2011年08月16日
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 海外展示のために貸し出しをしており、それが一部戻ってきました。

 屏風に貼って読んでいたものです。端に「杉田玄白」の落款があります。

 杉田玄白が読んで仙台藩の侍医であった大槻玄沢に譲ったものです。

 所蔵経緯は、「源氏物語」と同じです。「劉備玄徳」の名前が出ています。

 午後から海外の大学に展示のために貸し出す「源氏物語」の

翻訳の作業をしております。今日、翻訳をしていた原文は

「源氏物語」のなかの「篝火(かがりび)」の巻の箇所です。

 頭(とうの)中将と夕顔の姫君である玉鬘(たまかずら)は、

源氏の君に庇護(ひご)され、源氏の君の邸である六条院に住むことになります。

 花散里(はなちるさと)の居る御殿の西の対(たい)に住みます。

 ある秋の日、庭先で篝火(かがりび)が焚(た)かれ煙が空に立ち上っています。

篝火(かがりび)のもと、源氏の君は玉鬘(たまかずら)への

恋する思いを歌に託して打ち明けます。

「源氏物語」「篝火(かがりび)」の巻で、次のように記しています。

下の原文の写真6行目から7行12字目まで。

「かが里)火に たちそふ恋の けふり(煙)こそ 

世にはた(絶)へせぬ ほのほ(炎)なりけれ」

They burn, these flares and my heart,and send off smoke.

The smoke from my heart refuses to be dispersed.
          (英訳・サイデンスティッカー)


源氏の君の恋心篝火2b

現代語訳は次の通りです。

(源氏の君)「篝火(かがりび)のように一心に立ち上るあなたへの恋の思いは、

いつまでも絶えることのない炎と同じですよ」


源氏の君の恋心篝火2b拡大


源氏の君の恋の告白に対し、玉鬘(たまかずら)は自分の気持ちを歌で返します。

原文の写真10行目から末尾行まで。

「行(ゆく)方(へ)なき 空にけ(消)ちてよ かが里(篝)火の 

たよ里(り)にたぐふ けふり(煙)とならば」

If from your heart and the flares the smoke is the same,

Then one might expect it to find a place in the heavens.
(英訳・サイデンスティッカー)

現代語訳は次の通りです。

(玉鬘)「あなたの恋の炎は、行方も知らない空へと立ち上る篝火(かがりび)の

煙のようにやがては消えてしまうものなのでしょう」

 玉鬘(たまかずら)は、源氏の君の恋の告白を体(てい)よくあしらったのです。

 これを聞いた源氏の君は、「くはや」という言葉を残してその場を去ります。

「これは、これは」という意味です。

 源氏の君が、苦笑いしながら退散する様子を想像することができます。








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最終更新日  2011年08月16日 17時46分26秒
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