら早くお返し下さい。あちこち読めない所や、文字の抜けた所があると思います。そういう所は、構いません読み過ごして下さい。このように人の噂を気にしながら、最後に書き終えてみると、わが身を捨てきれない未練な心が、こんなに深くあるものだと思う。われながら一体どうしようというのだろうか。人々の容姿と性格の、このついでにから、ここまでが消息文といわれている部分であるが、だが、この部分は誰かに宛てた消息と見るより、紫式部が率直な心情を吐露するために、その形式を借りただけと見たほうがいいだろう。
2023.02.17
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紫式部日記 万が一手紙が人目に触れるようなら大変なこと
「出来事や身の上の憂え」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。文をとじるあたって---手紙にうまく書き続けられないことを、良いことでも悪いことでも、世間の出来事や、我が身の上の憂えでも、残さずすっかり申し上げておきとうございます。はなはだ不都合な人を念頭に置いて、申し上げても、こんなことまで書き立ててよいのでしょうか。しかし、あなたもすることがなくて退屈でしょうから、どうか私の所在ない気持ちをごらんになって下さい。また、思っていらっしゃる事で、こんな無益な事は沢山なくても、お書きください。拝見致しましょう。万が一この手紙が人目に触れるような事になったら、ほんとうに大変なことでしよう。
2023.02.16
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紫式部日記 前世の罪を思い知らされることばかり多い
「人間の宿命的な苦悩」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。ただそう思って出家しても、来迎の雲に乗らないうちは心が迷うこともあるかもしれない。そんなわけで、出家をためらっている。年齢も、出家に適したころあいになってきた。これ以上老いぼれては、目もかすんでお経も読めないし、心も億劫になっていく。信心深い人の真似のようだけれど、今はただ、仏道方面のことだけを考えている。それにしても、わたしのような罪深い人間は、必ずしも出家の願いが叶うとはかぎらない。前世の罪を思い知らされることばかり多いので、何事につけても悲しい。出家を望みながら、なおも俗世を離れられない人間の宿命的な苦悩。これが後々「源氏物語宇治十帖」で深く展開されることになる。
2023.02.15
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紫式部日記 一人の容赦ない女流作家から必然的に生み出された
「求道の願いとためらい」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。晦日の夜の引きはぎの所では藤原惟規は兄だと理解するようになった。原文では、かの人はおそう読みとりとなっており、弟がなかなか理解できなかったことを、そばで聞いていた姉が弟よりも早く理解したというのでは、わざわざ日記に認めなくてもいいと思う。兄よりも年少の紫式部の方が早く理解したから、あえて日記に認めたのであり、父の為時も残念がったのである。紫式部が描いた源氏物語の凄まじい肉迫力と、骨身を削るような描写力は、類まれな詩魂と学才を持った、一人の容赦ない女流作家から必然的に生み出されたことを納得する。求道の願いとためらい---今は言葉を慎むのはやめよう。他人が、あれこれ言っても、ただ阿弥陀仏を信じて、お経を習おう。世の中の厭わしいことは、すべて露ほども未練はなくなったので、出家しても、仏道修行をなまけることはない。
2023.02.14
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紫式部日記 人目を避けて伺候の合間合い間に教えさせて頂く
「教えさせていただいている」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。中宮さまが御前で、白氏文集(白居易による漢詩文集)の所々を私に読ませたり、この方面(漢詩文)のことを知りたそうにしていらっしゃると思われたので、極力人目を避けて女房の伺候していない合間合い間に、教えさせて頂く。一昨年の夏頃から、楽府(がふ/白氏文集・白居易の巻二、巻三)という本二巻を、正確とではないが教えさせていただいているが、このことも隠している。中宮さまもお隠しになっていたが、殿も帝もその様子をお気づきになり、殿は漢籍などを立派に書家に書かせられて、中宮さまにさしあげられた。中宮さまがこうして私に漢籍を読ませられていることまでは、さすがに、あの口うるさい内侍も、聞きつけていないだろう。もし知ったなら、どんなに悪口を言うだろうと思うと、何事においても世の中というものは煩わしいことが多くいやなものである。この箇所から藤原惟規を紫式部の弟とする説が多い。
2023.02.13
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紫式部日記 子供の頃漢籍を読んでいた時そばで聞いて覚えた
