峠幾三のちいさな発見・旅模様

峠幾三のちいさな発見・旅模様

2010/01/19
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PCクリニカの香りがするうどんを食べた後 、小屋に射した光。

 日が暮れてしばらく経つ。

 こんな時間に景色を見に来る人なんているだろうか?

 不思議に思いながら灯りにしていたライトを消す。




 窓から様子を窺うと、外にスモークを貼った白のハイエースが停まっていた。




 考えられるのは……、 地元のヤンキー か?




ヤバイ、絡まれてどつかれるかも…

 島根から遠く離れた北の大地に来て痛い目に遭うのか?



 幸い、バイクは風で倒れないようにと思い、山小屋の裏に置いていた。

 見つからないよう、息を潜めてヤンキーの動きを見る。



 スライドドアが開き、室内灯がつく。



 その後、次々とハイエースから人が出てくる。


えらいこっちゃ、ごっつい人数や…


 山小屋にタムロするのか?と思ったが、何やらデカイ物を車から出し始めた。



 息を殺してじっと見る。



 んん???

三脚???


 車から出てきた男達はおのおのに三脚を立て、筒のようなものをセッティングし始めた。



 徐々に不安が薄れていく。

 これの人達はヤンキーではない。

 あの筒のようなものは望遠鏡だろうか。

 だとすると、どこぞの天体観測部隊か?





 山小屋の中で懐中電灯をあちこちに照らし、中に人が居ることを知ってもらう。

 向こうは人がいるなんて思ってないだろうから、ビックリさせてもいけないだろう。

 さっきまでの不安はどこかへ消えていた。

 こうなると、裏に置いたバイクがもどかしい。




 しばらくして外へ出てみる。




 「 こんばんは~、何してるんですか? 」と幾三。


 「 星の写真を撮るんですよ。ここは街に霧が出た時に光が完全に無くなるいい場所なんです 」と。



 ははぁ、そういうことか。

 星を見る時に邪魔になるのは光。

 写真を撮るとなると、ここより標高の低い街のわずかな光も影響してしまうのだろう。

 しかも今日は新月だ(いつか摩周の月夜を見たいのでチェックしてるのです)。



 「 ここは最高ですよ

 そう聞いてふと上を見ると、見たことがない満天の星空が…。



 今まで何度か北海道で星空を見てきた。

 真っ暗な足寄の畑の中や、屈斜路湖畔、 SHINさんと泊まった多和平

 今思い出しても、どれも鮮明に蘇る星空だ。




 しかし、今夜の星空は違った。

 言葉も出ない。



 中学の時、星座観察が好きだった。

 あれが白鳥座、あれが俺の牡牛座…(5月生まれ)と言っていた。

 星座を見つけることが楽しかったのだ。


 しばらく無言で空を見る。

星ってこんなにあったんや…

 ただ、そう思うだけである。

 「見る」というより、「脳裏に焼きついてゆく」と言ったほうがいいかもしれない。

 満天の星空だな。

 それ以外の言葉が出てこないくらいだった。



 しばらく立ち尽くした後、寒さに気がつき小屋に戻った。






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最終更新日  2010/01/22 07:54:28 AM
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