経堂界隈

経堂界隈

January 20, 2015
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カテゴリ: 歳時記
健康診断で便に潜血があり、内視鏡検査をしてもらったところ、かなりの数ポリープがあることが分かった。放置したままにすることも考えたが、
「”将来がん化する可能性あるものが多数ある状態”を放置するのも個人の自由ではある」
と、行きつけの医者に言われ、渋々3日ばかり入院していた。
手術で、何個かは除去したものの、数が多いこと、一部に10ミリを超える大きなものがあること、それぞれの位置関係から一時に除去した場合、腸壁を傷つける可能性があること、などから、まだ半分くらいは残って、後日、再手術ということになった。
とりあえず無事退院。

病院は、たまたま昔から定期健康診断に使っていたところで、以前にも入院したことがある。
もう十年以上前のことだ。
今回、入院して気がついたことは、10年前と病院の佇まいはほとんど変わらないが、スタッフはほとんど入れ替わり、知った顔はいない(副院長は面識があるが、今回、直接の関係はない)。さらに、言葉使いが、10年前に比べて、圧倒的にカジュアル。看護士さんもお医者さんも、以前なら「大丈夫ですか?」「よろしいですか?」「かしこまりました」とでも言うところを、いかにも気軽に「OKです」「OKですか?」などと聞いてくる。最初は違和感を覚えたものの、病院の役割を考えるに、なるほど、この方が率直でいいかもしれないと感じた。

家庭で、学校で、職場で、敬語を日本語の美しさのひとつの現れと教わり、習い、指導され、理解し、年長者、上席者、取引先との会話などに使ってきた。元来は関西と東京周辺で多く発達し、それ以外は城下町など限られた範囲で使われていたもののようである。つまり、人間関係の複雑さが言葉遣いに反映することが敬語発達の背景にありそうだ。


考えてみると、敬語が発展するのは平和な時代ということができそうである。平和であるからこそ、京、江戸といった大都市が発達し、そこに多様なコミュニケーションが生まれ、人と人との関係に細やかさが育まれ、それが言葉遣いに反映していく。平和であるからこそ、それが地方にまで伝播していく。
ヨーロッパのように、あるいは、中国のように外部勢力とのせめぎ合い、戦乱が続き、支配者が頻繁に変わる世界では、コミュニケーションに要求されるものは、細やかな心配りではなく、率直だ、明瞭さであろう。
そこいらに彼我言語の違いが生ずるひとつの拝啓があるやに思う。
西欧、中国における王侯における言葉の違いは、敬語というよりは、王侯の使う言葉、王侯に使う言葉の違いであって、それは、支配者がしばしば他民族であった反映かもしれない。天皇陛下がお使いになった朕などの特殊な言葉は、そういった中国の文化を輸入ないし、模様したものにすぎず、日本語本来のものではない。

敬語には、会話における細やかな心遣いが反映されるのではあるが、反面、事実を率直に伝えることには支障を生ずる部分があるやに思う。特に、組織における上下関係が言葉に反映されるとき、ただでさえ、中枢(上)伝わりにくい現場(下)の意見、情報を、さらに、心理的な部分を含め、伝わりにくくすることが多いのではあるまいか。
自分には、少なくとも、思いあたる部分がある。
上席に対して、言いにくいことを伝えるに、日本人との日本語のコミュニケーションでは言いよどむことも多いのだが、これが外人となると、言葉のハンディがあっても、率直に話しができる。
逆に部下に対しても、、日本語、日本人のコミュニケーションでは、些細な相手の言葉に抵抗を感じるときがあるに、英語においては、それがない。
ただでさえ、いいにくい失敗とか、うまくいかない現状を上席者に報告するに、下が言葉を選び、上が下の言葉を咎める。そんなことで、率直に情報が伝わるものか。

敬語はコミュニケーションの率直さを奪っているのではないか。

一部企業では、社内コミュニケーションに英語を使うようになってきている、国際化対応ということなのだろうが、これを、馬鹿にし、あるいは、冷ややかに見る人は存外に多い。しかし、日本語のもつ上下関係への配慮が反映された敬語、これがコミュニケーションを阻害していると、今の僕のように思う人がいれば、それは、存外、国際化というだけでなく、情報伝達の円滑という意味でも、言語の差を超えて意味があることなのかもしれない。


