授業研究のあしあと

授業研究のあしあと

雪の日の写真から


2003年11月の実践です。月刊初等理科教育2005.6月号に紹介されました。

雪の日の駐車場

☆☆☆☆ 授業の様子から ☆☆☆☆

(1)1枚の写真から

雪の日の写真を見ると,子どもたちは,雪のとけ方のおもしろさに気づき,いろいろなことをつぶやきはじめた。
「だれかが雪かきをしたのではないかな。」「先生が写真を合成したのでは。」という声まで聞かれた。

しかし,しばらくすると,「校舎の影のせいではないかな。」
という考えを発表するようにようになる。

この後,撮影した場所と時刻を子どもたちに伝えた。すると,その時刻になると,子どもたちは勢いよく教室を飛び出し,同じ場所から駐車場の日なたと日かげの様子を観察しはじめた。

「やっぱり,校舎の影になっているところが,雪のとけ残っているところだ。」

このように,雪の日に学校で撮影した1枚の写真をスクリーンに映しだし,素朴な疑問や予想を交流させながら,子どもたちは次のような予備知識を獲得した。

 日なたと日かげには,雪がとける,とけな いほどの温度の違いがある。

(2)「温度計を貸してください」

1枚の写真によって予備知識を獲得した子どもたちであったが,このことは,追究のスタートにしかすぎなかった。

「温度計を貸してください。」

真っ先に子どもたちの口から出た言葉である。写真で見た不思議な現象のひみつを解明した子どもたちであったが,その子どもたちの表情から,学習に対する意欲の低下は全く感じられない。温度計を使って何を調べるのかとたずねると,「日なたの温度を調べてみたい。」「何度で雪がとけるのか知りたい。」といろいろなことをつぶやく。そして,このように調べてみたいことを発表し交流することにより,より具体的な課題を設定することになった。

 日なたと日かげでは,どのくらい温度に差 があるのだろうか。

これは,見通しのある課題であろう。この時点で子どもたちは,「日なたと日かげの温度には,大きな違いがある。」という意識が強い。

温度計で調べると,驚くほどの日なたと日かげの違いを期待していたのであろう。しかしながら,午前9時に調べてみても,1℃ほどの差しかみられない。子どもたちからは,とまどいの声が聞かれた。

「日なたと日かげでは,あまり変わらない?」

このとまどいは,予備知識と実際に調べた結果との「ズレ」から生じたものである。

その後,1時間ごとに調べることを伝えると,子どもたちは,「今度こそは」という表情で温度計を見つめる。そして,1時間前と比べると日なたと日かげの温度の差が大きいことに気づき,大きな歓声を上げた。

 1時間後は,日なたと日かげの温度に,も っと大きな差があるに違いない。

子どもたちの間に生まれた新しい課題である。他の教科の授業中でも,1時間経つのはまだかと時計が気になってしかたない様子であった。

午後2時の観察では,日なたと日かげの温度には,8℃ほどの差がみられるようになった。手で触れてみても,その違いがはっきり分かる。

このように,子どもたちは,日なたと日かげの違いを明確にし,日光によって地面が暖められていることを実感することができた。


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