「不思議なほど早く理解」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。私の兄の式部の丞(藤原惟規/藤原為時の子)が、子供の頃に漢籍を読む時、そばで聞いて覚えていて、兄が時間をかけて理解した所や忘れた所でも、私は不思議なほど早く理解したので、学問に熱心だった父は、この娘が男の子でなかったのは不運だと、嘆いていた。 それなのに、男だって学問を得意がって見せつける人は、どうだろうか。栄達(出世)はしないだろうよと、だんだん人が言うのを聞いてからは、一という漢字でさえ書いてみせないので、あまりにも無学で呆れるほどだ。かつて読んだ漢籍などは、目にもとめなくなっていたのに、更にこんな日本紀の御局(みつぼね)というあだ名を聞いたので、こんなことでは人も伝え聞いて憎むだろうと、恥ずかしいので、屏風に書いてある文字さえ読めないふりをしていた。
2023.02.12
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紫式部日記 私のことを不快に嫌な陰口がたくさん聞こえてきた
「とても学問があるんだ」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。日本紀(にほんぎ)の御局(みつぼね)・楽府(がふ)御進講(天皇、貴人の前で学問を講義すること)---左衛門(さいも)の内侍(ないし/内裏女房、橘隆子)とがいる。この人がどういう訳か私のことを不快に思っていたのを、知らないでいたところ、いやな陰口がたくさん聞こえてきた。帝(一条天皇)が、源氏物語を女房に読ませてお聞きになっていたときに、この作者は、日本紀(にほんぎ/日本書紀の古称)を読んいるにちがいない。実に学識があると仰せられたを、内侍が当て推量して、とても学問があるんだってと、殿上人などに言いふらした。日本紀の御局(みつぼね)とあだ名をつけたが、まったくばかばかしいことだ。自分の実家の侍女の前でさえ、漢籍を読むのを隠しているのに、宮中のようなところで学識を得意がって見せつける事なんかしない。
2023.02.11
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紫式部日記 三宝(仏・法・僧)をそしる罪は軽くない
「濁りきった世俗の人」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。 普通の人はとてもそんなことまではできない。慈悲深い仏様だって、三宝(仏・法・僧)をそしる罪は軽いなんて説かれているだろうか。まして、これほど濁りきった世俗の人は、こちらに辛くあたる人には辛くしてもよい。それを、自分の方が上だと言わんばかりに、ひどい言葉を言って、面と向かい険悪な表情でにらみ合ったりするのと、そうではなくて心の中を見せず、表面は穏やかにしているのとの違いによって、心の良し悪しはわかるものだ。 紫式部にとって人間の差は、本心を露にするか、包み隠して寛大に振る舞うかの違いにある。
2023.02.10
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紫式部日記 かならずそうした癖はみつけられるものだ
「態度が仰々しくなった人」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。自分こそは違うと、人の関心を引くことに慣れて、態度が仰々しくなった人は、立ち居振る舞いだって、自分で気を配っている時でも、その人には目がとまる。目がとまれば、必ずものを言う言葉の中にも、来て座る動作にも、立って行く後姿にも、かならずそうした癖はみつけられるものだ。言うことが少しちぐはぐな人と、他人のことをすぐけなしてしまう人とは、尚更注意深く聞いたり見たりされるようになる。悪い癖のない人であれば、なんとかして、ちょっとした批判の言葉も聞かなかったことにして、形だけでも好意をかけてあげたくなる。 人が故意に、いやなことをした時は、悪いことを誤ってやった時でも、これを笑っても、遠慮はいらないと思う。とても心の美しい人は、他人が自分を憎んでも、自分は尚更、その人を思って世話をするかもしれない。
2023.02.09
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紫式部日記 反感を持たれたりしないようにしなければ
「自分を隠すことに懸命」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。個性的で優雅に振る舞い、中宮さまに尊重されている上流の女房の方たちにも、反感を持たれたりしないようにしなければと思う。紫式部は、宮廷生活の中で、自分を隠すことに懸命である。なぜならば、内面にはびこる魔を、作品の他の世界で放てば、人間の顔をした妖怪みたいに思われてしまうからだ。これは古典近代期の芸術家達の(内心の仮装)と似たものでもある。人の心さまざま---見苦しくないよう、すべて女は穏やかに、心の持ち方もゆったりとして、落ち着いていることを基本としてこそ、品位も風情も魅力的で親しみがもてる。あるいは、色っぽく移り気であっても、生来の人柄に癖がなく、周囲の人にも付き合い易くするとよい。
2023.02.08
