11月29日(土 )
昭和萬葉集(巻十四)(198)(昭和三十五年~三十八年の作品)
講談社発行(昭和 55年 )
Ⅲ(31)
仕事の歌(23)
鉄道員(2)
宮坂万次
蒸気機関車に別れ惜しみてのぞく火室火格子より冷えし風吹き上げぬ
汽車を 牽 きたくましかりき蒸気機関車引かれゆきつつ線路に 軋 む
荒木茅生
霧に着きし列車遅延の報を書く車掌が若き肩濡らしゐて
宮崎信義
車窓 に ホームに立つ私がうつる 少し駅長らしくなったな
挙手する白い手袋が車窓にうつり三十年が列車と共に去っていく
赤い尾燈を追うてホームに立っている 三十三年の勤めが残る
(つづく)
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