劇場通いの芝居のはなし

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2019.06.24
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カテゴリ: 演出ノート(3)
スズメはなんとかして命が助かりたい。自分の代わりに何かを提供すれば、トビが許してくれるのではないかと、虚しい希望をもちます。そして、昨日ここで、カエルに会ったことを思い出します。カエルを犠牲に差し出すことで、自分の命を助けてもらおう。スズメはブンナが姿を現すよう、優しい言葉で誘いだそうとします。出てこないので焦って、次には土を掘って見つけ出そうとしますが、折れた羽ではうまく掘れません。グーの手で床をたたくように演技します。

他者を犠牲にして自分は助かろうと必死になるスズメの姿を見て、モズは嫌悪を感じます。スズメに、やめろと言います。スズメは、モズだって死ぬのはいやだろう、一緒にカエルを堀り出そうと頼みます。ですがモズは、そんな浅ましいことをしてまで死を免れたくはない、と言い放ちます。
スズメもモズも、どちらの行動も、もっともなことだと思います。どんなに無様でも、卑怯なことをしてでも、生にしがみついていたいというのは、生物の本能です。
また、死は免れないことだから、死に際は潔くありたいというのは、人間のプライドです。
本音と建て前の対立、と言えないこともありません。モズはスズメを浅ましいと軽蔑し、スズメはモズを、やせ我慢の格好づけ、嘘つきだと言い返します。

険悪な雰囲気になり始めたとき、トビの声が聞こえます。餌食を取りに来たのです。この音響効果は不意に、そして緊迫感をもって聞こえなければなりません。バサバサと、羽ばたきの音が大きくなる。スズメは恐怖にかられ泣き叫びます。強いことを言っていたモズも、すぐそこに死が迫ってくると、恐ろしさにすっかり我を忘れて、わめきます。

おれじゃない、おれは来たばかりだ。スズメが先に来たんだ。スズメを連れて行ってくれ。
ぼくじゃない。モズの方が先に来たんだ。助けて。
スズメもモズも、相手を連れて行ってもらおうと必死です。トビは上から来ますから、互いの後ろに隠れるのでなく、あちこちに逃げ回ることになります。腰を抜かして立てなかったり、転がったりしても良いです。襲いかかるトビの手がシルエットで下がってくる、ということもできます。
さらわれた者は、奥に消えてしまいます。暗転にしてはける手もあります。黒子が複数で持ち上げて運び去る方法もあります。わたしはあっさりと、奥に飛びおりるやり方にしました。
トビが連れて行ったのはモズでした。





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Last updated  2019.06.24 09:00:09


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