2007年05月28日
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今日のまとめ

1. ヘルスケア・セクターへの投資は個別銘柄の選別が鍵となる
2. 技術力、経営者の見識、財務力などでADR上場銘柄が抜きん出ている


中国の薬品株に投資する際のポイント

 中国の薬品株に投資する場合、ただ漫然と最も規模の大きい企業から順番に株を買えば良いという考えは通用しません。なぜなら大手製薬会社の多くは旧政府系企業で経営が非効率なところが多く、それらの企業は一般に低収益体質ですし、企業統治(コーポレート・ガバナンス)面でも問題があるところが多いからです。折から中国のヘルスケア市場は営業倫理の向上キャンペーンの影響で目下の経営環境はかなり厳しいです。さらに医療を庶民の手に届き易くするために政府は承認カタログにおける価格改定を繰り返し、薬価の値下げを試みています。これらのことから中国の製薬業界は今後強烈な淘汰の時代に入ってくると予想されます。このため薬効面で卓越した商品を多く抱えた企業、全国ネットの営業組織が完備されている企業、近代的経営で企業統治がしっかりしている企業、資本市場へのアクセスがしっかり確保されておりチャンスと見ればどんどんM&A(買収・合併)で業容を拡大してゆける企業、などの条件を満たした企業を選ぶ必要があるのです。


中国の医療機器株に投資する際のポイント

 上に述べた薬品株を買うときの注意点の多くは医療機器株を買う場合にもあてはまります。ただ異なる点としてはこれまで高価な医療機器は外国製品の輸入に頼ってきたのですが国内メーカーが力をつけてきており政府も割高な外国製品を退け、国内メーカーを後押しする政策を進めている点です。この結果、中国の医療機器メーカーにとってはビジネス・チャンスが広がっていると言えるでしょう。技術力という点でも外国企業との技術力の格差は製薬業界ほど大きくなく、事実、輸出市場にどんどん出てゆこうとしている企業も散見されます。


グローバルな視点をもった経営者

 中国の薬品会社や医療機器メーカーに共通する「隠れた財産」があります。それは欧米の最高峰の教育機関で教育を受け大手の製薬会社やバイオテクノロジーの会社や医療機器メーカーで研究開発に従事した人材がどんどん中国に帰国しており、彼らが中国のヘルスケア市場に新風を吹き込んでいる点です。この人材の層の厚さは注目に値します。そういう新しいタイプの経営者は自分の会社の株式を公開する場合もADR市場を選びます。別の言い方をすれば技術力や経営の質の面でトップ・クラスのヘルスケア企業の多くはADRでしか買えないということです。

中国のヘルスケア関連株の売上高の推移

中国のヘルスケア関連株の純利益の推移


スリー・エス・バイオ(三生制葯、ティッカー:SSRX)

 同社はバイオテクノロジーの企業です。同社の主力製品はEPIAO(イーパイオ/益比奥)で、アムジェンやキリンのEPOに類似した、腎性貧血症患者に対する赤血球増殖剤です。このカテゴリーでの同社製品のマーケット・シェアは36%で首位です。現在、同社のEPIAOは肝臓障害、キモセラピー、手術後の赤血球補給の3つの用途に対して使用が認められています。直近の決算ではEPIAOは前年比+12.7%で成長しています。次の製品がTPIAO(ティーパイオ/特比奥)でこれはTPOに類似した、キモセラピーに絡む血小板障害を治療する薬です。直近の決算ではTPIAOは前年比+227%で成長しています。同社は上記2つの薬を含めて全部で6つの薬を販売中、ないしは開発中です。同社は売上規模的には上のグラフに見られるようにまだ小さいですが今年から来年にかけての売上成長は60%以上が見込まれています。今年のコンセンサス予想に基づいたPERは23.6倍、来年の予想に基づいたPERは14.6倍です。


トンジタン(同済堂、ティッカー:TCM)

 同社は漢方薬と西洋薬を作っています。同社の主力薬は「シェンリン・グーバオ」です。シェンリン・グーバオは骨粗ショウ症(骨が砕けやすくなる病気)の薬です。2900万人の中国人が骨粗ショウ症に罹っているといわれ、中国の人口が高齢化すると今後さらに患者が増えることが予想されます。直近の決算でのシェンリン・グーバオの成長率は前年比+76%でした。同社はこの他にも10種類の漢方薬と37種類の西洋薬を製造販売しています。それらの商品ポートフォリオは老人の罹りやすい病気に重点が置かれています。同社の売上成長は大体+35%程度と見込まれます。問題点としてはシェンリン・グーバオの原料費が比較的激しく上下することでこれが収益予想をむずかしくしています。同社は積極的な買収戦略を展開し、中国の製薬業界におけるコンソリデーター(統合主体)になるものと予想されます。今年のコンセンサス予想に基づいたPERは14.8倍、来年の予想に基づいたPERは13.3倍です。


シムシアー(先声、ティッカー:SCR)


2002年 ザイリン 「再林」(抗生物質)
2004年 インタイチン 「英太青」(関節炎)、アンチ 「安奇」(抗生物質)
2006年 ビチン 「必存」(心臓発作)、ビチ 「必奇」(下痢)
2007年 アンドウ 「ENDOSTAR」(抗がん剤)

