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2005年12月04日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
突然ですが、私の中の5%ルールというのがあります。株式の5%ルールとは違いまして、私が様々な事で支持を得られるのは全体の5%という統計があります。

益々何のことかわからないですね(;^_^Aえーと、つまりはこういう事です。例えば中学生時代にこういうことがありました。

皆で作文を書いてくるという宿題があり、それを提出した後で全員でそれぞれの分を回し読みして、誰の作文が一番よく出来ているかどうかを多数決で決定するということをうちの学校でやっていました。

クラスに頭の良い2人がいて、結果はいつもその2人の競り合いになります。一人ずつ順番に誰のが良かったかを言っていくことになり、クラスのほとんどの票がその2人に集中しました。

ところが、こんな私の作文でも1票か2票毎回必ず誰かが支持してくれました。それは普段そんなに仲良くしていない男子や女子でしたので組織票ではありません(ちなみに普段仲良くしている奴は入れてくれないんでやんの)。クラス全員で30人程度でしたから、1、2票で約5%。つまり5%ルールなのです。

だいたいあの頃の子供達は皆の意見に流されることが多いじゃないですか。仲間外れにされるのが嫌だから。ですから長い者に巻かれろ的な感じで、皆その賢い二人に票を入れておけば無難だと思っています。私もだいたいそんな感じでしたし。

そこであえて私の作文に一票入れてくれるというのは余程気に入ってくれたということだと思っています。しかも私の字は学校で3本指に入ると先生に指摘された程汚くて読み辛い字です。それなのに、です。

私としてはかなり嬉しかったりします。大量に得票するよりも、その一票に5票分位の価値を感じました。

そんなわけで、今こんな感じで物書きの真似事をやっていて、正直まだ小説の読者の数は少ないですが、その数字が毎週減っていかないということは、継続して読んでくれている皆さんがおられるからなんだなーと感慨深く思うのでした。なるべく期待を裏切らないように頑張ります。



ちなみに未だに小説の終わりが見えてきません。年内中に終るのは無理っぽいですね。無駄に長くならないよう努力します。


台風一過

第十四節 夕日に向かって走れ

藍の部屋の前まで駆け寄ると、開け放たれた玄関のドアから部屋の中を覗き込んだ。玄関から部屋へと続く廊下の向こうには更に廊下と部屋を仕切るドアがあったが、そのドアも開いており二つの影が対峙しているのが見てとれた。

靴を脱ぎ捨てる余裕もなく、そのまま部屋に駆け込む。
「藍!大丈夫か!?」
部屋の隅まで追い詰められた藍は私の姿を見つけると、そのままもう一つの影の脇を駆け抜け、私の元までやってきた。
「何だよ、お前は。邪魔する気か?」
妙にゆっくりとした口調で話し掛けられたが、その低い声とイントネーションには聞き覚えがあった。ゆっくりと振り返ったその顔にもやはり見覚えがあった。平井である。

平井は学生時代にラグビーをやっていたらしく、体育会系の大学出身だそうだ。そのため今でもガタイは良い。私より一回り大きな体をしており、正面から対峙するとその威圧感に押されてしまう。

その目は濁って赤く充血しており、焦点もあまり合っていない様子であった。以前から平井の目は連日の仕事疲れからか充血気味であったが、その虚ろな様子は明らかに以前と異なる。キャリアであると断定してほぼ間違いないだろう。

彼は白いワイシャツにベージュのスーツズボンを履いていた。以前から職場によく着て来ていたため見覚えがあったが、服装まで以前に見た状態とは異なっている。赤黒い染みがワイシャツに斑点を成していた。勿論ワイシャツの柄などではない。その斑点は彼の頬にまで付着していた。


「藍に何のようだ」
最早上司の平井はかつての存在であると認識した。目の前にいるのは今では見知らぬ有機体だ。言葉使いに礼儀など不要だろう。数秒の沈黙。ようやく口を開く。
「お前には関係のないことだ」
「用件を聞かないうちに関係がないかどうかわからないじゃないか」
まったく言葉のキャッチボールができない程末期的な症状ではないことはわかった。ただしどこまでが末期的でなく、どこからが末期的なのかの線引きは不明瞭だが。


不吉な響きであった。自由になった?それはつまり家族はいなくなった事を意味するのか?この状態で離婚届に印鑑を押して区役所に届けたとは到底考え辛い。となると彼の家族は既にこの世にいない可能性が高い。勿論自然死ではないはずだ。彼のワイシャツの赤黒い染みが雄弁に物語る。

藍は私の傍で小刻みに震えていた。顔色も青白い。藍をぐっと抱き寄せ、耳打ちした。
「とにかく逃げるぞ、いいな」
藍は黙って数回肯いた。ショックで声も出ない様子だ。

「どこへ行くつもりだ」
平井、いやかつては平井だった人間というのが正しいかも知れないが、彼に理性はほとんど存在しないようであった。無表情に近い顔つきで勢いよくこちらに迫ってくる。

私はドアノブを思いっきり引っ張り、部屋と廊下を遮断した。そして体重をかけて開かないようにする。私は靴を履いたままだが、藍が靴を履く時間を稼がねばならない。
「早く!!」
私はドアノブから手を離さずに肩越しに藍を促すと、藍は足をもつらせながら玄関へと辿り着いた。混乱しているのかヒールを履こうとする。

「逃げるのにヒールでは走り辛いだろう!?スニーカーはないのか!?」
ドアノブに力が加わる。私はそれと反対方向に力を入れ、必死にドアが開かないようにする。

藍はこちらを怯えたように一瞥すると、踵の低い靴を選んで履き直した。藍が立ち上がりかけた時にドアに強い衝撃が走り、ドスンと鈍く激しい音が響き渡った。体当たりしてドアをこじ開けようという魂胆だろう。その衝撃で藍が腰から床に落ち、再度座りこみかける。

「走れ!!」
再びドスンという音と衝撃があり、藍はまるでそれがスタートの合図のように、そのままつんのめるようにして玄関から飛び出した。私もそれを見送ると、もう持ちこたえるのが限界とばかりに悲鳴を上げるドアから手を離した。敢えて少しだけドアを開けて。

次の瞬間、平井は再度ドアに体当たりを試み、そして今度は簡単に開いてしまったドアを通り越して廊下の壁に勢いよく激突し倒れこんだ。それを見届けながら私も玄関から逃げ出した。

マンションの前に出ると、藍は自分でもおそらくどこに向かっているのかわからないまま、後ろも振り返らずただひたすら走っていた。私はその姿を見つけると急いで自転車で追いかけ、二人乗りで藍のマンションを後にした。今日の夕日の色だけはやけに禍々しく、平井のワイシャツの赤黒い染みとダブって見えた。

その頃、気象庁ではフィリピン沖で大型の台風8号が発生したという情報を捉えていた。(つづく)





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Last updated  2005年12月04日 18時27分34秒
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