烏 森 神 社

2006年10月06日
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カテゴリ: 神道豆知識
お月見イメージ

日本における十五夜は、古来の月を祭る信仰に外来(中国)の行事が習合したものと考えられますので、その内容には農耕儀礼的な要素がかなり残されています。

十五夜といえば、多くはススキや花を飾り、さまざまな供えものをするのが全国的にも一般化した行事の形態です。
この供えものには、団子やまんじゅう、おはぎなどの作りもののほか、里芋、さつま芋、豆類、大根などの畑作物、さらに柿や栗、梨、りんごなどの果物があります。
その他、水や酒、灯明なども含めて、これらは地域によってさまざまな組合せがあり、またその供え方ひとつとってみても、たいへん興味深い変化が見られます。特にススキと里芋をめぐっては、この行事が単なる「月見」ではなく、農耕儀礼としての性格を強く示唆する要素として注目されています。
また、地方によって色々な風習があるようです。
・南九州や沖縄では、十五夜に綱引きをする風習があります。
・月見団子を縁側にお供えし、それを子どもたちが盗み食いをする風習があります。家々では、団子を多く盗まれた方が縁起がよいとされました。
・ススキも全国でお供えされています。供えたススキを家の軒に吊るしておくと一年間病気をしない、という言い伝えが全国に分布しています。



ところでお供えするお団子ですが、いくつ盛ってますか?
「適当」「盛れるだけ盛る」「子どもの年の数だけ」などいろいろ聞きますが、正しくは十五夜に15個、十三夜には13個だといわれます。
盛り方は、一番下に8個、つぎに4個、2個、1個の順で。
また一説には12個とも言われ、毎月おとずれる満月を数え、1年で12個の満月をイメージしているそうです。こちらの説では、うるう年に13個お供えするそうです。

ところで、「中秋の名月」というのは、単に中秋の月のことをさしていますので、この月が必ずしも満月(望)になるとは限りません。

 ~年毎の 満月の日 と 十五夜の日 ~
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2023年  9月29日 同左

そして、六曜の場合、旧暦で毎月1日の曜日が月ごとに決められていて、旧暦8月の場合の1日は友引とされています。
2日目からは先の順に、先負、仏滅、大安、赤口、先勝、友引、・・・と順番にローテーションされていきます。
ということは、この順番でいけば 中秋の名月となる旧暦8月15日は必ず仏滅 となります。
大安の日にお月見がしたいと言う方がおられるかもしれませんが、残念ながらかなわぬ願いです。ただ、今年は十五夜の次の日、すなわち明日7日が満月で大安です。

十五夜の翌晩は「十六夜<いざよい>」といいます。
月の出の時間は日ごとに遅くなります。十六夜の月は、十五夜の月よりも出をためらっている(いざよっている)とのことから「いざよい」です。

「秋は月」の美学をもち、月が大好きな日本人はさらに、その翌晩、そのまた翌晩…の月にも名前を付けました。
17日 立待月<たちまちのつき>:立って待っていれば月が出る
18日 居待月<いまちのつき>:月が出るまで座って待つ
19日 寝待月<ねまちのつき>:月の出が遅いので寝て待つ
20日 更待月<ふけまちのつき>:夜も更けてから月が上ってくる
月

気候的に、空気が澄んで、綺麗に月が鑑賞できるこの時期を昔から日本人は大切にしてきたのです。
民間では太陽と同じくらい月を信仰していたことが伺えます。
日待ちの講よりも、月の出を待つ月待ちの講が多いのも、単に日待ちが徹夜する苦業である為ばかりではなく、月のある明るい晩への期待が大きかったものと思われます。

ここで、神道での月の神様のお話をします。
月の神様は「月読命<つくよみのみこと>」(「月読神<つきよみのかみ>」)一般的に月を神格化した、夜を統べる神であると考えられています。
月読神は「三貴子」の一人です。
創造神である伊邪奈岐<いざなぎ>が宮崎の川の河口付近で禊<みそぎ>をした時、左目を洗った時に天照大神<あまてらすおおみかみ>、右目を洗った時に月読神、そして鼻を洗った時に須佐之男<すさのお>神が生まれました。
そして伊邪奈岐は天照に天の世界を、月読に夜の世界(月を読むので、月=暦とも言われる)を、須佐之男に海を統治するように命じたのです。

月読命に関する神話は、天照大神や須佐之男命に比べて少ないのですが、『日本書紀』には、天照大神の命で月読命が保食神のもとへ食べのもの種を分けてもらうために、遣わされる話が記されています。
天照大神の命で訪れた月読命に保食神は口から出した海山の数多くの食物を奉るが、これを見た月読命は「汚らわしい。お前の口から出した物を私に食べさせる気か」と怒り、剣を抜いて殺してしまいます。
天に帰って報告したところ、天照大御神は激しく怒り「お前は悪い神だ。二度と会わない。」と言って、月読命とは二度と会わなかったそうです。
だから月と日は顔を合わせないと記されています。「日月分離」の神話、ひいては昼と夜の起源であります。
『古事記』ではこの神話は須佐之男命の話になっていますが、日月離反で結んだこの話の方が話の筋に無理もなく自然です。
またこの話は月と農耕の関わりの強さも表現されているものと思われます。
太陽=天照大神・月=月読命との関係が、神話で描かれているのも、大変興味深いことです。






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最終更新日  2006年10月06日 10時17分02秒
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