劇『冬物語』さいたま芸術劇場(K26)1/31 18:30 演出：蜷川幸雄主演：唐沢寿明の激情の演技、赤と青の対比、悲劇から一転喜劇そして大きな運命のうねりは奇跡へと至る。

厚い友情に結ばれていたはずの二人の若き国王だったが、
突如芽生えた一方的な嫉妬の疑念によりその関係も崩壊。
激しい憎悪は身近な人々の命を奪い、人生を大きく狂わせる。
だが、疑惑は誤解だったと悟ったときはすでに遅く、
その後悔の念は、冷たく長い「冬」に包まれていた･･･。
そして、16年間の時が過ぎ、運命は奇跡に向かって大きく動き始めた･･･。

090131_180339冬物語

唐沢寿明は、前半、友情・疑惑・嫉妬・怒りと
めまぐるしく動く心情を、実に的確に渾身の演技を見せています。
私にとって唐沢さんの舞台は「出口なし！」以来。

見えない部分がある個性的な人です。

田中裕子もまた、前半はやさしくかわいらしく強く、
後半の二役では一転して、庶民の育ちではあるが
どこかおだやかな16の娘を好演されています。

藤田弓子は、その立場に比した毅然とした態度。
しかし、藤田さんご本人の地から出る優しさも反映されて
その登場人物の人柄が自然と作られている感じがします。

登場するなりその”気”で客席を一気にさらってしまう
六平直政、瑳川哲朗、両氏の存在感は言わずもがな。
特に瑳川さんの伸び伸びとした様子は演技どうこうと
言わせない圧倒的な雰囲気があって、すごい。

演じられていたと言う印象を持ちました。

そうやって見ると、役の違い、力量の違い、経験の違い
もあると思いますが、今回はやはり若手には分が悪かったようです。

090131_180539冬物語

赤の国と青の国の対比に、白いドレスの王妃など
色に象徴される支配階級の人々の衣装がすばらしく、

子供が遊ぶ「魚の頭」の被り物もこっけいですが
かわいらしい。

そして、子供時代の友情の象徴の紙ヒコーキが、
円を描いて飛び続けるさまがまことに美しく、
詩情を感じます。

もう6時半からずっと貴族だったとか、
演出家がセットチェンジの間をつなげと言ったから
とか、ちょっとしたそしてベタな冗談の入ったせりふが、
ほんのたまに入っているのも蜷川さんのお茶目な
ところかな、とも思います。

090131_180319冬物語

開演18:30、終演22:00すぎ、そしてカーテンコール。
長いのはそれだけ演技が楽しめるので、幸せともいえますが、
帰宅したのは０時ころになってしまいました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■◆◇■“世界のニナガワ”が芸術監督を務める
■◇◆■　彩の国シェイクスピア・シリーズ！
■◆◇■　第21弾『冬物語』　THE WINTER'S TALE
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2003年、日英で上演され賛辞を連ねたロマンス劇「ペリクリーズ」
に続く話題作！公演決定！

演出：蜷川幸雄　作：W.シェイクスピア　翻訳：松岡和子
出演：唐沢寿明　田中裕子　横田栄司　長谷川博己
　　　藤田弓子　六平直政　瑳川哲朗　ほか
会場・公演日：≪埼玉公演≫
2009/1/15(木)～2/1(日)さいたま芸術劇場大ホール
公式HP：　http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p0115.html
公式ブログ：　http://shakespeare.eplus2.jp/category/5370370-1.html

※大広告：JR新宿駅構内 2008.11月2日(日)撮影