佐藤さとるファンタジー全集11巻。
すでに絶版になっていて、タイトルの話が収録されている他の本も入手不可状態。アマゾンのマーケットプレイスで買いました。どうしても読みたくなったから。
小学校の時、佐藤さとる氏のコロボックルシリーズを図書館で借りて大好きになって、全集を読破したはずだけど、コロボックルシリーズの他に心に残っていたのが「ジュンとひみつの友達」とこの話。前者は紀伊国屋まではるばる買いに行って、講談社の全集の中から買っていたのだけど(コロボックルの5冊と)、今回、おんなじ全集のもので買えたのですごい幸せ。
話はというと、佐藤さとる氏の書く童話の中で唯一ファンタジーじゃない、半自伝。さとる氏はカオルという名前で出てくる。当時の横須賀に住んでた小学生たち(今80歳から90歳くらいの人たち)の生活が細かく描写されていて、知らない時代なのに、やっぱり懐かしい気持ちになる。
めんこ、たこあげ、釣り、そういった遊びに、グループ間の闘争(?)を加えて、面白そうに説明してあるので、当時の男の子じゃなくてもたことか作りたくなってくる。一人一人の登場人物、特に、優等生のリーダー格の一郎と、ガキ大将の明の描写は素晴らしい。
そして、何といってもクライマックスが、最高なのだ。
ある意味、こういう時代に少年時代を過ごせたからこそ、あのような素晴らしいファンタジーを書ける豊かな創造力が養われたんだと思う。自分のような甘やかされ世代の人間じゃ、当時の子供たちの中に入って遊ぶのはタフ過ぎて無理だろうけど、それでもやっぱり、こういうこと、もっと子供時代にやりたかったなあ、と思わせてくれる。
なかなか手に入らないですが、機会があったらぜひ読んでくださいねー。一緒に収録されてる「ひみつのかたつむり号」も、結構泣けました。
大事に保管します。
ちなみに。私はいまだに「コロボックルシリーズ」は、創作じゃないと信じてますから。あれは、さとる氏の友人の「せいたかさん」に頼まれて、さとる氏が「創作のように」書いたノンフィクションなのです。(子供たちにもそう言って読ませてる。)
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