アフターダーク
「 時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。フード付きパーカにブルージーンズという姿の彼女のもとに、ひとりの男性が近づいて声をかける。そして、同じ時刻、ある視線が、もう一人の若い女性をとらえる―。新しい小説世界に向かう、村上春樹の長編。
私にとっては海辺のカフカ」以来の村上作品です。深夜から夜明けにかけての、若い男女のやりとりを通して、その他の登場人物が絡んでいくストーリー。
巧みな文章表現で、それだけで一気に読ませてくれる力量はさすがとしか言いようがありません。また、カメラ視線という新しい試みも面白く、読み手に想像での映像化がしやすくなっています。
ストーリー的には完結しておらず、どう感じるかは読み手の感性に委ねられます。そういう意味では一読しただけでは、なんだか消化不良気味に感じられ、再読したくなる作品です。
とにかく、私には今までに無いような、新しい感覚の小説に感じました。