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connaissance ダルダル2430さん

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カテゴリ: ファンタジー

あらすじ
容赦の無い演説と某宮崎県知事を彷彿とさせる断固無き意思を示す政治家、犬養。
突然自分の思ったことを他人に喋らせる事が出来るようになった安藤。
犬養は人々を煽動し、パワーを生み出す。それにただ一人で対抗する安藤。でたらめでもいいから、自分の考えを信じて対決していけば、世界が変わる。 安藤は世界を変える事が出来るのか。


感想 ネタバレ無

いつか読もう読もうと思ってたけどなかなか読む機会の無かった伊坂幸太郎・・・。今まで見過ごしてたなぁ。

わくわくさせるものを、書く。

漫画版魔王を読んで、面白かったから小説にも手を出してみたといった感じなのだが、漫画版とはストーリーが違っていた。 漫画版はより少年漫画的になっている。主人公は小説版では大人のサラリーマンであるのに対して、漫画版は学生だ。犬養の立場も違う。

だがその中で流れている空気はやはり一緒だなぁと思う。



どちらも優れた作品であると感じている。


------------------------ネタバレ有------------------------------


安藤(兄)は俺の理想ともいえる存在かもしれない。 常に、考えろ、考えろ、マグガイバーと考えるのは俺の理想とする所だ。

体と一緒に脳も使わないと錆付いていくものだ。 だからいつも、考えることによって脳を活性化させる。といってもそう簡単な物じゃない。まず考える対象が必要だし、深く考えようとすれば集中力と体力が必要だ。

四六時中色々なことについて考える事は、難しい。

犬養だが、主に現在の政治をぶっ壊す方向でカリスマ的存在と書かれている。憲法九条の矛盾について語り、アメリカにへこへこする日本について語り、横暴な態度を続ける中国について語り、語っている内容は主にネットで騒がれている事ばかりだなという印象。

正直言って、まさに某宮崎県知事がスケールを大きくして総裁選に挑んだという感じである。作者も最後に書いているように、本のテーマはここではない。だから正直、大量に語っていてもそれがメインというわけではないので正直いってこの手の政治話があると波に乗れない俺も全く違和感無く読めた。この話の面白さはそんなところとは別にある。

安藤(兄)が死んだ時はさすがにびっくりした。兆候があったとはいえ、まさかこんなところで、と。まだ、何もしていなかったから。結局、安藤(兄)が犬養に対してしたことと言えば、私を信じるなといわせた事ぐらいだ。しかも、それもまるで無意味だった。

一体彼の活動のエネルギーはどこにいってしまったのか。費やしたエネルギーは、どこかに帰ってくる必要があると思うのに・・・・。

テーマは平和かな、と思う。どうしたら人類平和になるのか・・・。

犬養側(推測)のドゥーチェのマスターのセリフ

「人口の半数以上の人々が、自分以外の何かのために、ろうそくに火を点すような、花束をかざすような、そんな意識があれば、きっと世の中は平和になる」



「テレビも新聞も見ないで差、こういうところで、鳥が出てくるのを待ってるだろ。何時間も待って、姿を見ても、たいがい三十秒もしないうちに消えちゃうけど、とにかく鳥を待って、ぼうっとしてる」

「うん」

「でさ、何か、こうしていれば世界は平和なんじゃないかなあ、って思うんだ」


何もしないで、ただ呼吸だけしているのが、平和か もしくは、自分以外のもののために集団的に結束する事が平和なのか?

俺には、わからないですがね。

しかし安藤(弟)の10分の1以内の確率なら100%当てられるという能力は、かなり有用だよなあ。ラッキーマン的な無敵能力のにおいを感じる・・・・。

「意思と金があれば、国だって動かせるんじゃないか」
「現金で、何億も何十億、何百億も持っていて、しかもそれを政治に利用する、という意思があればさ、どうにかなるんじゃないか」


実際にこの策をやろうとしてるのが、最後にわかるのだが(能力を利用して競馬で儲けまくる)そこで、話が終わる。 悲しい。猛烈に悲しい。 もっと続きが読みたい。安藤(兄)の物語はちゃんと始まって、終わった。 だが安藤(弟)の物語は始まる前に終わってしまった。どういう事だろう。でも、これでいいのかな、という気もする。魔王の話は終わったのだから。

「馬鹿でかい規模の洪水が起きた時、俺はそれでも、水に流されないで、立ち尽くす一本の木になりたいんだよ」

伊坂幸太郎の書く比喩はとても記憶に残る。印象が深い。






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Last updated  2008.03.31 10:51:32
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