 と矢継ぎ早に新製品を出しています。売上成長、利益成長が年々着実に出せるようにどんどん商品のラインや企業を買収してゆく積極経営を展開しています。同社はR&D面では精華大学と協同しています。同社は未だIPOされて間もないためコンセンサス予想は出揃っていません。しかし大まかに言えば売上成長で35%程度が予想できると思います。一方、PERは今年のEPS予想(コンテクスチュアル・インベストメンツによる)に基づいて約23.5倍です。


チャイナ・メディカル・テクノロジーズ(ティッカー:CMED)

 同社は癌の治療に使われる高密度焦点式超音波治療法(HIFU)と血液や尿の検査に使われる電気化学発光免疫測定法(ECLIA)の2つの医療機器を作っています。中国政府の統計によると中国人の死因の首位はガンです。HIFUは前立腺ガンや肝臓ガンなどの治療に使われるそうです。シー・メドのHIFUは所謂、ノン・インヴェイシブ、つまり治療すべき箇所の近くを切開したりする必要の無い設計となっており、ターゲットとなる肝臓癌、腎臓癌、乳癌、前立腺癌などの箇所を瞬時に60℃から70℃の加療温度に熱することが出来ます。治療に際して特別な麻酔は必要ありませんし、皮膚のやけどや不快感などもありません。HIFUの機器は他のメーカーも出しているのですが、ノン・インヴェイシブ型の製品は同社だけです。また、病院の評判ではシー・メドのHIFU装置は他社の競合商品より安全性、信頼性の面で優れているという評判です。現在の出荷実績は約150台(去年の売り出し目論見書の時点で)です。中国政府の統計によると中国には約18000の病院があり、そのうちHIFUが導入可能な大病院は1000程度です。シー・メドの二つ目の製品はECLIAで、米国や欧州では普及しているテクノロジーですが、中国ではまだ使われ始めて間もない製品です。シー・メドのECLIAは糖尿病、成長に関する疾病、血瘤、SARSなど27種類の検査項目に関して応用可能な検査装置です。また、同社のECLIA装置は低価格であるため、大病院でなくても予算的に無理なく購入できるという優位性があります。シー・メドは北京大学の大学病院と密接な協力関係にあり、同社のHIFUならびにECLIA装置は北京大学が開発した技術の開発・販売権を獲得し、製品化されました。同社はまた米国のジェネラル・エレクトリック(GE)が大株主であり、それが同社の信用を高めていると言えるでしょう。同社の問題点としては売掛金が多いことで、直近の四半期決算では売掛金回収に要する日数は約140日でした。同社の売上高は約+40%、利益は約+20%で成長しています。同社株のPERは今年のコンセンサスEPSに基づいて19.3倍、来年の数字に基づいて15.8倍程度で取引されています。


マインドレイ・メディカル(ティッカー:MR)

 同社は中国最大の医療機器メーカーです。マインドレイの主力製品は患者モニター装置、血液や尿の検査装置、超音波診断装置、麻酔装置などです。製品のデザインから製造まで全部自社でこなしています。売り上げ高の約10%程度を R&Dに使っていることからも、同社が研究開発に真剣に取り組んでいることがわかります。国内の他のメーカーの製品と比べると性能面で優れたプレミアム商品に位置づけられています。一方、外国製品に比べるとほぼ同じ性能の製品であると同時にマインドレイ社の製品の方が廉価な価格設定になっています。また、外国の製品に比べて価格性能比に優ることから海外での販売展開にも力を入れています。全体の売り上げに占める海外比率は約44%です。同社の顧客の大半は病院や診療所です。これまでの納品実績は約25000の病院や診療所と取引があります。中国の医療機器市場はディストリビューターを通じた販売が主体であり、ディストリビューターは比較的事業規模の小さい業者が乱立しています。このため、多くのディストリビューターとの関係を維持しているということが参入障壁となります。マインドレイ社は1950に上るディストリビューターと商売しており、その販売網は中国随一です。さて、リスク・ファクターですが、先ずディストリビューターに依存する販売形態のため、機器の営業に際してのキックバックなど不正商取引に巻き込まれるリスクがあると思います。また、ディストリビューターの倒産などの信用リスクも考慮されるべきでしょう。また、医療機器は日進月歩で技術が進歩しているので競争力のある新製品の開発に遅れるとマーケット・シェアを落とすリスクがあります。さらに海外進出は販売網の確立などに費用を要します。思うように売り上げが伸びない場合、収益悪化要因となります。製造に関しては急激な需要増に生産が間に合わず商機を逃すというケースが過去にありました。競合という面では主に外国のメーカーは事業規模の面でも技術力の面でも歴史が長い分、有利です。また、同社の売り上げのうち、トップ5の製品が全体の売り上げの38%を占めており、特定の人気商品に対する依存度が比較的高い点も注意する必要があると思います。同社は当面の国内売上成長予想を25~30%、海外売上成長予想を60%程度と見込んでいます。従ってこれらを合計した全社売上成長予想としては40%程度が期待できるでしょう。同社株は今年のコンセンサスEPS予想に基づいたPERで44.5倍、来年で32.4倍で取引されています。





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最終更新日  2007年05月28日 16時15分07秒


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