2021.04.10
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カテゴリ: Jena Tessar 2.8/50
​​​​​​​​​​​​​​さて久しぶりに新レンズの登場です、東独版 Carl Zeiss Jena の<Eagle Eye>と呼ばれるレンズ「Tessar 50mm F2.8」です。

安定したシャープネスとコントラストで永く定評のあるレンズですね。ライカ的なminoltaのROKKORに魅了されている人間がなぜこのレンズを手に入れたか...比較的安価で性能が良いと言われていることも第一にありますが...
しばらく前の「COSINA Zeissは似非Zeissか?」の記事であれこれ書きましたが、「その昔、Carl Zeissは解像力よりもむしろ階調再現性とコントラストを重んじてレンズを設計していた」という真髄を味わってみたかったんです、これが一番かな^^。

Tessar 2.8/50

< Carl Zeiss JENA DDR Tessar 2.8/50(後期型) >
光学系構成 : 3群4枚(テッサー型)
焦点距離 : 50mm
最短撮影距離 : 0.35m

F値 : f/2.8~f/22
フィルター径 : 49mm
マウント : M42マウント
重量 : 171g

西独製の鷲の目テッサー45mm F2.8のパンケーキも有名ですが、こちらはより長く製造・販売されており時系列的にデザインの違う4つのモデルが出回っているそうです。その中でも私のものは最後期型と言えるものですね、見た目の状態はとても良かったです...そして軽さもそうですが、とてもコンパクトで写真のようにマウントアダプターを付けてもとてもスマートです...サイズ的に近いのは「Super-Takmar 55mm F1.8」ですかね。

手元に来てからここ二日ほど散歩撮で使用しましたが、まあさすがにROKKORと対極のような画が出てきますね...「高いコントラストとリッチなトーン」というところをとても良く納得させてくれるレンズでした^^。
ただそれだけではない長所・短所も見えてきます、でもその短所が上手くカバーされているのがまさに驚くポイントなんですよねえ。

それではさっそく各画像のポイントを抑えながら見ていただきましょうか...

[柿の木]
Tessar 2.8/50
(f/2.8, 1/2500, ISO100)


まず驚くのは開放がf/2.8とそれなりなんですが、「APO-LANTHAR 50mm F2」同様に見渡す限りしっかり解像しているように見えること、これほんと驚きですよね。
ただし『等倍』にしてみると周辺がかなり流れています、この「流れる」という現象を私は始めてみました...まさに流れています、それが「荒れる」とぜんぜん違うということですよねえ...昔は等倍で見ることなんてできなかったですからこうして写真が出来上がれば「開放でなんとキリッとした写りなんだ!」と思うのが想像できます(笑)。
更に驚きなのは先述したようにそうした短所を画像全体で見た時にあまり目立たないことです、インフォーカスだけでなくこうして全体的に豊かなコントラストとトーンが否応なしに目に入ってきますから、そうした粗が目立たない...言われなければわからないですね。

[キラリ☆ふじみ]
Tessar 2.8/50
(f/4, 1/1250, ISO100)

そしてROKKOR組と同じ絞りとフォーカス・ポイント(池の中央よりかなり前)での1枚です。まさに「APO-LANTHAR 50mm F2」同様どこにフォーカスポイントを置こうが不安のない画が出てきそうです...この辺をもって「Eagle Eye」と言われる由縁なんですかねえ(笑)。
ちなみにこちらの画でも手前の草地やその奥の木などの描写を細かく見ると「流れ」ています、でも分かりにくいですよね...まさに「Eagle eye Magic」でしょうか^^。

[氷川神社]
Tessar 2.8/50
(f/5.6, 1/100, ISO100)

レンズ最も安定した最強の絞りでしょうか、ピントは奥の賽銭箱です。いかがですか...高いコントラストと豊かなトーンが納得ですよね、緑豊かな木々の枝葉の表情など他のオールドではあまり見られないような精細でリッチなトーンです。
私はplanarやDistagonを使っている時によく「絞っても気持ち良い立体感が出る」と言ってましたが、まさにこの一枚に見る灯籠や木々などのさりげない立体感には共通したものを感じます。

[氷川神社-おまけ]
Tessar 2.8/50
(f/2.8, 1/320, ISO100)

これは1枚上の写真とは別の日なのですが、後ろからやってきた子どもたちが「参道の真ん中は神様の通り道だから歩いちゃだめだよ」と聞こえてきたので「エッ」と思い様子をうかがっていました。
すると先程の注意を呼びかけたリーダーらしき子供が賽銭を投げてから参拝の作法をしっかり教えていたんです...頼もしいではないですか^^。
「二礼二拍手一礼」の最後の一礼はとても深々としたもので、地元に愛されるこの氷川神社の御加護がきっとこの子たちにもいただけるんだろうなあと...心温まる1シーンでした。
その後元気に石段降りて氷川の森へザリガニ釣りに行ったのはいうまでもありません、森の中から子供らしい威勢のよい声が響いて、なんとも微笑ましかったですねえ(笑)。

さて本題へ戻ります^^;)...

