2010年10月26日
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4年ぶりの「日記」更新となりました。

海外の多くの大学でテキストとして活用されておりますため

私のブログでありながら、教科書にも利用されているため、

なかば公的なものになってしまいました。

今後少しずつ更新をと思っております。



頭(とうの)中将と夕顔の姫君である玉鬘(たまかずら)は、

源氏の君に庇護(ひご)され、源氏の君の邸である六条院に

住むことになります。花散里(はなちるさと)の居る御殿の

西の対(たい)に住みます。ある秋の日、庭先で篝火(かがりび)が

焚(た)かれ煙が空に立ち上っています。

篝火(かがりび)のもと、源氏の君は玉鬘(たまかずら)への

恋する思いを歌に託して打ち明けます。

「源氏物語」「篝火(かがりび)」の巻で、次のように記しています。

下の原文の写真6行目から7行12字目まで。

「かが里)火に たちそふ恋の けふり(煙)こそ 

世にはた(絶)へせぬ ほのほ(炎)なりけれ」

They burn, these flares and my heart,and send off smoke.

The smoke from my heart refuses to be dispersed.
          (英訳・サイデンスティッカー)


源氏の君の恋心篝火2b

現代語訳は次の通りです。

(源氏の君)「篝火(かがりび)のように心に立ち上る

あなたへの恋の思いは、いつまでも絶えることのない炎と同じですよ」


源氏の君の恋心篝火2b拡大


源氏の君の恋の告白に対し、玉鬘(たまかずら)は

自分の気持ちを歌で返します。

原文の写真10行目から末尾行まで。

「行(ゆく)方(へ)なき 空にけ(消)ちてよ かが里(篝)火の 

たよ里(り)にたぐふ けふり(煙)とならば」

If from your heart and the flares the smoke is the same,

Then one might expect it to find a place in the heavens.
(英訳・サイデンスティッカー)

現代語訳は次の通りです。

(玉鬘)「あなたの恋の炎は、行方も知らない空へと立ち上る

篝火(かがりび)の煙のようにやがては消えてしまうものなのでしょう」

 玉鬘(たまかずら)は、源氏の君の恋の告白を

体(てい)よくあしらったのです。

 これを聞いた源氏の君は、「くはや」という

言葉を残してその場を去ります。

「これは、これは」という意味です。

 源氏の君が、苦笑いしながら退散す

る様子を想像することができます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

よく、海外では、額縁だけで展示されるのでしょうか

という質問をいただきます。

掛軸で展示される場合もあります。

わが家の掛軸をご紹介いたします。

徳川第11代将軍の姫君で、尾張名古屋の藩主の正室

となった「淑姫」が書いた自筆の書です。

正確には、古今集の講義録を「淑姫」が臨書したものです。

下の写真が海外展示中の掛軸と原本の拡大写真です。

「掛軸写真」

6月25日日記1

「原本の拡大写真」
6月25日2


(古筆原本の読み下し文)

<読み人知らず>



・・・よめりと見るべし

ちゞ(千々)の色にうつろふらめどしらなくに心し秋

のもみぢ(紅葉)ならねば(国家大観番号726)

 是(これ)は人の心はいろいろにうつりかはるらんなれど其(その)心は秋の紅葉の如く色に出て見えねばしられぬと云(いふ)也(なり)、小町が色見えでうつろふものはよの

中の人の心の花にぞ有(あり)けると云(いふ)歌の類(たぐひ)也(なり)

                                        小野小町

蜑(あま・海人)のすむ里(さと)乃(の)しるべにあらなくにうらみんとのみ人のいふらむ(国家大観番号727)

是(これ)は海士(あま)の住(すむ)里(さと)のしるべする物にこそいでその(其)浦見んとはいはめ、それにもあらぬ我をなどうらみんとは人の云(いふ)らんと也(なり)、

浦見んと云(いふ)てうらみんをそへたり、此(この)歌は人の我をうらみんと云(いふ)事をいひおこせしか、又は人づてに聞(きき)てよめる成(なる)べし

古筆の左上の脚注・六帖にわたづみはつらき心やふかゝらんあまてふ蜑(あま・海人)のうらみぬはなし

右の2首の和歌のうち、「小野小町」の国家大観番号727番の和歌の原文の現代語訳文は次の通りです。

「私は漁師の里の案内人ではありませんのよ。それなのに、どうして「浦見ん」とばかり言っているのでしょう」出典・日本古典文学全集「古今和歌集」

心変わりのためにうらまれたのでしょうか。相手を拒否しておいて、私は「うらまれることは何ひとつしておりませんのに」と言って軽くあしらった歌と解釈されております。





6月25日3


海外展示では、茶室がもうけられ、その脇に「茶道具」のひとつとして展示されました。








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最終更新日  2010年10月26日 13時03分49秒
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