【八】一 万石 の 国 、 租 入 一万 苞 ( 俵 )。 是 れ 天 分 なり。 則 ち 之 を四 分 し 以 て 其 の七千五百 苞 を 以 て 国 費 に 充 て、 其 の二千五百 苞 を 以 て 儲 積 (貯蓄)と 為 す 者 、 王 政 の 法 なり。 苟 くも 此 の 法 を 守 らば、 則 ち 国 計 (国の会計) 優 隆 (ゆたか)。 膏 沢 (恵み) 民 に 下 り、 其 の 国 必 ず 富 強 。 復 た 貧 弱 の 患 い 無 し。 若 し一万 苞 の 入 を 以 て一万一千 苞 の 出 を 為 さば、 則 ち 其 の 奢 費 (ぜいたく) 分 内 を 腐 食 する、 猶 お 萊 菔 (大根) 創 口 従 り 腐 敗 するごとく、 負 債 日 に 生 じ、 田 野 月 に 蕪 し(荒れる)、 租 入 (租税収入) 年 に 減 じ、 其 の 極 や、 租 額 半 ばを 減 ずるに 至 る。 是 の 時 に 当 り、 猶 お 萊 菔 生 肉 (生きのいい所)より 断 じ、 以 て 其 の 腐 敗 を 止 むるごとく、 見 額 (現在の税収)五千 苞 を 以 て 分 と 為 し、 以 て 其 の三千七百五十 苞 を 以 て 国 費 に 充 て、 以 て 其 の一千二百五十 苞 を 以 て 負 債 を 償 い、 蕪 田 (荒地)を 墾 き、 貧 民 を 恤 まば、 則 ち 租 額 (税収) 旧 に 復 するも 亦 難 きに 非 るなり。 若 し五千 苞 の 入 を 以 て、五千五百 苞 の 出 を 為 さば、 則 ち 其 の 国 必 ず 貧 弱 。 遂 に 亡 滅 に 至 る。