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紫式部日記 あでやかに取り澄ましてよそよそしい感じ
「物語を好み風流ぶって」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。ひどくあでやかに取り澄ましていて、気難しげに、よそよそしい感じで、物語を好み、風流ぶって、なにかというと歌を詠んだりして、人を人とも思わないで、憎らしいほど人を見くだす人なんだと、だれもが言い嘲笑う。そのような事を想像したりして反感を持っていたのに、会ってみると、不思議なほどおっとりして、まるで別人かと思われる程と、皆が言う。決まりが悪く、人からこうまでおっとり者と見下されたのだと思う。けれど、ただこれが自分の本心だというように、振舞う私の様子を、中宮さまも、本当に打ち解けては付き合えないと思っていたけれど、他の人よりずっと仲良くなったわねとおっしゃる時もある。
2023.02.07
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紫式部日記 なにもかもすべてに通じている人は滅多にいない
「弁解するのが面倒」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。特になにもかもすべてに通じている人は滅多にいない。ただ、自分がこうと決めこんだこと(主義主張)で、他人を無視しているようなものだ。そんな人は、ほんとうの心とは裏腹の私の表情を恥ずかしがっているのだと見るけれど、そんなことはなく、面と向かって人に真向かいで座っていたこともあるが、あんなようなものだと非難されないようにしようと思う。恥ずかしいわけではないけれど、弁解するのが面倒だと思って、ぼんやり呆けてしまった人間のようにみせかけていると、こんな方だとは思わなかった。
2023.02.06
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紫式部日記 幸せが少ないと侍女たちの言うのももっとも
「何事も人によって様々」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。縁起をかついだ人が、将来長寿だと言う陰口を言うのを聞いても、幸せが少ないと侍女たちの言うのも、もっともなので何事も人によって様々。得意そうに派手で、楽しそうに見える人もいる。全てに当てもなく寂しい人が、気のまぎれることもないままに、思い出の手紙を探し出して読んだ。仏への勤めに身を入れて、お経を絶えず唱え、数珠音(じゅずおと)を、高くもんだりするなど、あまり好感が持てないやり方だと思うので、私は自分の思うままにしてよいことまで、侍女たちの目を憚(はばか)って、心の中におさめてなにも言わない。まして宮仕えで人中にまじっては、言いたいこともあるけれど、言わないほうがいいと思えて、分かってくれそうもない人には、言っても無駄だし、なにかと人を非難し、自分こそはと思っている人の前では、面倒なので、口をきくのもおっくうに思え避けてしまう。
2023.02.05
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紫式部日記 物語の本が言いようもなく虫の巣となっていた
「開けて見る人もいない」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。大きな厨子(ずし)一対に、隙間もなく積んであるのは、一つには古歌や物語の本が言いようもなく虫の巣となって、気味悪いほどに虫が逃げだすので、開けて見る人もいない。もう一方には、漢籍類、大切に所蔵していた夫も亡くなったあとは、手を触れる人も特にいない。漢籍類を、どうしようもなく寂しくて致し方なく、一冊二冊引き出し見ていると、女房たちが集まり、ご主人さまはいつもこんなふうだから、幸せが少ないのです。どういう女が漢籍(中国書物)を読むの。昔は女が経を読むのさえ止められたと陰口を言うのを聞いても、縁起をかついだ人が、将来長寿だと言うことは、見たこともないと言ってやりたいけれど、それでは思いやりがない。
2023.02.04
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紫式部日記 風の涼しい夕暮れに聞くに堪えない琴を鳴らす
「琵琶もその左右に立てかけ」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。 夫を亡くして将来の希望も持てない風の涼しい夕暮れに、聞くにたえない琴をひとり鳴らしては、嘆きが増すと琴の音を聞いて私の思いを分かる人もあるだろうと、忌まわしく思われるのは、愚かで哀れだ。 わび人の 住むべき宿と 見るなべに 嘆きくははる 琴の音ぞする［古今和歌集巻十八 0985 良岑宗貞 遍昭 (816-890) ］わび住いをしている人が住んでいるのだろうと見ていると、嘆きが増すように琴の音がする それにしても、見苦しく黒ずんで煤(すす)けた部屋に、筝の琴(十三絃の琴)和琴(六絃の琴)が、調律したままなのに気づいて、雨の降る日は琴柱を倒せなどとも言わないのでそのままに、塵も積もって、寄せて立てかけてあった厨子と柱との間に首をさし入れたまま、琵琶もその左右に立てかけてある。
