今年の正月2日と3日に行われた第100回記念大会の箱根駅伝は、青山学院大が、10時間41分25秒の大会新記録で総合優勝を果たした。出雲駅伝、全日本大学駅伝、そして箱根駅伝の3大駅伝で、2年連続3冠を狙った駒沢大は、6分35秒差の2位で、青山学院大の圧勝だった。
事前の下馬評では、駒澤大の2年連続3冠は間違いないだろうというものだった。青山学院大の原監督も、駒澤大の強いことを認める発言をしていた。
しかし、それでも青山学院大の原晋監督は、恒例となっている作戦名に「負けてたまるか大作戦」を掲げた。当然、駒澤大の3冠を阻止するための作戦だ。
結果として、往路の3区までで、ほぼ青山学院大の優位が明らかになってしまった。
1区は駒澤大篠原倖太朗が区間賞を獲得する走りを見せて、いつも通り駒澤大のペースでレースは開始した。しかし、青山学院大の荒巻朋熙も、先頭集団に果敢についていき、トップとは35秒差の9位で黒田朝日に襷(たすき)を渡した。
2区はその黒田が、「前を追い抜いていくことしか考えずに走った」という区間賞の走りで、駒澤大とは22秒差の2位に迫った。
3区は、太田蒼生が「先頭に出ることが役目」という覚悟を持って走り出し、駒沢大の佐藤圭汰に7km付近で追いつき、そこから佐藤と抜きつ抜かれつの駆け引きが行われた。佐藤はエントリーされた全選手の中で10000mのタイムが最も速い選手だ。ラストスパートでは何度か後ろを振り返る様子もあったが、大田は佐藤に4秒先着した。そして、日本選手としては初めて区間タイムが1時間を切る59分47秒をマークした。
この3区までの戦いで、ひょっとして駒澤大に勝てるのではないかという思いが、青山学院大の選手の中に生まれたのではないだろうか?
それを示すように、4区の佐藤一世は、山登りの5区に引継ぐ時点で1分26秒差をつけた。5区の若林宏樹は区間新記録をマークし、往路終了時点で駒澤大とは2分38秒差がついた。
この時間差は、青山学院大の優位は明らかだが、駒沢大が青山学院大を復路で追い抜く可能性もあるかもという時間だ。
それを、復路最初の6区の山下りで野村昭夢がさらに4分17秒差まで広げたところで、勝負はついてしまった。
これ以降は、青山学院大の独走で、結局10時間41分25秒の大会新記録で総合優勝を果たした。
昨年の駒沢大は強かったが、今年もどこにも隙がないと言われるくらいに、強かったのに、最後の箱根駅伝で苦杯をなめることになった。
青山学院大の優勝については、色々言われているが、やはり、箱根駅伝にターゲットを絞った作戦が功を奏したということだろう。すべての区間がハーフマラソンクラスの長距離で、他の2つの駅伝とは全く違ったもので、青山学院大はその長距離の駅伝を制するという戦略を毎年掲げている。
その象徴が3区で、全選手の中で10000mのタイムが最も速い佐藤圭汰を、ジリジリと追いかけ、ラストスパートで追い抜いた太田蒼生の走りに見えたような気がする。この3区では、「えっ、あの佐藤選手が苦戦している?」という意外性に驚いてしまった。
レース後のコメントで、佐藤選手は、「後ろに付かれて走るのが嫌だった」というようなことを言っている。今まで、駒沢大が群を抜いていたので、後ろに付かれるという経験がなかったようだ。この佐藤選手で青山学院大に抜かれてしまったというのも、駒沢大としてはショックが大きかったのではないだろうか?
あとからの情報だが、この3区を走った太田蒼生は、特別仕様の高価な靴を履いていたようで、この靴も勝利に貢献したようだ。
さて、来年は駒沢大もこのまま引き下がってしまわないだろうから、また今年と同じような激しいレースが展開されるのではないかと期待している。
(文中、選手名などの敬称は省略した)
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