「最近、社内コミュニケーションが極めて悪くなっていて、困った」ということを聞いた。
会話の中で、その会社が、そのしばらく前に、地方から東京に本社を移していることが分かり、同席した先輩が、「社内コミュニケーションに使う言葉が、方言から標準語になっていませんか?」と
聞いたら、そうだという。
先輩は、「ならば、社内コミュニケーション言語に方言を取り戻したらどうでしょう」と提案したのだが....
答えは一理ある、思いあたるところあり、だったのだが、「東京へ本社を移転したことで、新しく優秀な人材も

なかなかに難しい。

敬語は平和な時代に育まれるのではないか と書いた。
率直さを必要とする有事には向かない?

旧軍とか銀行など、言葉遣いにうるさい組織は、えてして、組織内コミュニケーションが悪い。
箇条書きにして方向せよ、とか、簡単なことには強いが、細かい事実のニュアンスを急いで伝えるのに、これらの組織は適していないような気がする。
だから、日清日露には勝てても、率直でコミュニケーションに優れた米国相手の戦争には負けた。国力だけではない。コミュニケーション力の差が結果に現れた。
最近の銀行が衰退してきているのも、そういう部分があるのではないか。
細かい箸の上げ下ろしには細やかな心遣いに熟達しても、大枠で一番大事なお客さまとの本質的なコミュニケーションに弱い。

日曜日オヤジのところへ行った。
どうもコミュニケーションがうまくいかない。
ひと月前の選挙の話しにこだわり、話しが次にいかない。(原因は、実は分かっているのだが、ここには書かない)
それはともかく、まだボケていない時代のオヤジが言っていた。
オヤジは士官学校出の旧陸軍大尉。偕行社にも元気な時期、最期まで関係し、軍隊関係には精通している。
「アメリカに国力で負けた?馬鹿言っちゃいけない。戦争は国力でやるもんじゃない。国力だけなら中国にも、ロシアにも勝てたわけがない。国力で負けたは、負けたわれわれの負け惜しみだ。アメリカには頭とチームワークで負けたんだ。それを国力のせいにするとは、日本も落ちたもんだ」
オヤジに言わせると、陸軍も海軍も、士官学校、海兵での体育は、剣道、柔道、水泳など個人競技が主。団体戦といっても、棒倒し、ボートまでで、野球はもちろん、ラグビー、サッカー、フットボールといった複雑な団体競技はやったことがなかったという。戦後、会社でアメリカンフットボール部の顧問を引き受けたときに、これが戦争に負けた原因と思ったそうだ。
「ありゃあ模擬戦争そのもの。こっちは個人で戦おうってのに、あっちは団体戦の練習毎日やってるんだから、チームワークが違う。陸軍と海軍の間にはろくなコミュニケーションもなければ、チームワークもなかった。勝てるわけがない」

考えてみれば、第二次大戦前から戦中にかけての、日本語はおかしくなっていた。
用語についていえば、大東亜共栄圏は優れたキャンペーンだと思うが、
八紘一宇は、「世界は一家、人類は皆兄弟」ということだろうが、どこまで分かって使っていたか、
国体の精華?となると、素晴らしい日本の国体の実態はなんだろうか。
翼賛=天子の政治を補佐すること、転じて、みんなで渡ればこわくない
と、形容詞ばかりが多く、中身のない表現の羅列が目につく。

息子が言っていた
「北朝鮮のアナウンサーと、政治家の演説、戦前、戦中のラジオ放送。聞いたとたんに、真実を言っていないとわかる。威勢の良い形容詞ばかりで、中身が空虚だから」
言語明瞭意味不明

古人曰く、巧言令色鮮仁(こうげんれいしょくじんすくなし)
言葉(だけ)が丁寧なことを良いとするのがいいことなのかどうか。

プロトコルにばかりうるさい組織は敗退する
僕はそう思う。

「馬鹿なこと考えてないで、早く寝なさい」

率直さの権化のごときカミサン(敬語は確かに不得意である)の怒声がひびく。





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Last updated  January 20, 2015 08:03:05 PM
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