2023.02.03
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紫式部日記 心寂しいだけの我が身とは思わないようにしよう
「夫を亡くし将来の希望もない」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。わが身をかえりみて---このように、あれこれにつけて、なにひとつ、思い出となるようなこともなくて、過ごしてきたわたしが、夫を亡くして将来の希望もないのは、慰めるすべもないが、だからといって心寂しいだけのわが身だとは思わないようにしよう。そんな荒んだ心が依然として消えないのか、物思いがます秋の夜、縁近くに出て空を眺めていると、ますます、あの月が昔は盛りの自分を褒めてくれた月なのだろうかと、老いたわが身を誘い出すように思われる。世間の人が忌むという鳥もきっと渡ってくるだろうと思われて、すこし奥に引っ込んでも、やはり心の中では際限もなく物思いを続けている。
2023.02.02
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紫式部日記 清少納言こそ利口ぶり得意顔で偉そうにしていた
「利口ぶって漢字を書き散らしている」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。清少納言こそ、得意顔に偉そうにしていた人。あれほど利口ぶって、漢字を書き散らしているけれど、よく見れば、まだいたらないところが多い。このように、人より特別に勝れようと意識的にふるまう人は、かならず見劣りし、将来は悪くなるばかりだ。風流を気取る人は、ひどく寂しく、つまらない時でも、しみじみ感動してるようにふるまう。興あることを見逃さないようにしているうちに、しぜんと見当はずれの浮薄な態度にもなるだろう。そういう軽薄になってしまった人の最後が、どうしてよいことがあろうか。清少納言 清原元輔の娘。一条天皇皇后定子に仕えた才媛で、枕草子の作者。晩年は不幸落魄(らくはく)の身。すでに枕草子を著して才女として名高い清少納言を痛烈に批判している。
2023.02.01
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紫式部日記 こんな事ならぐずぐず起きていずに寝てしまったのに
「歌が真に迫らない」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。赤染衛門(あかぞめえもん)道長家女房。大江匡衡の妻。歌人で三十六歌仙の一人。栄花物語--正編の作者と伝えられる。赤染衛門集--六一四首の歌がのっているが、残念ながらわたしの琴線に触れる秀歌といえる歌はない。和泉式部の歌は難解だが心に迫るものを感じるのだが、赤染の歌を読んでいくうちに気づいたのは、赤染の歌には代作が多いから、歌が真に迫らないのではないかということである。百人一首には、家集四のやすらはで 寝なまし物を 小夜更て かたぶく迄の 月を見し哉こんなことならぐずぐず起きていずに寝てしまったのに。あなたを待っているうちにとうとう、夜が更けて、西に傾いて沈んでいこうとする月を見てしまいましたよこの歌も当たり前のことを詠っただけで秀歌とはいえない。
2023.01.31
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紫式部日記 こっちが恥ずかしくなるような詠みっぷり
「優れた歌人だと得意がる」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。丹波の守(大江匡衡/おおえのまさひら)の北の方を、中宮さまや、殿などの所では、匡衡衛門(まさひらえもん/赤染衛門)と言っている。歌は格別優れているわけではないが、実に風格があり歌人だからといって、すべてにおいて詠み散らすことはしないが、世に知られている歌はすべて、ちょっとしたときの歌も、こっちが恥ずかしくなるような詠みっぷりである。それに対し、ややもすると、上の句と下の句がつながらない腰折れ歌を詠んで、なんとも言いようがない気取ったことをしても、じぶんこそ優れた歌人だと得意がってる人なので、憎らしくも気の毒にも思われる。
2023.01.30
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紫式部日記 澄みきった池の底まで照らす篝火が映しだす
「不幸せなわが身」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。和泉式部の詠んだ短歌は、夢にだに 見で明しつる 暁の 恋こそ恋の 限りなりけれ現実はもちろん 夢でさえ恋人の姿を見ることができないで明かしてしまった暁 この恋こそ 悲しい恋の極みだろうこれに対して、紫式部の歌は、澄める池の 底まで照らす かがり火に 眩きまでも うきわが身かな澄みきった池の底まで照らす篝火が 恥ずかしいほどに映しだす不幸せなわが身 藤原道長邸の栄光を見るにつけ、式部はそれを単純にめでたいとは、思えなく、篝火の光の中に闇を見てしまう。まばゆきまでも うきわが身かなと嘆くのは、紫式部独自の人生観である。和泉式部は恋を情熱的に歌い上げ、紫式部は輝きの中に闇を見てしまう。歌人と物語作家の歌は、交換不能の優れた和歌といえるだろう。
