劇場通いの芝居のはなし

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2019.06.27
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カテゴリ: 演出ノート(3)
ヘビは口が裂けています。だから、ネズミのような図体の大きなものは、食べられない。カエルなら別だが。ヘビの言葉にブンナはドキンとします。二重の上と下、それぞれの様子が客席から見えます。

ヘビが問わず語りに話すことから、ブンナは恐ろしいヘビにも、かわいがる子どもたちがいるし、優しく気を遣う母親がいたことを知ります。冷血漢としか思っていなかったヘビも、やはり心があるし、生きるために苦労をしているのです。
自分たちは嫌われ者だ、この体形と音もさせずに歩く習性が、気味が悪いといわれる、おれたちは遠慮して生きているのだ、とヘビは言います。なるほど、話を聞いているとそんな気もしてきますが、本当でしょうか。
話しながら、時々ヘビは、お前、笑ったな、とネズミに鋭く言います。ネズミは別に笑っていません。そんな余裕はありません。ヘビの神経質な部分、周りから白眼視されているといつも意識しているから、過敏な反応を示すのでしょう。笑われるのは我慢がならない、そうつぶやくヘビと同じ気持ちを持っている人も、いるのではないでしょうか。

原作ではここに、ウシガエルも連れてこられるのですが、この脚色では省略してあります。確かに、舞台ではもう、多すぎます。

口をやられていると言いながら、ヘビは徐々にネズミに圧力をかけてきます。ネズミを呑もうしているのかもしれません。思わずネズミは、土の中にカエルがいることをほのめかしてしまいます。ヘビは土に顔をつけて、カエルのにおいをかぎつけます。
よし、二人してカエルを追い出そう。そう言って、ヘビは片側から土の中に入って行きます。ブンナが飛び出します。ネズミと顔があいます。ヘビが出て来る。ブンナを見つけて、捕まえようとする。ネズミが立ちはだかります。

やめろ、この子は助けてやるんだ。
偽善者め。そこをどけ。
ヘビとネズミの格闘が始まりました。
舞台では多人数を出し、ネズミのグループとヘビのグループが対立するダンス場面にしました。雷鳴が鳴り、雨が降り注ぐ、その中での闘争です。
by 神澤和明





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Last updated  2019.06.27 09:00:10


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