[Cobby]
Tessar 2.8/50
(f/2.8, 1/500, ISO100)

ここから少しプラス補正の写真が続きます。これがこのレンズの見っけもんの一面なんです^^。
木陰のCobbyなんですが、背景がかなり明るいのでファインダー見ながら露出補正をかなりプラス方向へ変えていったんですが、ファインダー内のヒストグラムを見ても破綻しているように見えないのでシャッターを切ったものなんですよね。
LRで 現像してみれば...どうでしょう、なんと素敵な出来上がりでびっくりです。Cobbyは柔らかめに適度な明るさに出るし、背景は1枚ベールを纏ったような...まさにシルキーな明るさと言ったら言い過ぎでしょうか...なんとも素敵な開放にての描写です。

[ハナミズキ]
Tessar 2.8/50
(f/2.8, 1/400, ISO100)

そしてこの一枚も見ての通りのプラス補正でのもの、背景に上の1枚と同様の感触を見て取れますよね。このレンズ、こうして明るい背景の時に悩むことなく安心してフォーカスした被写体の明るさを確保できるプラス補正ができるのが最高ですよね...この仕上がりですから^^。

まさにこの辺からこのレンズの背景・ボケが尋常ではないなと思いはじめました(笑)。

[カツラの木]
Tessar 2.8/50
(f/2.8, 1/160, ISO100)

そしてこのカツラの木でも日陰の丸い葉を十分に明るく撮ってみてもこれです。なんという背景でしょうか...一見飛んじゃっているかのようなとても明るい背景でボケながらほのかにそれと分かる形状を残してくれるかの素敵な描写...ちょっと経験ないですねえ(少ない経験ですが:笑)。

こんな視点で上の3枚を見ると「昔のカメラでは重宝しただろうなあ」と思わずにはいられませんね^^。

[クリスマスローズ-ハイブリッド・グリーン]
Tessar 2.8/50
(f/2.8, 1/320, ISO100)

そして一変して日陰の描写です。
背景のボケ方も良いです...良いですがROKKORほどでではありません(笑)...それよりインフォーカスの花それぞれの階調豊かな立体感が目を引きます。

しかしこのあと背景のボケ方の素晴らしさを思い知ることになります...

[氷川の森のシャガ]
Tessar 2.8/50
(f/4, 1/160, ISO100)

今年も来ました、シャガの季節が...今年は引っこ抜いていく不届き者がでないことを心から祈っています^^;)。
どうですか、この描写...とても気持ち良いですね、このレンズ色と光を捉えるのがとても「絶妙」だと思います。シャガも美しいのですが、それにもまして木漏れ日を受けて輝く葉の描写のなんと生き生きとしたことか...素晴らしいですよね。

[シャガ #1]
​​ Tessar 2.8/50 ​​
(f/8, 1/50, ISO100)

ほぼ最短の近接での1枚です...50mmで35cmというのは寄れますよねえ、素晴らしいです。
そしてこの描写です、リッチなトーンが目を引きます。

[シャガ #2]
Tessar 2.8/50
(f/4, 1/500, ISO200)

この素敵な色味と臨場感豊かな美しさはどうでしょうか...もう惚れ惚れしますね、

[シャガ #3]
Tessar 2.8/50
(f/8, 1/50, ISO100)

そしてどの絞りの画を見ても背景がとても「柔らかく優しい」のです。このへんはあのPlanarとはちょっと違いがありそうです。
f/2.8始まりということであまり「暴れる」ことがないのかもしれませんが、ナノクリマクロでさえ開放ではグルっときたり荒れたりしますからね(笑)。

とにかくこの背景の「優しい柔らかさ」と35cmという最短撮影距離は私の撮影スタイル&ジャンルではとても貴重ですし、標準大好き人間としては持ち出しレンズ候補の筆頭になりそうな気配さえ感じます(笑)。

[シャガ #4]

Tessar 2.8/50

Tessar 2.8/50
ホワイトバランスはα7RII(太陽光)のまま 色温度・色かぶり微調整あり

(f/4, 1/500, ISO200)

α7RIIでは若干α7II寄りのクールな色味になりがちなんですが、このレンズの場合は少し赤(黃?)味が強いようで、左のように青みがかったシャガが丁度よい塩梅に美しい「白」として写ります。
でもここにアップした他の画像同様の右のように微調整すると不思議なくらい臨場感がグッと増しますし緑も同様ですよね、素の描写はこうしたことから赤系の色味が強く、かつノスタルジックな雰囲気が出てきそうですね。

[シャガ #5]
Tessar 2.8/50
(f/8, 1/80, ISO100)

最後の一枚はせっかく付いているフォクトレンダーのマウントアダプター「VM-E Close Focus Adapter」のヘリコイドを繰り出して更に寄ってみました、これでもまだ最短ではありません。マクロ並みに相当寄れるようになります、でもこの辺が潮時(良いバランス)という位置で止めました...これがなくても最短35cmですからまったく頼もしいレンズです(笑)。

いかがでしたでしょうか...素敵なレンズですねえ、これがカール・ツァイスのパウル・ルドルフ博士によって考案された1902年から100年以上も経っているたった3群4枚の古い設計のレンズだとは思えない写りです。
光をとても上手に捉えることにはホント驚きました、あらゆるシーンで撮り手の無理難題を個性豊かな描写でクリアしてきたんだろうなあと容易に想像がつきますね^^。

今回は幸運にもまたもや写欲をぐっと上げてくれるレンズが手に入ったという話題でした...^^。

2021年4月 氷川の森ほかにて
#α7RII
#Carl Zeiss JENA Tessar 2.8/50​​​​​​​​​​​​​​





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Last updated  2021.05.03 00:30:53
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