2023.01.29
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紫式部日記 夢でさえ恋人の姿を見る事ができない
「この恋こそ悲しい恋の極み」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。紫式部と和泉式部は、歌においてはまさに対極にあるといえる。例えば和泉式部はこのように詠う。夢にだに 見で明しつる 暁の 恋こそ恋の 限りなりけれ現実はもちろん 夢でさえ恋人の姿を見ることができないで明かしてしまった暁 この恋こそ 悲しい恋の極みだろう 和泉式部畢生(ひっせい)の名歌である。初句から三句まではゆったりと運び、四句から結句迄、恋こそ恋の限りなりけれ(こいこそこいのかぎりなりけれ)。カ行音を駆使して、たたみかけるようなリズムは、彼女の直情的、情熱的な心情を表現し、結句「限りなりけれ」で急転直下、修復不能な嘆きに変わる。
2023.01.28
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紫式部日記 和泉式部とは趣深い手紙のやりとりをした
「倫理的に感心しない」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。和泉式部・赤染衛門・清少納言批評---和泉式部という人とは、趣深い手紙のやりとりをした。だが、和泉には倫理的に感心しないところがある。気軽に手紙を走り書きしたときに、その面で文章の才能のある人で、ちょっとした言葉にも、色艶が見えるようだ。和歌は、とても上手い。でも古歌の知識、歌の理論などは、本当の歌人と言う訳ではなく、口から出るに任せて詠んだ歌などに、必ず面白い一点の、目に留まるものが詠んであり、それ程の歌人であっても、他人が詠んだ歌を非難したり、批評したりする場合、歌というものをよく分かっていないようだ。口からしぜんと歌が出てくるような、そんな感じの歌人。こっちが恥ずかしくなるような素晴らしい歌人とは思えない。和泉式部 越前守大江政致(おおえのまさむね)の娘。情熱的な歌人で、三十六歌仙の一人。中宮彰子への出仕は寛弘六年で紫式部より4年あと。
2023.01.27
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紫式部日記 非難するのは容易く自分に気を配るのは難しい
「自分は賢いと他人を無視」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。全て非難するのは容易く、自分に気を配るのは難しい筈なのに、そうは思わず、自分は賢いと、他人を無視したり、世間を非難してるところに、浅はかな心がはっきりと見え、全く見せてあげたいような斎院の中将の手紙の書きぶりだ。ある人が隠しておいたのをそっと取り出し、こっそり見せてくれて、すぐに返してしまい、手紙を見せられないのが残念である。紫式部は藤原実資(さねすけ)に信用され、しばしば取次を頼まれている。斎院(さいいん)の中将の手紙に対する批評には、激しい憤りがあるが、斎院と中宮の其々の環境と特質を分析した上で反論を進めている。相手の非だけを責めるのではなく、中宮方の短所も素直に自己批判しているところに、つねに自己凝視をする紫式部の特性がある。
2023.01.26
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紫式部日記 親しい間柄になりその女房がいないと帰ってゆく
「やむをえず暇がない時」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。下級の女房が応対に出るのを、大納言(藤原斉信)は快く思っておられないので、大納言に応対しなければならない上臈の人たちが実家に帰っていたり、局にいても、やむをえず暇がない時には、応対にでる者がいなくて、大納言がそのままお帰りになるときもあるようだ。そのほかの上達部で、中宮さまの御所に来られて、なにか啓上なさるときは、それぞれ、贔屓の女房と、いつのまにか親しく付き合う間柄になり、その女房がいないと、つまらなそうに、帰ってゆくが、そんな人たちが何か機会があると、この中宮方のことを、引っ込み思案だ言うのも、無理もないことである。 斉院あたりの人も、こんなところを軽蔑するのだろう。だからといって、自分の方が、優れていて、他の人はものを見る目がない、風雅もわからないだろうと、侮るのも、筋が通らない。
2023.01.25
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紫式部日記 ちょっとした姿も見られないようにする
「心配りができないのでもなく」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。上臈(じょうろう/修行の年数を積んだ僧)たちは、応対される事は滅多にない。また、応対も、どんな事もてきぱきと応対しているようには見えない。言葉が足りなくても、心配りができないのでもなく、気がひけると思った。間違ったことを言うのを心配するあまり、できるだけ聞かれないように、ちょっとした姿も見られないようにしようとするのだろう。年功を積んだ上臈以外の女房たちは、それほどでもない。男たちと対面しなければならない宮仕えに出たのなら、とても高貴な方でも、宮仕えのしきたりに従うものだが、中宮付の女房たちは、宮仕え以前の姫君の時のままの振舞いで、みないらっしゃる。
2023.01.24
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紫式部日記 風流で奥ゆかしく中宮方は地味で趣がない
「悪評に対する強い反発」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。斎院(未婚の皇女または王女を斎王と呼び、斎王が身を清めて常住する場所)方は風流で奥ゆかしく、中宮方は地味で趣がないという殿上人たちの世評。わたしが直接見たわけではないから、よくはわからないと、中宮方への悪評に対する強い反発がある。人が立ち寄って話しかけてきたとき、ちょっとした応対をして、相手の気持ちを損なうのは困りもので、上手に応対して当然であるがこの当然のことができない、それだけ気立てのいい人は滅多にいないということなのだろう。だからといって、とりすまして引っ込んでいるのが賢いといえるだろうか。また、どうして慎みなくあちこちしゃしゃり出るのがよいことなのだろうか。その時々の状況に応じて、配慮するのはとても難しいようだ。例をあげると、中宮の大夫(藤原斉信/ふじわらのただのぶ)がお越しになり、中宮さまに啓上なさるような時に、ひどく弱々しく子どもっぽい上臈たちは、応対なさることはめったにない。
2023.01.23
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紫式部日記 女房たちは奥ゆかしさに徹する事もできない
「軽薄な事も起こって来る」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。 中宮御所の事を殿上人も面白い事もないと言われていた事もご存じだった。だからといって、女房たちは奥ゆかしさに徹する事もできず、少し気を緩めれば、軽薄なことも起こってくるので、無風流に引きこもっているのを、中宮さまも、もっと積極的になってほしいと思った。だが、この中宮方の控えめな習慣は直り難く、現代風の若い貴公子たちは、この気風に順応して、中宮御所にいる間は実直に振る舞う人ばかりである。だがこの貴公子たちも、斎院のような所では、月を見たり、花を愛でたり、ひたすら風流を、じぶんから求めて、想像したり口にしたりするだろう。中宮方は、朝夕出入りして、心惹かれない所で、普通の会話でも歌や詩に関係づけて聞いたり、言ったり、あるいは、男たちから興味あることを話しかけられて、返事を恥ずかしくなくできるような女房は、ほんとうに少なくなったと、殿上人たちは批評しているようだ。
2023.01.22
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紫式部日記 お若くひどく聞き苦しいことと心から思われた
「得意顔をしている者」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。特に、思慮深くない人で、中宮御所で得意顔をしている者が、ひどく見当違いのことを、なにかの時に言ったのを、中宮さまはまだとてもお若い(十八歳)時で、ひどく聞き苦しいことと心から思われた。それ以後、ただこれといった過ちがなくて過ごすのが、無難なことと思っておられる考えに、子どもっぽい良家の子女たちが、みなとてもよく中宮さまの考えにあわせようと仕えているうちに、こんな中宮方の地味で控え目な気性に慣れてしまったのだとわたしは思っている。 今では、中宮さまは(二十三歳で)だんだん大人らしくなるにつれて、世の中のことも、人の心の良し悪しも、出過ぎるのも控えめなのも、すべておわかりになっていて、この中宮御所のことを、殿上人も誰もが、見慣れて、特に面白い事もないと言ったりと、全てご存じでいらっしゃる。
2023.01.21
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紫式部日記 人は皆それぞれでひどく劣ったり勝ったりする
「聡明で奥ゆかしい」 「Dog photography and Essay」では、「愛犬もも」と「紫式部日記」の研鑽を公開してます。けれど、若い人たちでさえなるべく重々しくふるまおうと真面目にしているのに、上臈・中臈(上級・中級)の人達が見苦しくふざけたりするのも、みっともない。とにかく中宮方の雰囲気を、このような無風流にはしたくないと思う。人はみなとりどりにて、こよなうおとりまさることもはべらず人は皆それぞれで、ひどく劣ったり勝ったりするものでもなく紫式部の確かな人間観察なのかとはいっても、中宮さまのお心はなにひとつ不足なところがなく、聡明で奥ゆかしくいらっしゃる。中宮さまは、あまりにも内気な性格だから、気づいても言わないことにしよう。言ったとしても、なんの心配もなく後悔しないですむ人は、めったにいないと思っていらっしゃる。たしかに、何かの時に、つまらないことを言うほうが、なにも言わないより劣っているに違いない。
2023.01.20
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